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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
62/421

◆◆◆◆ 5-7 密談 ◆◆◆◆

【 ミズキ 】

「――南征軍は岳東がくとうに達し、大過なく進軍中とのことです」


【 ヨスガ 】

「道中、徴発ちょうはつと称して略奪三昧を行っているのではあるまいな?」


 夜の自室にて、ヨスガはミズキの報告を聞いていた。


【 ミズキ 】

「いえ、軍規すこぶる厳しく、民を寸毫すんごうも犯すことなし――と、報告にあります」


【 ヨスガ 】

「ほう……多少は割り引いても、大したものだな」


【 ランブ 】

レイ将軍が率いているのですから、驚くには値しません」


【 ヨスガ 】

「しかし、軍のほとんどは練度の低い禁軍だぞ。限度があるのではないか?」

 

【 ランブ 】

「名将と呼ばれる者ならば、それすらも己の手足のごとく使いこなしてみせるものです」


【 ヨスガ 】

「ふむ……なるほどな。だが、いくら名将とて、腹が減ってはいくさはできまい?」


【 ミズキ 】

糧秣りょうまつに関しては、ショウ家が動いているようで……今のところ、不足はないとのよし


【 ヨスガ 】

「タイシンの采配か……しかし、十万の兵を養う兵糧の調達となれば、一苦労であろうな」


【 ミズキ 】

「むろん、たやすいことではないでしょうが……あの御仁に任せておけば、問題はないでしょう」


 宙全土の物資の流通を牛耳る大商人であるショウ・タイシンならば、つつがなくやり遂げるに違いない。


【 ヨスガ 】

「ま、さしあたり、南方のことはいい。それより――」


【 ミズキ 】

「……宮中のこと、ですね」


【 ヨスガ 】

「うむ。……なにかしら、動きがありそうな気配を感じるのだ」


【 ミズキ 】

「太后、ないし十二賊の輩が、仕掛けてくると……?」


【 ヨスガ 】

「可能性はあるな」


【 ミズキ 】

「〈我影也しのびのもの〉の、報告ですか?」


【 ヨスガ 】

「いや、ただの勘だ。外れてくれるとありがたいが……あいにく、こういうときの勘はたいてい的中するからな」


【 ミズキ 】

「〈皇叔の変〉のときのように、ですか」


【 ヨスガ 】

「ふん、あれは勘もなにも関係ない。見え見えだったではないか。いつもあんな調子ならことは単純だが……そうもいくまいよ」


【 ミズキ 】

「……ええ。皇叔殿下と国母さまとでは、役者が違います」


【 ヨスガ 】

「ともあれ、こちらも打てる手は打っておくとしよう。宝玲山ほうれいざんに使者を出す」


【 ミズキ 】

「では、いよいよ……」


【 ヨスガ 】

「そういうことだ」


 不敵に微笑むヨスガだったが、ふと気づいたように、


【 ヨスガ 】

「……そういえば、ホノカナとセイレンはどうした?」


【 ミズキ 】

アイ老師せんせいなら、書肆しょしに用があると出かけていますが」

 *書肆……書店の意。


【 ヨスガ 】

「ホノカナも連れ出したのか? あの軍師気取りめ……! そもそも、こんな夜更けに店を開けている書肆があるのか?」


【 ミズキ 】

「さて……?」

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