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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
175/421

◆◆◆◆ 6-80 燎氏の変(66) ◆◆◆◆

 ――かくしてかの刹那、タイシンはホノカナの身を借り、ヨスガを殺した。

 そして、ほぼ同時に反転反魂はんてんはんごんの術が発動し、ヨスガは蘇生した――と、いうことであるらしい。


【 ヨスガ 】

「はぁっ、はぁっ……な、なるほど、なっ……あの商人あきんど……やって、くれるっ……!」


【 ミズキ 】

「……しかし、いかに占いとて、ここで術を仕掛けられることまでわかるものでしょうかっ……?」


【 ミズキ 】

(ホノカナを預けていったのも、そもそも、この一件を見越してのことだったのでは……?)


【 ヨスガ 】

「さてなっ……どうあれ今は、これ以上、詮索せんさくしている場合ではなかろう……はぁっ、ふぅっ……」


 と、かろうじて立ち上がるヨスガ。


【 ランブ 】

「陛下っ……ご無理はなさらず!」


【 ヨスガ 】

「そうしたいのは、やまやまだが……この状況、寝ているわけにもいくまいよ……!」


【 ゼンキョク 】

「脈拍は正常です……が、心身のあちこちが不安定ですね。一時的に死んでいた、というのは事実のようで……ふうむ、なるほど……」


【 ヨスガ 】

「ええい、『すこぶる興味深い、もっと調べたい』といいたげな顔で見るでないわ……!」


【 ヨスガ 】

「ちょっとした椿事ちんじはあったが……予定通り、ことを進める! 十二佳仙にはミズキとエキセンがあたれ! 我らは〈鉄虎門〉へと向かう……!」

 *椿事……思いがけない出来事、アクシデントの意。


【 ミズキ 】

「…………っ、心得ました」


【 エキセン 】

「はっ……!」


 しばし迷いを見せつつも、ミズキは駆け出していく。

 エキセンも、その後を追っていった。


【 ヨスガ 】

「では――ゆくぞ! おい、いつまでへたり込んでいるっ? さっさと肩を貸せい!」


【 ホノカナ 】

「あ――でっ、でも、わたし……わたしはっ……」


【 ヨスガ 】

「ええい、四の五の言うでないっ! さっさとせよ!!」


【 ホノカナ 】

「……っ、は、はいっ……」


 ホノカナは立ち上がって埃を払い、ヨスガに駆け寄る。


【 ヨスガ 】

「先ほどの一件、今は忘れよ! ことが終わり次第、タイシンめを呼びつけて、根掘り葉掘り問いただしてくれるゆえなっ……それまでは、胸にしまっておけ……!」


【 ホノカナ 】

「……っ、はいっ……!」


 足元をふらつかせながらも、己を叱咤するヨスガの姿が、とてもまぶしく思えるホノカナなのだった。



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