表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
377/421

◆◆◆◆ 9-77 鶴風の戦い(26) ◆◆◆◆

【 無頼漢たち 】

『あ、あああああっ……副頭目っ!?』


【 アシアンディーカ 】

「……やったっ! やりましたっ、姉者人あねじゃびとっ!! これで、やつがれを認めてくれますよねっ!」


 と、思わず喜びを爆発させたのも束の間。


【 バイシ 】

「――そいつは、ちと、気が早いんじゃないか?」


【 アシアンディーカ 】

「っ!? こっ、これは……!?」


 アシアンディーカは、目を疑った。


【 無頼漢たち 】

『おおっ……!?』


 幾多の円月輪が、バイシの肉体に食い込んでいる――

 だが、そこまで。

 骨を断ち臓を斬ることもなく、受け止められていたのである。


【 バイシ 】

「なかなかの芸だが――まだまだ……だねえっ!」


 バキッ! メキャアアッ!


【 アシアンディーカ 】

「な――――」


 バイシが総身そうみに力を籠めると、食い込んでいた円月輪が、ことごとく砕け散った……!


【 バイシ 】

「ふうううっ……」


 これすなわち、内丹ないたん――体内で陰陽の気を練ることで、肉体を活性化させる術に他ならない。

 バイシは円月輪を己の肉で受け止めたうえ、さらに圧迫することで粉砕したのである。


【 無頼漢たち 】

『お、おおおっ……すげえっ!』


【 アシアンディーカ 】

「…………っ」


 アシアンディーカは、しばし絶句するも、


【 アシアンディーカ 】

「……なるほど。まあ、これくらいは、想定内だ。驚くには値せぬな」


 冷静さを取り戻す。


【 バイシ 】

「さっきは、ずいぶんハシャいでたみたいだけど?」


【 アシアンディーカ 】

「う、うるさいっ! 見間違いだっ!」


【 バイシ 】

「あんた、なかなかやるじゃないか――これほど血を流したのは、いったい何十年ぶりだろうねえ」


【 アシアンディーカ 】

「ふん、ならば――わが〈八剣六臂刀はちけんろっぴとう〉の真髄、見せてくれるっ……はぁああっ!」


 アシアンディーカが印を結ぶや、彼女の背後に、奇怪な影が浮かび上がる――


【 無頼漢たち 】

『な、なんだ……ありゃあっ!?』


【 バイシ 】

「む――」


 アシアンディーカの背から、剣を持った四本の腕が生えてきている。

 さらに本来の両手にそれぞれ剣を構え、


【 アシアンディーカ 】

「これぞ八剣六臂刀――いざ、参るっ!」


 気迫とともに、バイシに真っ向から打ちかかっていく。


【 バイシ 】

「面白いっ……かかってきな!」


 バイシも騎馬を駆り、正面からぶつかり合う――


【 アシアンディーカ 】

「――おおおおっ!」


【 バイシ 】

「ぬううっ……!」


 ――ガギィイッ!


 大剣と六本の剣が打ち合い、噛み合い、火花が飛び散る。


【 アシアンディーカ 】

「ぬううっ……おおっ!」


 ――キンッ! ガキッ! ギィンッ!


【 バイシ 】

「やるねえっ……ちょこまかとっ!」


 熾烈な打ち合いが続く――




【 ウツセ 】

「おお……速度を生かした一撃離脱戦法! しかし……」


【 タイザン 】

「あれでは、決め手にはなりませんな」


【 アグラニカ 】

「……っ、アシアン……」




【 アシアンディーカ 】

「このおっ……!」


【 バイシ 】

「速い――が、あたしを討つには、まだまだ浅いね……!」


【 アシアンディーカ 】

「わかって……いるともっ!」


 ――にゅるり。


 突如、アシアンディーカの胸から、剣を手にした二本の腕が新たに生えてくる――


【 バイシ 】

「――――っ!」


【 アシアンディーカ 】

「貫けっ……!」


 バイシの喉笛めがけて、繰り出される刺突!


【 バイシ 】

「ぬうぅんっ!」


 ――バキィッ!


【 アシアンディーカ 】

「ん、なっ……!?」


 バイシの頭突きが、不意討ちの剣を粉砕していた。


【 バイシ 】

「おおおおおッ!」


 間髪入れず、バイシの重い斬撃が振り下ろされる。


【 アシアンディーカ 】

「――――っ!」


 六本の剣で防ごうとするアシアンディーカ――しかし、


 ドバキャアアッ!!


【 アシアンディーカ 】

「――ぐぅあっ!?」


 受け止めた剣がことごとく砕け散った上、バイシの刃が彼女の肉を切り裂く――


【 アグラニカ 】

「アシアンッ……!!」


 女王アグラニカの、悲痛な声が響いた――

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ