◆◆◆◆ 7-11 推薦 ◆◆◆◆
【 ヨスガ 】
「――新たに、副頭目を選ばねばなるまい」
と、改めて一同に向き直るヨスガ。
【 ヨスガ 】
「知っての通り、我は故あって、都から離れられぬ立場なのでな」
【 ヨスガ 】
「誰か、推薦する者はあるか? 他薦、自薦は問わぬぞ」
ヨスガの言葉に、ざわめきが起こる。
【 宝玲山の将 】
「――〈緋閃剣〉で良いのではないか?」
【 宝玲山の将 】
「うむ、いささか若いが、あれくらいでなくては、この曲者どもを取り仕切れまい」
【 宝玲山の将 】
「いや、それなら副軍師補佐が――」
【 宝玲山の将 】
「否、かの御仁が――」
などなど、侃侃諤諤、容易には決まりそうにもない。
*侃侃諤諤……大いに議論するの意。
そんな中、自薦する者が誰もいないのは、こんなまとまりのない連中を仕切るなどまっぴら御免だ――というところであろうか。
【 ヨスガ 】
「(……そういえば、カズサはどうした?)」
【 ミズキ 】
「(……限界の限界を超えたせいで、寝込んでいます)」
【 ヨスガ 】
「(……さもあろう。副軍師補佐はどこだ?)」
【 ミズキ 】
「(さあ……藍老師の姿も見えませんが)」
【 ヨスガ 】
「(よくよく、勝手な連中よな……方士などというのは、おおむねそんなものかもしれぬが)」
【 ホノカナ 】
「(あ、あのっ! わたし、どうしてここに連れて来られたんでしょうかっ……?)」
囁き交わすヨスガとミズキの間に、ホノカナが割って入る。
【 ヨスガ 】
「(なに、すぐにわかる。しばし待っておれ!)」
【 ホノカナ 】
「(ええーっ……ううっ、やっぱり似てますね、姥姥に……)」
【 ヨスガ 】
「(はぁっ? そなた、馴れ馴れしいぞっ!)」
【 ホノカナ 】
「(えええっ? だって、本人がそう呼んでいいって……)」
【 ヨスガ 】
「(はぁああっ!? どういうことですっ!?)」
【 バイシ 】
「(おやおや、何の話だい?)」
などと、言い交わしているあいだに。
【 宝玲山の将 】
「副頭目……いえ、元・副頭目、みずから役目を辞したからには、後を任せる者の心当たりがあるのでは?」
【 宝玲山の将 】
「確かに――存念があるなら、是非うかがいたい」
【 バイシ 】
「フム、それなら、あたしから推薦させてもらおうか」
と、バイシは一同を見渡してから、言った。
【 バイシ 】
「あたしが、推薦するのは――」
ポン、とホノカナの肩に手を置く。
【 バイシ 】
「――この、娘だ」
【 ホノカナ 】
「――――えっ、」
【 ホノカナ 】
「え゛えええええぇぇぇ~~~~~~っ!?」
ホノカナの驚愕の声が、夕焼けに照らされた原野に響いた――――
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