◆◆◆◆ 7-27 兇報 ◆◆◆◆
【 ミズキ 】
「……それはそうと」
ややしんみりとした空気を払うように。
【 ミズキ 】
「やはり、彼女を選んだのは驚きでした。陛下は、手元に置いておきたいものとばかり思っていましたから」
【 ヨスガ 】
「ふん……別に、そんなこだわりはない」
【 ヨスガ 】
「まあ、ああいう気のおけぬ輩がそばにいるのは、悪くはないが。そなたやランブをからかうのは気が引けるゆえな」
【 ミズキ 】
「藍老師がいるではありませんか」
【 ヨスガ 】
「ん? う~ん、あやつか……あやつはな~……少し違うというか……」
【 ミズキ 】
「……私も、言っておいてなんですが、だいぶ違う気がします」
【 ヨスガ 】
「さよう、たとえるならば――」
【 ミズキ 】
「――――っ」
ふいに、ヨスガをかばうように身を重ねるミズキ。
【 ヨスガ 】
「むっ……?」
【 ???? 】
「…………っ」
馬車の床から、ニュッと腕が伸びてきていた。
その手には、書状が握られている。
【 ヨスガ 】
「なんだ、シラクサかっ? 驚かすでないっ……!」
【 シラクサ 】
「も、も、申し訳ございませんっ……で、ですがっ、火急の知らせにてっ……!」
我影也こと、颯・シラクサの仕業であった。
ヨスガは書状を受け取り、開く。
【 ヨスガ 】
「――――っ」
【 ミズキ 】
「……陛下?」
それは、近年見たことがなかった、ヨスガの表情。
【 ヨスガ 】
「……厄介事というのは」
ようやく絞り出した声は、ややかすれていた。
【 ヨスガ 】
「たとえ一つ乗り越えても、次から次へと目の前に立ちはだかってくる……そういうものらしいな」
【 ミズキ 】
「いったい、何事が……?」
【 ヨスガ 】
「――謀叛だ」
【 ミズキ 】
「っ? 謀叛ならば、すでに――」
【 ヨスガ 】
「新たな、謀叛だ」
【 ヨスガ 】
「首謀者は、征南将軍〈嶺・グンム〉――」
【 ヨスガ 】
「現在、帝都へ進撃中とある。その兵、ざっと二十万――」
【 ミズキ 】
「…………っ!!」
大宙暦3133年(帝ヨスガ2年)、孟秋の月(7月)、14日の夜ふけ。
ようやく訪れたと思われた、皇帝ヨスガの治世。
だがそれは、あまりにも早く揺るぎはじめていたのだった――
ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!




