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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
191/421

◆◆◆◆ 6-96 燎氏の変(82) ◆◆◆◆

 巨大なる怪異〈千陣軍魔せんじんぐんま〉を討つべくギョクレンが提案した、〈同心断金どうしんだんきん〉の術とは?


【 ギョクレン 】

「本来は、人の心に巣食うよからぬもの――たとえばしき記憶であるとか、本人でも抑え切れぬ欲望……そういったものを断ち、心を清らかにするための術でございます」


【 ギョクレン 】

「この場合は、かのデカブツの内的世界こころに侵入し、数多の要素を繋ぎとめている〈糸〉のようなものを断つことで、分解するのでございます!」


【 セイレン 】

「ん~、そうそう! そういうことですねっ!」


 弟子の説明に、うんうんと頷いている師匠。


【 ホノカナ 】

(絶対わかってなさそう!)


 そう思いつつ、ホノカナは口を挟まなかった。


【 ゼンキョク 】

「しかし、具体的にはどのように――?」


【 ギョクレン 】

「左様でございますね……どなたかの魂魄たましいを肉体から離し、あのデカブツの内的世界へ送り込み、しかるのち、糸を断っていただくのが手っ取り早いかと!」


【 セイレン 】

「んんん~っ、なるほどっ!」


【 ホノカナ 】

(なるほどって、意味わかってるんですか……!?)


 ツッコミを入れたくなるのをかろうじて耐えるホノカナ。


【 ミズキ 】

「魂魄を離す――とは、つまり死ぬということですかっ……?」


【 ギョクレン 】

「いえ、その必要はないのでございます! 一時的に離すだけでよいのですが、無理に引きはがそうとすると厄介なことになるのでございます……」


【 ギョクレン 】

「よって、なるべく魂が不安定な状態の方にお願いしたいのございますが、なかなかそんなに都合のいい方は――」


【 ミズキ 】

「…………」


【 ランブ 】

「…………」


【 カズサ 】

「…………」


【 ギョクレン 】

「――あっ」


【 ホノカナ 】

「……あっ?」


 ふと、ギョクレンとホノカナの目が合った。


【 ギョクレン 】

「おおっ、そこのあなた! とてもいい具合でございますねっ!」


【 ホノカナ 】

「ええっ!? わ――わたしですかっ?」


【 ギョクレン 】

「ええ! あたかもつい先ごろ、魂魄が身体から離れたばかりのようで、実にいい塩梅あんばいでございますっ!」


【 ゼンキョク 】

「ほう……確かに、ホノカナ殿は先ほど、肉体を他者に貸していたそうですが……それゆえでしょうか?」


【 ホノカナ 】

「あ――」


 〈反転反魂はんてんはんごん〉の術を破るさい、タイシンに一時的に肉体を預けたことで、魂のあり方が不安定になっている……と、いうようなことであるらしい。


【 ギョクレン 】

「おおっ、なるほどでございます! さすがは師父おししょう、それも踏まえて、この御仁を連れてこられたのでございますねっ!」


【 セイレン 】

「…………ええっ、もちろんですとも!」


【 ホノカナ 】

「えええっ!? 絶対偶然ですよねぇぇっ!?」


【 ギョクレン 】

「それでは、善は急げでございますっ! さっそく、支度をば――」


【 カズサ 】

「ちょ、ちょっと待ちなさいっ! こんな大事だいじを、彼女ひとりに任せるなんて、そんな――」


【 ???? 】

「――確かにな! そやつひとりには、とても任せられぬ――」


【 一同 】

「!!」


【 ヨスガ 】

「――話は聞いた! 我も、同行しよう……!」

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