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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
231/421

◆◆◆◆ 7-27 兇報 ◆◆◆◆

【 ミズキ 】

「……それはそうと」


 ややしんみりとした空気を払うように。


【 ミズキ 】

「やはり、彼女を選んだのは驚きでした。陛下は、手元に置いておきたいものとばかり思っていましたから」


【 ヨスガ 】

「ふん……別に、そんなこだわりはない」


【 ヨスガ 】

「まあ、ああいう気のおけぬ輩がそばにいるのは、悪くはないが。そなたやランブをからかうのは気が引けるゆえな」


【 ミズキ 】

アイ老師せんせいがいるではありませんか」


【 ヨスガ 】

「ん? う~ん、あやつか……あやつはな~……少し違うというか……」


【 ミズキ 】

「……私も、言っておいてなんですが、だいぶ違う気がします」


【 ヨスガ 】

「さよう、たとえるならば――」


【 ミズキ 】

「――――っ」


 ふいに、ヨスガをかばうように身を重ねるミズキ。


【 ヨスガ 】

「むっ……?」


【 ???? 】

「…………っ」


 馬車の床から、ニュッと腕が伸びてきていた。

 その手には、書状が握られている。


【 ヨスガ 】

「なんだ、シラクサかっ? 驚かすでないっ……!」


【 シラクサ 】

「も、も、申し訳ございませんっ……で、ですがっ、火急の知らせにてっ……!」


 我影也しのびのものこと、サツ・シラクサの仕業であった。

 ヨスガは書状を受け取り、開く。


【 ヨスガ 】

「――――っ」


【 ミズキ 】

「……陛下?」


 それは、近年見たことがなかった、ヨスガの表情。


【 ヨスガ 】

「……厄介事というのは」


 ようやく絞り出した声は、ややかすれていた。


【 ヨスガ 】

「たとえ一つ乗り越えても、次から次へと目の前に立ちはだかってくる……そういうものらしいな」


【 ミズキ 】

「いったい、何事が……?」


【 ヨスガ 】

「――謀叛むほんだ」


【 ミズキ 】

「っ? 謀叛ならば、すでに――」


【 ヨスガ 】

「新たな、謀叛だ」


【 ヨスガ 】

「首謀者は、征南将軍〈レイ・グンム〉――」


【 ヨスガ 】

「現在、帝都へ進撃中とある。その兵、ざっと二十万――」


【 ミズキ 】

「…………っ!!」



 大宙暦3133年(帝ヨスガ2年)、孟秋の月(7月)、14日の夜ふけ。


 ようやく訪れたと思われた、皇帝ヨスガの治世。

 だがそれは、あまりにも早く揺るぎはじめていたのだった――

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