◆◆◆◆ 6-82 燎氏の変(68) ◆◆◆◆
――ズバァッ!!
【 投降派の守備兵 】
「がぁッ……!?」
投降兵の一人が、血煙をあげて倒れた。
【 他の投降派の守備兵 】
「な、何だっ……!?」
【 ???? 】
「心くじけて、逃げるならそれも良し――」
【 ???? 】
「――でも、裏切りは許さないわっ!」
シュバッ! ザシュウッ!!
【 他の投降派の守備兵 】
「ぐあぁっ!?」
戸惑う造反者たちに向けて、血塗られた刃が閃く。
【 他の投降派の守備兵 】
「ぐぇっ……!?」
左右二刀を巧みに用いて、たちまち投降派の兵を血祭りにあげていく神速の剣士。
【 守備隊長 】
「むうっ!? あれはっ……」
そして剣士は、投降派を一掃した余勢をかって、跳ねるように城壁へと馳せのぼってくると、
【 ???? 】
「鉄虎門を守る勇士たち! もう心配は無用よっ! なぜならば――」
夜気を震わすような、甲高い大音声を放つ。
【 ???? 】
「なぜならば! このわたしが――」
――ドシュッ! バシュウッ!!
【 叛乱兵たち 】
「ぐぁっ……!?」
迫ってきた二人の叛徒を同時に切り伏せ、門から蹴り落としてみせた双剣の使い手、それは誰かと見れば――
【 カズサ 】
「――このわたしが! 人呼んで〈緋閃剣〉が! かの〈緋翔閃女〉様の末裔にして、陛下の無二の忠臣たるこのわたし! 閃・カズサが! 駆けつけたのだからっ!!」
【 守備兵 】
「おお――閃家のご令嬢っ!」
【 守備兵 】
「緋閃剣のお出ましか……! こいつは、無様は見せられん!」
カズサの勇名を知る兵たちが、大いに奮い立つ。
【 カズサ 】
「おーーーーっほっほっほ! その意気や良し! さぁ、わたしに続きなさいっ!!」
【 守備兵 】
「おおおっ……!!」
カズサの激励に応え、見るからに守備兵の士気が高まり、戦場の空気が一変したのだった――
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