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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
364/421

◆◆◆◆ 9-64 鶴風の戦い(13) ◆◆◆◆

【 屍冥幽姫しめいゆうき 】

「シシシ……! 我がつわものたちが、頑張ってくれています……!」


 屍冥幽姫の呼び出した〈冥軍めいぐん〉の襲撃によって、城外が阿鼻叫喚と化す中……


【 ランブ 】

「この混乱に乗じて城を脱出し、陛下と合流する……!」


 城内の残存兵を集めて、ランブが告げていた。


【 カズサ 】

「心得ました――が、砕嶺山さいれいざんの兄弟はっ……?」


 あの巨体では、もとより馬に乗るのは不可能である。


【 ランブ 】

「…………っ」




 北門においては……


【 僵尸きょうし兵 】

『……グアアアアッ……!』


【 官軍の兵 】

「ひいいいっ!?」


【 グンロウ 】

「ぬううっ……つまらぬ小細工をっ!」


 ブオンッ! ドカッ!


【 僵尸兵 】

『グガァッ……アアア……』


【 僵尸兵 】

『グオッ……オオオッ……』


 二股の大刀を振り回し、僵尸兵を次々と粉砕するグンロウ。

 いかに不死身でも、木っ端微塵にされてはなにもできない。

 しかし……


 ボコッ……ボコォッ……


【 僵尸兵たち 】

『グォオオオッ……!』


【 官軍の兵 】

「ま、まだ湧いてきやがるっ……!」


【 グンロウ 】

「ちいっ、次から次へとっ!」


【 グンロウの副官 】

レイ司馬っ、城内の兵が脱出を図っています! ここでいつまでも足止めされているわけにはっ……!」


【 グンロウ 】

「ちいいっ……仕方ないっ、後は任せるぞっ!」


【 グンロウの副官 】

「はっ……!」


【 砕嶺山さいれいざん 】

『グウウウッ……!』


【 グンロウ 】

「さらばだ、ウドの大木っ! 生きていれば、いずれ決着はつけてくれるっ!」


 グンロウは駒をめぐらし、逃走を図るランブらを追いかける。


【 砕嶺山 】

『グウッ……オオオオッ……!』


【 グンロウの副官 】

「者ども、一斉にかかれっ! いくらデカブツでも、不死身ではあるまいっ……!」


【 官軍の兵たち 】

『うおおおおおっ……!』


 ――ドスッ! ザシュッ! ブシュウッ!


【 砕嶺山 】

『グゴッ……オッ、グオオオッ……!』


 四方八方から矢や手槍をあびせられ、さしもの砕嶺山もガクリと膝をつく。


【 グンロウの副官 】

「よしっ、とどめを――ぬうっ?」


 バサッ、バサッ……!


【 催命翔鬼 】

「やれやれっ……まったく、世話の焼ける弟分だよっ!」


 催命翔鬼が、砕嶺山の頭上に飛来してきた。


【 官軍の兵 】

「ひっ……なんだっ、妖魔ばけものっ……!?」


【 催命翔鬼 】

「はぁ~? 妖魔じゃねえって言ってるだろうが! おい、生きてるかっ?」


【 砕嶺山 】

『……グッ……ウ……ウッ……』


【 催命翔鬼 】

「――どうする? ここで“終わりたい”っていうなら、それでもいいけど?」


【 砕嶺山 】

『グヌウッ……ウ、ウウウッ!』


【 催命翔鬼 】

「ふ~ん、まだ物足りないってか? まったく、仕方ねえな――」


 と、催命翔鬼は、おもむろに己の下顎を掴み……


 バリバリッ!


【 グンロウの副官 】

「なっ……!?」


 己の顎を引き裂く姿に、周囲の将兵は絶句する。

 茫然となる彼らをよそに、催命翔鬼はガブリと砕嶺山の頭にかぶりつき――


【 催命翔鬼 】

「…………ゴクン」


 そのまま、一息に“飲み干した”。

 彼女の本体より、はるかに巨大な砕嶺山の身体が、いずこかに消え失せたのである。


【 グンロウの副官 】

「んっ……なっ……!?」


【 催命翔鬼 】

「うっぷっ……ったく、ちっとは痩せろってのっ……あばよ、ケチな人間どもっ!」


 そう言い残して、催命翔鬼は翼をはためかせ、去っていく。

 将兵は唖然として、その姿を見送るばかりであった――

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