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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
174/421

◆◆◆◆ 6-79 燎氏の変(65) ◆◆◆◆

【 ホノカナ 】

「……っ、術を仕掛けられた瞬間、陛下が、生きていなければ――生者で、なければっ……!」


【 ミズキ 】

「! 死者が反転し、生者となる……!? し、しかし、そんなことがっ……」


【 ホノカナ 】

「……わたしも、信じられませんでした。でも……」




【 ホノカナ 】

「じゃ、じゃあ、陛下を助けるためにはっ……」


【 タイシン 】

「そうだ、術が発動する直前に、彼女を殺すしかない。……他でもない、きみが、その手でね」


【 ホノカナ 】

「えええっ!? そ、そんなの無理ですっ!」


【 タイシン 】

「まぁ、そうだろうね。そもそもきみの腕では、確実に彼女を殺すのは難しい。相手が、どれだけ隙だらけであったとしても」


【 タイシン 】

「そこで、こういうのはどうかな? その一瞬だけ……つまり反転反魂はんてんはんごんの術を仕掛けられる寸前だけ、私にきみの身体を借して欲しい」


【 タイシン 】

「私もさほど剣は得意じゃないが、無防備な相手を仕留めるくらいのことは可能だからね」


【 ホノカナ 】

「…………っ」


 あまりのことに言葉を失い、茫然となっているホノカナに構わず、タイシンは話を続ける。


【 タイシン 】

「そうそう、ちなみに目が覚めたら、この夢の内容をきみはすべて忘れる。覚えていたら、不審な態度を取ってしまうだろう? 思い出すのは、すべてが終わってからになる」


【 タイシン 】

「あとは、きみの覚悟次第だよ、ホノカナ。私の言葉を信じて、私に自分と彼女の命を懸けられるかな?」


【 ホノカナ 】

「……っ、うっ、うぅぅっ……」


【 タイシン 】

「きみが私を信じて身を委ねてくれるなら、ことは成就し、きっと彼女を助けられるだろう。ただし、少しでもきみに迷いがあれば……しくじるだろうね」


【 タイシン 】

「それに、たとえ成功したとしても、それでめでたしめでたしとは限らない」


【 タイシン 】

「もし陛下の蘇生が遅れれば、事情を知らない周りの者に殺される恐れもある。はたから見れば、きみはただの主殺しにすぎないのだから」


【 ホノカナ 】

「……ちょっ、ちょっと待ってください! 情報量が多過ぎてっ……ええっ? そんな、いきなり覚悟しろって言われても……」


【 タイシン 】

「ああ、気持ちはわかる。しかしあいにく、あまり時間がなくてね。持ち帰って週末までに検討します、というわけにはいかないんだ。この場で決めてもらいたい」


【 ホノカナ 】

「~~~~っ……!」


【 タイシン 】

「とどのつまりは、私のことを信じられるかどうか、だよ。もしかすると私は、きみを騙して、陛下を暗殺させようとしているだけなのかもしれないのだから」


【 ホノカナ 】

「…………っ」


【 タイシン 】

「さて、どうするね? 小さなホノカナ」


【 ホノカナ 】

「……っ、わ、わたし、は――」


 しばしの迷いののち、ホノカナは顔を上げた。


【 ホノカナ 】

「……っ、わかりました。お任せ、します!」


【 タイシン 】

「ほう――本当に、いいのだね?」


【 ホノカナ 】

「はいっ、ショウさんには、いっぱい恩があります。でも……それだけじゃなくて」


【 ホノカナ 】

「わたしは――ショウさんは、ウソはつかない人だと、そう思うので!」


【 タイシン 】

「――そうか」


 ホノカナの言葉に、タイシンは微笑を返したのだった――

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