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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
160/421

◆◆◆◆ 6-65 燎氏の変(51) ◆◆◆◆

【 セイレン 】

「私に……ごふっ、いい考えが、あります……!」


【 エキセン 】

「妙案とは……?」


【 セイレン 】

「はぁっ、はぁあっ……あの化け物に、ありったけの爆弾を、食らわせてやって、くださいっ……!」


【 エキセン 】

「だが、それでは――」


【 セイレン 】

「ええ、私たちも、巻き込まれる……しかし、そうは、させません――私が必ず、防いで、みせましょう……!」


【 エキセン 】

「しかし、その深手では……」


 と、言葉を交わすあいだに。


【 蟲のような異形 】

「グオオオオ……!!」


【 エキセン 】

「……! あれは――」


 絡繰りの姿が、変形していた。

 手足を折りたたみ、ダンゴムシのごとく丸まっている。

 さしづめ、防御特化の形態というところか。


 ――ドンッ! ドドドォッ!!


 爆発もなんのその、そのまま回転しながら突き進んでくる……!


【 エキセン 】

「ちいっ……!」


 泡爆弾の結界を突き破り、猛然と迫ってくる絡繰り。


【 セイレン 】

「エキセン……殿っ!」


【 エキセン 】

「任せて……いいなっ……!?」


【 セイレン 】

「ええっ……!」


【 蟲のような異形 】

「ガアアアアッ……!!」


 二人を押しつぶさんと、異形が回転しながらまっしぐらに迫ってくる……!


【 エキセン 】

「ならばっ……!」


 懐に両手を忍ばせたエキセンが、二本の矢筒やづつを取り出す。


【 エキセン 】

「木っ端――」


【 エキセン 】

「――微塵みじんとなれ……!」


 左右の腰に構えた筒から矢が飛び出し、絡繰りに直撃する――


 ――ズッドオオオオオオオォンッ!!


【 蟲のような異形 】

「ギイイィアアアアアアアアアッッッ!?」


 激烈な威力の火薬が炸裂し、絡繰りを爆砕する――

 と、同時に。


【 セイレン 】

「おおおおおっ……!」


 手負いのセイレンが、エキセンの前に飛び出し、印を結ぶ。

 爆風と衝撃破が、迫る――


【 セイレン 】

「“万物ばんぶつ”は“流転るてん”し――」


 えるように、じゅを放つセイレン。


【 セイレン 】

「――――ここに“収束”するっ……!!」

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