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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
176/421

◆◆◆◆ 6-81 燎氏の変(67) ◆◆◆◆

 内城から宮城につながる大門をくぐると、左右に広大な祭場がある。

 その奥に、外廷への入り口となる〈鉄虎門てっこもん〉があり……

 そこは、今まさに苛烈なる戦場と化していた。


【 叛乱兵 】

「うおおおっ……!」


 殺気だった叛乱軍が殺到し、城壁に取りつき、よじ登ってくる。


【 守備隊長 】

「怯むな! もうしばらく耐えれば、城外の兵が戻ってこよう……!」


 門の上に陣取った守備隊長が、守兵たちを声をからして励ましている。


【 守備兵 】

「し、しかしっ、数が違い過ぎます……!」


 守備側の人数がすでに百を切っているのに対し、押し寄せてくる攻め手の数は、少なく見積もってもこちらの十倍以上と見えた。


【 守備隊長 】

「それでも――守り切る、のだっ!」


 ドシュウッ!


 みずから槍を振るい、城門を登ってきた兵を突き落とす。


【 叛乱兵 】

「ぐぇっ……!」


【 守備隊長 】

「賊の侵入を許すなっ! 押し返すのだっ……!」




【 リョウ家の家宰かさい 】

「我らは義兵なり! 正義は我らにあるぞ……!」

 *家宰……家長の代行者の意。


 賊とか叛乱軍というのは守兵からの見方であり、攻め手からすれば、自分たちこそが義兵――正義のために戦う兵である。

 そんな彼らを指揮しているのは、このたびの謀叛むほんの首謀者たるリョウ・ケンシの名代みょうだい、すなわちリョウ家の家宰かさいであった。


【 リョウ家の家宰かさい 】

(なんとしても、ご当主の期待に応えねば……!)


 彼自身はこれまで戦いなどしたことのない素人であり、率いているのは金で掻き集めてきた質の悪い兵にすぎない。

 莫大な恩賞を餌にして、ここまで乗り込んできたものの、数こそ多いが、士気はいたって低い。

 それでも、どうにか軍らしき形をなしているのは、


【 リョウ家の家宰かさい 】

(ここでしくじれば、リョウ家は一族皆殺しはまぬがれぬ……!)


 そんな気迫をもって、みずから指揮を執っている家宰かさいのおかげであろう。


【 リョウ家の家宰かさい 】

「この門を破れば、宝の山ぞ! 褒美は好きなだけくれてやるっ! いざ、進めっ!」


【 叛乱兵 】

「おおおおっ……!!」


 主の掲げる大義など知る由もない欲まみれの兵たちが、目を血走らせ、酸鼻さんびを極める血みどろの殺し合いへと突き進んでいく。


【 リョウ家の家宰かさい 】

「…………っ」


 初めて味わう殺伐とした戦場の空気に、家宰は己の心がどんどん乾いていくのを覚えていた。




【 守備隊長 】

「くそっ、あと少しだ……! 踏みとどまれっ!!」


【 守備兵 】

「た、隊長っ! 城門を開けようとしている者が……!」


【 守備隊長 】

「何ぃーッ!?」


 見れば、一部の守備兵が、城門の内側に積み上げられた砂袋をどかし始めている。


【 投降派の守備兵 】

「こんなところで、死んでたまるかよっ……!」


【 他の投降派の守備兵 】

「そうだっ……命あっての物種ものだねだぜ!」


 形勢不利と見て、敵軍に投降するべく、城門を開けようとしているのは明らかだった。


【 守備隊長 】

「おのれっ……! 誰か、誰か止めよっ!!」


 しかし、敵兵の猛攻もあって手が回らず、今まさに城門が開かれんとする――


【 守備隊長 】

「…………っ!」

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