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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
299/421

◆◆◆◆ 8-68 邪徒 ◆◆◆◆

【 グンム 】

「まあしかし、神仙さまの登場には仰天したな。あれも、老師の仕込みだったのか?」


【 シュレイ 】

「いえ、まさか……私も、まったくもって寝耳に水でした。その前のギン司馬たちの喧嘩のくだりは、多少、手を回しもしましたが……」


【 グンム 】

「ははぁん……わざと一騒動起こして、それを収めることで、結束を固めようって腹だったわけか? あの罵声も段取り通りだったんだな」


【 シュレイ 】

「……あそこまで言われるとは、思っておりませんでしたが……」


【 グンム 】

「…………」


【 グンム 】

「……まあ、結果的にはうまくいったんだから、御の字だろ」


【 シュレイ 】

「ええ……私の小細工を一蹴するかのごとく、師父がおいでになられて……」


【 グンム 】

「しかし、あれは本当なのかね。幽聖岳が俺たちを支援してくれる、っていうのは?」


【 シュレイ 】

「師父が戯れ言を仰るとは思えません。……いや、よく口にしてはいましたが、それは弟子をいたぶる時だけでしたから」


【 グンム 】

「ふむ……心強いが、ま、あっちにもいろいろあるんだろうな」


【 シュレイ 】

「ええ。それから、師父が仰っていた、邪法の輩とやらですが……」


【 グンム 】

「明言はしてなかったが……そりゃ、どこの誰のことだ?」


【 シュレイ 】

「ひとつ考えられるのは……〈三貴さんき〉教徒、でしょうか」


【 グンム 】

「ほう、ラク宰相とも深く繋がっていたようだが」


【 シュレイ 】

「すでに宙国内にも信徒を増やしており、油断ならぬ存在です。他にも、怪しげな輩の名は聞きますが、やはり、一番に挙がるのは……」


【 グンム 】

「……〈五妖ごよう〉の残党、か」


【 シュレイ 】

「その公算は高いでしょう」


 七年前、峰東の地を騒乱に陥れた〈五妖の乱〉。

 その残党が地下に潜伏し、再起を図っているらしい……とは、世間でひそやかに語られている話である。


【 グンム 】

「……アイリがその類だと思われると、厄介なことになるなあ」


【 シュレイ 】

「…………」


 グンムの情人であるユウ・アイリ。

 先日、彼女が予言めいたことを口走った件について、シュレイはグンムに告げてはいない。


【 グンム 】

(アイリ殿は、五妖の関係者……どころか、五妖のひとりではないのか?)


 そう疑いつつ、いまだにグンムに確かめてはいなかった。

 そこは、超えてはならない一線であるように思われたからである。


【 シュレイ 】

(もしそうだとしたら、師父ほどの御方ならば、お見通しかもしれず……)


【 グンム 】

「ま、おとがめはなかったんだ。まずは、こっちのやるべきことを片付けないとな」


【 シュレイ 】

「は……」


 さしあたり、今は詮索するのはやめておこう――と、シュレイは思った。

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