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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
168/421

◆◆◆◆ 6-73 燎氏の変(59) ◆◆◆◆

【 ホノカナ 】

燃拳豪仙ねんけんごうせん……!? それってたしか――神仙の……!?」


【 ミズキ 】

「そう、神祖に仕えた武烈十七卿のひとり、コウ老師の傍らにあって彼を助けたという〈二友〉――それが燃拳豪仙と、火煉公主かれんこうしゅ


【 ホノカナ 】

「あ、あの方が、神仙だったなんてっ……」


 確かに、いささか風変わりではあったが……まさか、人ならざる存在だったとは、まるで気づけなかった。


【 ヨスガ 】

「不明を恥じることはない。神仙といっても、一見してわかるような者ばかりではないゆえな。中には、素知らぬ顔で民に混じって暮らしている輩もいるほどだ」


【 ホノカナ 】

「そ、そうなんですね……」


 もしかして、今まで会ってきた人たちの中にも、それと気づかないだけで、神仙がいたのだろうか……と思うホノカナ。


【 ホノカナ 】

「あっ……じゃあ、もしかして、カツミさんの後に会った、あの子も……!?」




 帝都を焼く炎は、今なお四方で猛り狂い、建物を焼き、人々を追いやっている。


【 アズミ 】

「ぼうぼうって、よく燃えてるなー」


 宮殿の屋根に腰かけた少女が、都を焼く大火を見つめている。

 かつてホノカナと会った娘、レン・アズミであった。


【 アズミ 】

「……んー? ランハ? どうしたのー? え、そろそろ、火を消せー? もっと見てたいのにー」


 ふいに頭の中に響いた声に、不満そうにしている。


【 アズミ 】

「……ごほうび、くれるー? んー、それなら、いいかなー」


 と、アズミは炎上する市街を指差し――


【 アズミ 】

「――“カーン”」


 そう言って指を挙げると、帝都を焦がしていた炎が、たちどころに中空へと吸い上げられていく。

 炎はそのままひとつの塊となり、巨大な火の玉と化した。


【 アズミ 】

「どこか、いっちゃえー」


 と、アズミがポイと投げるような仕草をすると、そのまま火球はいずこかへと飛び去っていったのだった……




【 ホノカナ 】

「そ、そんな……ちょちょいのちょいで、みやこ中の火事を消しちゃったんですか……!?」


【 ヨスガ 】

火煉公主かれんこうしゅ……それほどの力を見せたなら、これはさすがに、本物と見なさねばならぬようだな」


【 ミズキ 】

「そうですね……迂闊に手を出さずにおいて正解だったようです」


【 ホノカナ 】

「そ、そんなに落ち着いてていいんですかっ? もし、こっちに攻めてきたらっ……!」


【 ヨスガ 】

「あちらが言っていたであろう? こちらが手を出さぬ限りは、動かぬとな」


【 ホノカナ 】

「で、でも……」


【 ヨスガ 】

「神仙というのは、現世の争いに首を突っ込まぬものだ。原則的には、だが」


【 ミズキ 】

「ひとまず、東の宮については触れずにおきましょう。……外廷がいていの状況は?」


【 シラクサ 】

「はっ……十二佳仙どもは、もはや打つ手なく、慌てふためいておりましたが、新たになにやら動き始めたようで……」


【 ヨスガ 】

「ふん、往生際の悪い連中よな。だが、放ってもおけぬか」


【 ミズキ 】

窮鼠きゅうそ猫を噛む――とも言います。油断は禁物かと」


【 ヨスガ 】

「して、〈鉄虎門てっこもん〉の方はどうだ?」


 宮城と内城を繋ぐ大門をくぐると、左右に広大な祭場がある。

 その奥に、外廷へと繋がる〈鉄虎門〉があった。


【 シラクサ 】

「はっ、叛徒が押し寄せており、守兵がかろうじて押しとどめておりますが、いかんせん多勢に無勢にて……このままでは厳しいかと」


【 ヨスガ 】

「ふむ……状況はわかった。されば――」


【 ヨスガ 】

「――これよりいかに動くべきか、そなたたちの考えを聞こう」

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