◆◆◆◆ 6-93 燎氏の変(79) ◆◆◆◆
これより、少し前――
【 ホノカナ 】
「あっ……セイレンさん……!?」
城門から離れたホノカナは、思わぬ出会いを果たしていた。
【 セイレン? 】
「そうですともっ! ご存じ、〈幻聖魔君〉こと藍・セイレンですよ! 見忘れましたかっ?」
【 ホノカナ 】
「い、いえ、でもっ……」
地面にしゃがみこみながら、ホノカナは当惑していた。
【 ホノカナ 】
「明らかに、いつもよりだいぶ小さいんですけど……!?」
彼女の目に映っているのは、確かにセイレンのようではある……が、その大きさたるや、ふだんの十分の一ほどであろうか。
【 ホノカナ 】
「ど、どうしてこんなことにっ?」
【 セイレン 】
「それは、話せば長くなるのですが――」
【 ホノカナ 】
「あっ、手短にお願いします!」
【 セイレン 】
「あっはい……隠し通路からなんとか脱出して、極龍殿に出てみたところ、そこはなんと、火の海だったのです!」
【 ホノカナ 】
「あっ……」
炎に包まれた極龍殿から脱出するとき、セイレンについてうっかり忘れていた。
ホノカナは黙っておくことにして、セイレンの話に耳を傾ける。
【 セイレン 】
「危うく炎に呑まれて一巻の終わりとなるところでした……が! とっさに私は思いついたのです、大量の水を海から召喚すれば火を消せると!」
【 ホノカナ 】
「なるほど――それで?」
【 セイレン 】
「いかんせん急なことだったので、水を呼ぶことには失敗してしまい……代わりに、私自身が海へ飛ばされてしまったのです!」
【 ホノカナ 】
「海へ!」
【 セイレン 】
「そう! そして私は、あやうく溺れそうなところを、〈龍宮〉の人々に助けられて――」
【 ホノカナ 】
(あっ、これ本当に長くなるやつだ……)
ホノカナはそう予感して、
【 ホノカナ 】
「それでその、とどのつまり、どうしてここにっ?」
【 セイレン 】
「あぁ、そうでした! いろいろあって時の狭間に囚われた私でしたが、どうにか戻ってこれたのです! なんやかんやで!」
【 ホノカナ 】
「なんやかんやで!」
【 セイレン 】
「ええ! しかしその際、肉体を再生するのはこの大きさが精いっぱいだったようで……」
【 ホノカナ 】
「……なるほどっ、はい、わかりました!」
ほとんどわからないまま、ホノカナは力強く頷いた。
【 ホノカナ 】
「それより、皆さんが大変なんですっ! なんだかよくわからない敵が攻めてきててっ……!」
【 セイレン 】
「ええ、わかっていますとも! そのために私は戻ってきたのですから! “あれ”を無力化するには、力押しだけでは足りません……!」
【 セイレン 】
「……ですが、この姿ではろくに動けないので、私を城門まで運んでください!」
【 ホノカナ 】
「……っ、はい、わかりましたっ!」
ホノカナはセイレン(小)をひっつかむと、そのまま足早に駆け出す。
【 セイレン 】
「――おわっ!? ちょっ、も、もうちょっと丁寧にっ……ちょおおお~~~~っ!?」
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