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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
166/421

◆◆◆◆ 6-71 燎氏の変(57) ◆◆◆◆

 一息、ついたところで……


【 ヨスガ 】

「あらためて、皆に紹介するとしよう。我影也しのびのもの――すなわち、サツ・シラクサだ」


【 シラクサ 】

「~~~~っ……!」


 一同の視線を集めて、真っ赤になって萎縮してしまっている。


【 シラクサ 】

「よ、よよ、よろしく、おね、おね、お願いいたしますっ……」


 どもりに加えて声も小さく、何を言っているのかまるでわからない。


【 カズサ 】

「……この挙動不審な童子が、本当に……?」


 不審の色を隠さないカズサ。

 ゼンキョクにはりを打たれたりきゅうえられたりしたことで、多少調子を取り戻している。


【 ランブ 】

「陛下の窮地を救ってくれたとか……礼を言わせてほしい」


【 シラクサ 】

「~~~~っ! そそ、そんな、あわ、あわわわ……!」


 巨体を折り曲げて感謝を告げるランブに、ますます動揺を露わにしている。


【 ヨスガ 】

「では、現在の状況を聞こう――シラクサ」


【 シラクサ 】

「――――っ」


【 ホノカナ 】

「えっと……今、周りはどうなってます?」


【 シラクサ 】

「は、現在のところ、まず内廷ないていにおいては――」


 ヨスガに直接声をかけられても口ごもっていたシラクサだが、ホノカナにうながされると、よどみなく説明を開始した。


【 カズサ 】

「(このかた、どうして小万勇ホノカナさんを経由しているのかしら……?)」


【 ミズキ 】

「(さぁ……彼女になついているのでは?)」


 事情を知らない面々の困惑はさておき……


【 シラクサ 】

「――まず、ナギ公、セン公が戦った剣士ですが、すでに姿を消しており、宮城内に気配はありません」


【 ランブ 】

「うむ……」


【 カズサ 】

「どうして、断言できるのかしら?」


【 シラクサ 】

「そ、そそ、それは、その――」


【 ホノカナ 】

「……どうして、わかるんですか?」


(※作者注:以下、ホノカナを経由するくだりは省略する)


【 シラクサ 】

「は――宮城内の各地に我が〈分身〉を仕込んであり、それを経由して、様子を探ることが可能です。情報収集程度で、戦いの手助けなどはできませんが……」


【 ミズキ 】

「なるほど、城内のどこにいても、視線を感じてはいましたが……そういうことでしたか」


【 シラクサ 】

「そして、女官長とアン公が撃退した妖魔ですが……こちらも、気配はありません。ただ、妖魔は理外の存在なので、確証はございませんが」


【 ミズキ 】

「仕方ないでしょうね……では、逃げ出した刺客の一味は?」


【 シラクサ 】

「は――裏門から離れた後、東の宮へ向かったよし


【 ミズキ 】

「それなら……心配は無用でしょうね」


【 ヨスガ 】

「まあ、そうなるな」


【 ホノカナ 】

「えっと……でも、大丈夫なんですか? 国母さまの方は……」


【 ミズキ 】

「心配は無用です。あなたも、会ったのでしょう? 例の〈二友にゆう〉に」


【 ホノカナ 】

「えっ……?」




 これより、少し前のことである。


【 刺客の頭目 】

「……はぁっ、はぁあっ……」


【 他の刺客 】

「頭目っ……ご無事ですかっ?」


【 刺客の頭目 】

「……っ、大事だいじないっ……」


 ミズキや妖魔によって返り討ちにあったかの刺客の一団が、態勢を立て直そうとしていた。


【 刺客の頭目 】

「……何人、残っている?」


【 他の刺客 】

「は……五名です」


【 刺客の頭目 】

「そうか……」


【 他の刺客 】

「どういたしましょうっ……?」


【 刺客の頭目 】

「…………」


【 刺客の頭目 】

「……この人数では、もはや当初の目的を果たすことはかなわぬ」


【 刺客の頭目 】

「されど、何の手柄も立てず、おめおめと引き下がれるものか……!」


【 他の刺客 】

「ではっ……?」


【 刺客の頭目 】

「目標を変える! 金の宝が無理ならば、銀の宝を手にするのみ……!」


【 他の刺客 】

「……はっ!」


 刺客たちは、東の宮……すなわち、コウ太后の住まう宮殿へ、まっしぐらに駆け出した。

 もとより、狙うは銀の宝、皇太后の首にほかならない。


【 他の刺客 】

「――頭目! 何者かが立ちはだかっております……!」


【 刺客の頭目 】

「む――たった一人……しかも、手ぶらだと……!?」


 先ほどの裏門での苦闘を思い出し、思わず足が止まる刺客たち。


【 軽装の女 】

「やぁ、お客さんがた。こんな夜更けに、何用だい?」

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