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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
210/421

◆◆◆◆ 7-6 祖母と孫 ◆◆◆◆

 声の主は、馬にまたがった大柄な女だった。

 年のころは五十すぎだろうか、ランブほどではないが屈強な体格の持ち主である。

 ギラついた眼光、年季の入った甲冑……その風貌は武将というより、馬賊の親分といったほうが相応しいものであり、およそ宮城には似つかわしくない。


【 他の女官 】

「ひぃっ……!?」


 女官たちが身をこわばらせ、恐れおののくばかりなのも、無理はないであろう。


【 ホノカナ 】

「わ、わたしが、ホノカナです……が、あなたはっ……?」


 その点、ホノカナは度胸があるというか、昨夜の件もあって感覚が麻痺しているというべきか、ともあれ、驚きはしても怖がることはなかった。


【 ホノカナ 】

(どこかで、見た……ような?)


 昨夜の乱戦の中、見かけたような気もしないではなかったが、はっきりとはわからない。


【 大柄な女 】

「ほう、ちっとは胆が据わってるみたいじゃないか! まあ、そうでなくちゃあ困るがね」


【 大柄な女 】

「あたしはバイシ――エイ・バイシってもんだ。あんたにちょいと用があってね! 顔を貸しておくれ――」


【 ホノカナ 】

「えっ――ひゃあっ!?」


 返事も待たず、ホノカナを軽々と馬上へと抱え上げるバイシ。


【 他の女官 】

「ホノカナ……!?」


【 バイシ 】

「それじゃあ、ちょっと借りていくよ――」


 と、ホノカナを小脇に抱えたまま、馬を走らせる。

 その様子を、女官たちは唖然として見送ることしかできなかったのだった。




【 ホノカナ 】

「あ、あ、あのおっ!? わたし、お役目が――」


 まるで人さらいにあっているような体勢にありながらも、訴えるホノカナ。


【 バイシ 】

「なぁに、こいつも大事なお役目ってもんさ! なんせ、ヨスガがらみの件なんだからねえ!」


【 ホノカナ 】

「――――っ!」


 皇帝を呼び捨てにする彼女に、ホノカナはギョッとして息を呑む。

 そんなことができるのは、ヨスガを仇敵と見なしている相手か、そうでなければ――


【 ホノカナ 】

「もしかして、あなたは――陛下の、御一門ごいちもんのっ?」


【 バイシ 】

「そう、あの子の母親の、そのまた母親ってところさ!」


【 ホノカナ 】

「…………っ!」


【 ホノカナ 】

(ヨスガ姉さまの……おばあさま!?)


 外見的には、容貌といい、体格といい、まるで似たところがないけれども。


【 バイシ 】

「あんた、あの子の義妹いもうとなんだって? ってことは、あたしからすりゃあ孫みたいなもんだ。姥姥ばばさまって呼んでくれても構わないよ!」


【 ホノカナ 】

「えええ……!?」


 急展開が過ぎて、まるでついていけないホノカナなのであった。

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