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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
189/421

◆◆◆◆ 6-94 燎氏の変(80) ◆◆◆


【 ???? 】

『うちの声、聞こえているでございますか……大首領……』


【 ヨスガ 】

「おお――〈副軍師補佐〉か、聞こえているぞ!」


 頭の中に響いてきた声に応じるヨスガ。


【 侍衛長 】

「へ、陛下っ……?」


 突然独り言を言い出したヨスガを、侍衛長らが戸惑った目で見ている。


【 ヨスガ 】

「おい、これでは我がブツブツと一人で喋っているようではないか……!」


【 副軍師補佐 】

『これは失礼したでございます――えぇと、念の波を調整して……ごほん、これでいかがでございましょう?』


【 侍衛長 】

「っ? これはっ……頭の中に声がっ?」


【 ヨスガ 】

「うむ、これでよし――状況を報告せよ!」


【 副軍師補佐 】

「は――それがどうも、まるっきり見つからないのでございます! まるで、この世から忽然こつぜんと消え失せたかのごとく……」


【 ヨスガ 】

「……はぁ? そなた、いったいなにをやっておるのだ!?」


【 副軍師補佐 】

「なにをって、もちろん、師父おししょうを探しているのでございますが?」


【 ヨスガ 】

「……そういえば、あやつ、しばらく見ておらんな」


【 副軍師補佐 】

「大首領っ? もしや、忘れていたのではございますまいねっ?」


【 ヨスガ 】

「そういうわけでは――いや、うむ、なにか忘れているとは思っていたぞ……!」


【 副軍師補佐 】

「はぁあぁ!? あんまりな仕打ちでございます! 右腕たる副軍師の存在を忘れるなどっ……!」


【 ヨスガ 】

「その点は、うむ、あやつが右腕かはさておき、悪かったと思っておる――ゆえにだな、ひとまずそちらは後回しにして、かの化け物をなんとかせよ!」


【 副軍師補佐 】

「あぁ――あの正体不明の存在でございますね? 〈千陣軍魔せんじんぐんま〉と名付けられたようですが……」


【 副軍師補佐 】

「見たところ、あれは物理攻撃でどうにかなるものではございません。かなり強引な〈手法〉で組み上げられた代物なれば、その〈概念〉そのものを解除せねばならないのでございます」


【 ヨスガ 】

「――とどのつまり、どうせよというのだ?」


【 副軍師補佐 】

「それは――あっ! ちょっとお待ちをっ! 師父の気配がっ……!?」


【 ヨスガ 】

「……おいっ? 副軍師補佐っ! おいっ! ……あやつ、一方的に打ち切りおって……!」


【 侍衛長 】

「……っ、陛下、今の御仁は……?」


【 ヨスガ 】

「聞いての通りの、副軍師補佐――実に扱いにくいヤツよ……!」




【 白銀夜叉 】

「そらぁっっ!!」


 ――ザシュウッ!!


 白銀夜叉が大剣を振るうや、千陣軍魔の巨体がさながら豆腐のごとく切り裂かれる。


【 千陣軍魔 】

『グガッ……アアアアッ!?』


【 宝玲山の将兵 】

「――うおおおおおおっ!」


 将兵たちもここぞとばかりに攻めかかり、息つく暇も与えない。


【 千陣軍魔 】

『……ギ……イイイィ……!』


【 白銀夜叉 】

「こいつ……やけに受けに回るっ……!」


【 千陣軍魔 】

『グゥ……オオオオ……!!』


【 ミズキ 】

「……っ! あれは――」


 千陣軍魔の巨体に、異変が生じた。

 表面が、硬質化していく……!


【 エキセン 】

「こいつっ……あの絡繰りのような、装甲を……!?」


 たちまち全身を硬質の鎧で覆った千陣軍魔は、さらに球状に変化した。


【 千陣軍魔 】

『オオオオッ……!!』


 そのまま、回転しながら城門へと体当たりを食らわせてくる――


 ――ドゴオオッ!!


【 カズサ 】

「きゃあああああっ!?」


 巨体の激突で、城門が揺らぎ、亀裂が入る。


【 白銀夜叉 】

「ちいっ……小賢しい真似をっ!」


【 ランブ 】

「まずいっ……そう何度も、耐えれそうにはっ……!」


 危うしと思われた、その時――


【 ???? 】

「――“バク”!」


 ――ドオオォォンッ!!


【 千陣軍魔 】

『…………!!!』


 突如、空に黒雲が湧き上がったかと思うと、そこから幾筋もの雷撃がほとばしって、巨大なる異形の動きを封じ込める――


【 ゼンキョク 】

「む、あれは――」


 雲の中に、人影があった。

 巨大な翼を持つ馬にまたがる、ひとりの可憐な方士。


【 ???? 】

「遅れて申し訳ないでございます!」


 軽やかな童子の声が響き渡る。


【 馬のような生き物 】

「メエエエエエ……」


【 ???? 】

「副軍師補佐、〈セイ・ギョクレン〉! これより参戦するでございます!!」

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