表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
211/421

◆◆◆◆ 7-7 白銀夜叉 ◆◆◆◆

 エイ・バイシ。

 彼女が生まれたエイ氏は、多くの英雄豪傑を輩出した武勇の家として古来より知られていた。


 バイシもまた、女ながらに若くして武に親しみ、体格に恵まれたこともあって、たちまち頭角を現していった。


【 バイシ 】

『この器量じゃあ、どうせ嫁の貰い手もないしね!』


 〈夜叉凍将やしゃとうしょう〉の異名を取る剛勇ぶりを発揮し、ついには一軍の将にまで成り上がったのである。

 そのまま、いち武人として生涯を戦場で過ごすつもりだったバイシだが、そんな彼女の運命が一変したのは、本家筋にあたるセツ氏の男と結婚したためだった。

 夫となった男は生まれつき身体が弱く、セツ一族の中でも浮いた存在であり、


【 世の人 】

『武勇隠れなき夜叉凍将バイシを身内に取り込まんとする、セツ氏の深謀遠慮であろう――』


 などと、噂された。

 そんな政略結婚ではあったが、この凸凹夫婦は意外とウマが合い、二男二女を授かった。

 そのうえ、バイシは武将を引退することもなく、大きな腹を抱え、乳飲み子を連れて戦場を駆け回ったものである。


 この夫婦の末の子が、セツ・レイセイ……

 すなわち、エン・ヨスガの母に他ならない。

 レイセイは容貌すぐれ、性格は柔和で知恵もあり、天子に見初められて後宮に入り、すこぶる寵愛された。


 そこまでは、思わぬ幸運と思われたが……

 好事こうじ魔多し、とは良くいったもの。


 ――十五年前の〈三氏さんしの乱〉。

 セツ氏は叛逆の罪で滅亡させられ、エイ氏もまた巻き添えをくい、はなはだ衰退した。

 そんな中、バイシは多くの身内を失いつつも逃げ延び、宝玲山に立てこもり、雌伏していたのである。

 いつしか、宝玲山の白銀夜叉と言えば、腕の立つ山賊として世間に名を轟かせるに至った。

 だがもはや、再び世に出ることもなかろう、と思い定めていたところだったが……




【 バイシ 】

「――あの子に、手伝ってくれって頼まれてね。もう一仕事してやろうって決めたってわけさ!」


【 ホノカナ 】

「そ、そういうわけ、なんですね……!」


 簡単にいきさつを説明されつつ、


【 ホノカナ 】

「そ、それでっ、これから、どこにっ……?」


 気づけば、内廷ないていどころか、宮城からも出てしまっている。


【 バイシ 】

「なぁに、行けばわかるとも!」


 からからと高笑いし、バイシはさらに馬の速度を上げる。


【 ホノカナ 】

(や、やっぱり、よく似てるかもぉ……!)


 この強引さは、なるほど、祖母から孫へ受け継がれたものなのかもしれなかった。

ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ