◆◆◆◆ 7-3 左手 ◆◆◆◆
【 ランブ 】
「…………っ!」
凪・ランブは意識を取り戻し、弾かれたように身を起こした。
いつの間にか、自室の寝台に横たわっていたのだ。
【 ランブ 】
(――っ、眠っていたのか……)
思い起こすと、ミズキに半ば脅されるようにして、寝室へ放り込まれたのだった。
【 ランブ 】
「…………っ」
左手が疼く。
肘から先は失われ、切断面はふさがれており、痛みはないが……
【 ランブ 】
(……左手一本で済んで良かった、と思うべきか)
昨夜の死闘を思い起こすと、こうして生き延びられただけでも、僥倖というしかない。
【 ランブ 】
(……〈双豪斧〉の二つ名は、返上せねばなるまいな)
となると、単豪斧ということになるのであろうか。
亡父の異名である〈飛豪斧〉を称するわけにもいかないが。
【 ランブ 】
(ともあれ、こうしてはおれん――)
むざむざと惰眠を貪っている場合ではない。
ランブは寝台を離れ、身支度を整えようとする……
【 ランブ 】
「……む?」
ふと、卓に見慣れないものがあるのに気づいた。
皿の上に、白い布で覆われたものが載っている。
【 ランブ 】
(誰かの、差し入れか? ミズキ殿だろうか……)
なにげなく布を取ってみると――
【 ランブ 】
「うっ……!」
豪気なランブも、目を見開き、思わず唸り声をこぼした。
それも道理で、その皿の上に置いてあるのは……
【 ランブ 】
(人の……手!?)
それも、その造形は、明らかに見覚えのあるもので。
【 ランブ 】
(私の……左手かっ?)
かの難敵〈戮仙劔君〉の一撃によって落とされた彼女の左手、そのものだった。
拾っていく暇もなく、極龍殿の正門に置き去りにしてきたはずだが……
【 ランブ 】
(誰かの、戯れなのか?)
だとしたら、悪趣味にもほどがある。
薄気味悪く思いつつも、
【 ランブ 】
(……長年、よく働いてくれたものだ)
と、長らく付き合ってきた我が左手をいたわるように、右手を伸ばす――
……ピクッ……
【 ランブ 】
「――――っ!?」
再び、ランブは驚愕し、飛び退いた。
……ヒク……ヒクヒク……
【 ランブ 】
「これは――」
切り落とされた左手が、まるで生きているかのように、動いている……!
【 ランブ 】
(夢……か? それとも、幻覚かっ……!?)
異様な状況に戸惑う彼女の耳に、
【 ???? 】
「……シ、シ、シシシ……成功、成功……!」
奇妙な笑声が、響き渡る――
ブックマーク、ご感想、ご評価いただけると嬉しいです!




