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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
170/421

◆◆◆◆ 6-75 燎氏の変(61) ◆◆◆◆

【 ミズキ 】

「陛下、支度が整いました」


【 ヨスガ 】

「うむ」


【 ランブ 】

「あの者たちは、いかがいたしましょう?」


 ランブが指したのは、柱に縛りつけられた二人の方士……すなわち、捕獲されたろくの仙とさんの仙である。

 シラクサに絞め落とされた前者はほぼ無傷であったが、後者は虫の息であったのを、ゼンキョクが処置を施し、一命は取りとめさせている。

 今はどちらも眠らされており、ピクリとも動かずにいた。


【 ヨスガ 】

「ふむ……連れて行ったとて、人質にもなるまい。本来なら、牢にでもぶち込んでおくところだが、そんな暇も惜しい」


【 ヨスガ 】

「ここに置いていってよかろう。すべて片付いたら、その後で処分は決めればよい」


【 ミズキ 】

「心得ました。それでは……」


 と、一同がその場を離れようとした、そのとき――


【 ろくの仙 】

「ぐ、あ、あ、あああ……!」


【 さんの仙 】

「うぐっ……!? ぐ、うううう……!」


 突然、方士二人がただならぬ呻き声を漏らし始めた。


【 ミズキ 】

「――っ? 失神しているはずでは――」


【 エキセン 】

「っ! いかんっ、皆、下がれっ!!」


 エキセンが、いつにない大声を放つと同時に、


 ボオオオオオッ!!


【 ホノカナ 】

「ひっ……!?」


【 ろくの仙 】

「ぎっ……あっ、アアアアア……!!」


【 さんの仙 】

「ぐっ……アッ……ガッ……アアア……!!」


 突如、両者の身体が炎上した。

 そして、一瞬ののち――


 ――ドオオオオォン!!


【 ヨスガ 】

「…………っ!」


 轟音とともに爆発四散する二人の肉体!

 炎が周囲に飛散し、その一部が一同めがけて飛んでくる――


【 ランブ 】

「陛下っ!!」


 とっさに、ランブと侍衛たちがヨスガの前に立ちはだかり、壁となる。


【 ミズキ 】

「――はぁああっ!!」


 ミズキの放った〈空刀そらがたな〉が、炎の弾丸を次々と撃ち落とす。


【 カズサ 】

「このっ……おおおっ!!」


 痛みに耐えながらも剣を振るい、飛来する炎を打ち払うカズサ。


【 エキセン 】

「趣味の悪い……爆弾だ……!」


 エキセンは弾弓パチンコで火薬弾を放ち、飛んでくる炎を迎撃する。


【 ゼンキョク 】

「これが十二佳仙の奥の手……というところでしょうか。確かに……趣味が悪い」


 ランブの背後に身を潜めつつ、ゼンキョク。

 周囲に飛び散った炎が燃え移り、たちまち宮殿内は火の海と化していく。


【 ヨスガ 】

「長居は無用だ! 皆、く脱出せよ!」

 *疾く……すぐに、さっさとの意。


 すでに支度を整えていたため、一同は滞りなく退去していく。


【 ホノカナ 】

「……あれっ?」


 なにかを忘れているような気がしたホノカナだったが、


【 ホノカナ 】

(気のせいかな……?)


 そのまま、ヨスガたちの後を追って駆けていったのだった。

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