◆◆◆◆ 7-6 祖母と孫 ◆◆◆◆
声の主は、馬にまたがった大柄な女だった。
年のころは五十すぎだろうか、ランブほどではないが屈強な体格の持ち主である。
ギラついた眼光、年季の入った甲冑……その風貌は武将というより、馬賊の親分といったほうが相応しいものであり、およそ宮城には似つかわしくない。
【 他の女官 】
「ひぃっ……!?」
女官たちが身をこわばらせ、恐れおののくばかりなのも、無理はないであろう。
【 ホノカナ 】
「わ、わたしが、ホノカナです……が、あなたはっ……?」
その点、ホノカナは度胸があるというか、昨夜の件もあって感覚が麻痺しているというべきか、ともあれ、驚きはしても怖がることはなかった。
【 ホノカナ 】
(どこかで、見た……ような?)
昨夜の乱戦の中、見かけたような気もしないではなかったが、はっきりとはわからない。
【 大柄な女 】
「ほう、ちっとは胆が据わってるみたいじゃないか! まあ、そうでなくちゃあ困るがね」
【 大柄な女 】
「あたしはバイシ――霙・バイシってもんだ。あんたにちょいと用があってね! 顔を貸しておくれ――」
【 ホノカナ 】
「えっ――ひゃあっ!?」
返事も待たず、ホノカナを軽々と馬上へと抱え上げるバイシ。
【 他の女官 】
「ホノカナ……!?」
【 バイシ 】
「それじゃあ、ちょっと借りていくよ――」
と、ホノカナを小脇に抱えたまま、馬を走らせる。
その様子を、女官たちは唖然として見送ることしかできなかったのだった。
【 ホノカナ 】
「あ、あ、あのおっ!? わたし、お役目が――」
まるで人さらいにあっているような体勢にありながらも、訴えるホノカナ。
【 バイシ 】
「なぁに、こいつも大事なお役目ってもんさ! なんせ、ヨスガがらみの件なんだからねえ!」
【 ホノカナ 】
「――――っ!」
皇帝を呼び捨てにする彼女に、ホノカナはギョッとして息を呑む。
そんなことができるのは、ヨスガを仇敵と見なしている相手か、そうでなければ――
【 ホノカナ 】
「もしかして、あなたは――陛下の、御一門のっ?」
【 バイシ 】
「そう、あの子の母親の、そのまた母親ってところさ!」
【 ホノカナ 】
「…………っ!」
【 ホノカナ 】
(ヨスガ姉さまの……おばあさま!?)
外見的には、容貌といい、体格といい、まるで似たところがないけれども。
【 バイシ 】
「あんた、あの子の義妹なんだって? ってことは、あたしからすりゃあ孫みたいなもんだ。姥姥って呼んでくれても構わないよ!」
【 ホノカナ 】
「えええ……!?」
急展開が過ぎて、まるでついていけないホノカナなのであった。
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