◆◆◆◆ 9-64 鶴風の戦い(13) ◆◆◆◆
【 屍冥幽姫 】
「シシシ……! 我が兵たちが、頑張ってくれています……!」
屍冥幽姫の呼び出した〈冥軍〉の襲撃によって、城外が阿鼻叫喚と化す中……
【 ランブ 】
「この混乱に乗じて城を脱出し、陛下と合流する……!」
城内の残存兵を集めて、ランブが告げていた。
【 カズサ 】
「心得ました――が、砕嶺山の兄弟はっ……?」
あの巨体では、もとより馬に乗るのは不可能である。
【 ランブ 】
「…………っ」
北門においては……
【 僵尸兵 】
『……グアアアアッ……!』
【 官軍の兵 】
「ひいいいっ!?」
【 グンロウ 】
「ぬううっ……つまらぬ小細工をっ!」
ブオンッ! ドカッ!
【 僵尸兵 】
『グガァッ……アアア……』
【 僵尸兵 】
『グオッ……オオオッ……』
二股の大刀を振り回し、僵尸兵を次々と粉砕するグンロウ。
いかに不死身でも、木っ端微塵にされてはなにもできない。
しかし……
ボコッ……ボコォッ……
【 僵尸兵たち 】
『グォオオオッ……!』
【 官軍の兵 】
「ま、まだ湧いてきやがるっ……!」
【 グンロウ 】
「ちいっ、次から次へとっ!」
【 グンロウの副官 】
「嶺司馬っ、城内の兵が脱出を図っています! ここでいつまでも足止めされているわけにはっ……!」
【 グンロウ 】
「ちいいっ……仕方ないっ、後は任せるぞっ!」
【 グンロウの副官 】
「はっ……!」
【 砕嶺山 】
『グウウウッ……!』
【 グンロウ 】
「さらばだ、ウドの大木っ! 生きていれば、いずれ決着はつけてくれるっ!」
グンロウは駒をめぐらし、逃走を図るランブらを追いかける。
【 砕嶺山 】
『グウッ……オオオオッ……!』
【 グンロウの副官 】
「者ども、一斉にかかれっ! いくらデカブツでも、不死身ではあるまいっ……!」
【 官軍の兵たち 】
『うおおおおおっ……!』
――ドスッ! ザシュッ! ブシュウッ!
【 砕嶺山 】
『グゴッ……オッ、グオオオッ……!』
四方八方から矢や手槍をあびせられ、さしもの砕嶺山もガクリと膝をつく。
【 グンロウの副官 】
「よしっ、とどめを――ぬうっ?」
バサッ、バサッ……!
【 催命翔鬼 】
「やれやれっ……まったく、世話の焼ける弟分だよっ!」
催命翔鬼が、砕嶺山の頭上に飛来してきた。
【 官軍の兵 】
「ひっ……なんだっ、妖魔っ……!?」
【 催命翔鬼 】
「はぁ~? 妖魔じゃねえって言ってるだろうが! おい、生きてるかっ?」
【 砕嶺山 】
『……グッ……ウ……ウッ……』
【 催命翔鬼 】
「――どうする? ここで“終わりたい”っていうなら、それでもいいけど?」
【 砕嶺山 】
『グヌウッ……ウ、ウウウッ!』
【 催命翔鬼 】
「ふ~ん、まだ物足りないってか? まったく、仕方ねえな――」
と、催命翔鬼は、おもむろに己の下顎を掴み……
バリバリッ!
【 グンロウの副官 】
「なっ……!?」
己の顎を引き裂く姿に、周囲の将兵は絶句する。
茫然となる彼らをよそに、催命翔鬼はガブリと砕嶺山の頭にかぶりつき――
【 催命翔鬼 】
「…………ゴクン」
そのまま、一息に“飲み干した”。
彼女の本体より、はるかに巨大な砕嶺山の身体が、いずこかに消え失せたのである。
【 グンロウの副官 】
「んっ……なっ……!?」
【 催命翔鬼 】
「うっぷっ……ったく、ちっとは痩せろってのっ……あばよ、ケチな人間どもっ!」
そう言い残して、催命翔鬼は翼をはためかせ、去っていく。
将兵は唖然として、その姿を見送るばかりであった――
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