表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
273/421

◆◆◆◆ 8-42 謀と謀 ◆◆◆◆

【 レツドウ 】

「――――っ」


 さしものレツドウも、一瞬、虚を突かれたが、


【 レツドウ 】

「……なるほどな。確かに貴公なら申し分ない。総大将がみずから降伏をうながしに来たとあれば、ヤクモの面子も立つというものであろう」


【 レツドウ 】

「――しかし、そうはいっても、いささか無謀ではないか?」


【 グンム 】

「もとより承知しております。されど、これも国家のためなれば……」


【 レツドウ 】

「……そうか。そこまで言うなら止めはせん。船で獅水しすいを渡る気か?」


【 グンム 】

「は、だいぶ水も引いておりますし。わずかな供を連れて渡河するくらいは難しくはないかと」


【 レツドウ 】

「――わかった。では、降伏の条件を詰めるとしよう」


【 グンム 】

「はっ……」




【 レツドウ 】

(あやつ……どういうつもりだ?)


 グンムが去った後、レツドウは思案する。


【 レツドウ 】

(和平については、嗅ぎつけているかと思ったが……)


 そうであるようなそうでないような、曖昧な態度だった。

 そのくせ、単身、敵陣に赴くなどと、命知らずなことを言い出す……


【 レツドウ 】

(……読めぬ男だ)


 有能ではあるのだろうが、下に置くには、物騒すぎる。


【 レツドウ 】

(やはり、排除するしかないか)


 使えるものなら使いたいところだが、それがならぬなら、盤面から始末するしかない。

 では、いかにして処分するか?


【 レツドウ 】

(わざわざ、虎口ここうに入るというなら……)


 虎に食わせる、というのも一つの手だ。


【 レツドウ 】

(しかし、それは良しとすまい)


 ヤクモにグンム抹殺を命じても、応じるとは考えづらい。

 で、あれば、


【 レツドウ 】

(不慮の事故にて――と、いうこともあるか)


 などと思考を巡らせていた。




【 グンム 】

(……やはり、食えない御仁だ)


 己の幕舎に戻ったグンムは、レツドウとの会話を思い出していた。


【 グンム 】

(結局、密旨みっしの話は出なかったな)


 どうせ偽物であるから、わざわざ披露するまでもない、というところか。


【 グンム 】

スイ将軍にも口止めはしてあるだろうしな……)


 ともあれ、事態は動いた。

 ことの次第を記した手紙を急使に持たせて、岳東に戻ったシュレイへと送る。


【 グンム 】

(さて、鬼が出るか蛇が出るか――だ)


 と、腹をくくるグンムなのだった。

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ