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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
171/421

◆◆◆◆ 6-76 燎氏の変(62) ◆◆◆◆

 ゴオオォォ……


 燃えさかる極龍殿の中から、かろうじて脱出を果たしたヨスガ一行。

 少しでも遅れていれば、煙にまかれて、危ういところだったに違いない。

 他の宮殿とは距離があるので、延焼の心配はなさそうだった。


【 カズサ 】

「う、ううう……か、身体がもう、無理……無理ぃ……(ガクガク)」


【 ゼンキョク 】

「先ほどはりを打ったばかりですが、もう四五本ばかり追加しておきますか?」


【 カズサ 】

「そんなにたっぷり打たないとダメなの!? ええ、もうっ、好きなだけ打って頂戴っ……!」


【 エキセン 】

「人を爆弾あつかいとは……つくづく、趣味が悪いっ……!」


【 ランブ 】

「遅れた者はいないなっ?」


【 侍衛長 】

「はっ……! 皆、そろっております!」


【 ミズキ 】

「間一髪でした……陛下の判断が功を奏しましたね」


 宮殿内での待機を選んでいたなら、一手、遅れたかもしれない。

 その意味では、ヨスガの決断はまさに妙手みょうしゅだったわけだが……

 *妙手……碁や将棋における、優れた手の意。


【 ヨスガ 】

「………………」


【 ミズキ 】

「……陛下?」


 当のヨスガは、どこか釈然としない面持ちだった。


 いかに、幾度も修羅場を潜り抜けてきた強者たちといえども。


 危ういところを逃れて、ほんのわずかなりとも安堵を覚えなかったかと言われれば、それは嘘になるであろう。


【 ヨスガ 】

「油断するでない。もしも、我があやつらの立場ならば――」


 周囲を見渡しながら、ヨスガがいった。


【 ヨスガ 】

「――今、このときにこそ、仕掛けるであろう」



【 ???? 】

「ご明察です――陛下」



 ――ドスッ!!



【 ヨスガ 】

「ぐっ……!?」


 くぐもった呻き声が、漏れた。


【 ミズキ 】

「――――っ!?」


【 ランブ 】

「な――――」


【 カズサ 】

「!?!?」


【 エキセン 】

「――――っ!」


【 ヨスガ 】

「…………!!」


 ヨスガの胸から、白刃が突き出している。

 すなわち、背後から剣で刺し貫かれたのだ。

 そして、その剣の持ち主は――――


【 ホノカナ 】

「…………」


 ヨスガより宝剣を託された宮女、リン・ホノカナ。



 皇帝陛下を、きみの、その手で――


 ――殺してほしい。



【 ヨスガ 】

「………………」


 ――ドサッ!


 ヨスガが――否、ヨスガだったものが、地に崩れ落ちた。

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