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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
150/421

◆◆◆◆ 6-55 燎氏の変(41) ◆◆◆◆

【 ろくの仙 】

「フン……使えぬ奴よ。せっかく、露払つゆはらいに任じてやったというのに、な」

 *露払い……貴人の先導役の意。


 倒れ伏したさんの仙を足蹴にしている。

 いわば、身代わりとして利用していたにすぎなかったらしい。


【 ろくの仙 】

「ククク……もはや、手向かいは無用ですぞ」


【 ヨスガ 】

「ふむ……なるほどな。より確実性を重んじるためであったか。侮れぬな」


【 ホノカナ 】

「なるほどって感心してる場合ですか~!?」


【 ろくの仙 】

「されば、陛下――」


【 ホノカナ 】

「…………っ!」


 迫るろくの仙に立ちはだかり、せめてヨスガの盾になろうとするホノカナであったが――


【 ろくの仙 】

「! ぬうっ……!?」


 なぜか、とっさに飛びすさり、間合いを取るろくの仙。


【 ホノカナ 】

「……っ? も、もしかして、わたしの必死の気迫に押されてっ……!?」


【 ヨスガ 】

「いや、それはありえまいが――むっ?」


【 ホノカナ 】

「っ!? か、影がっ……!?」


 ヨスガの影が、異様なゆらぎを見せたかと思うと、


【 ホノカナ 】

「――っ!? わぁああっ?!」


【 ???? 】

「――――っ」


 床から、何者かが飛び出してきた――


【 ホノカナ 】

「え、ええっ!? へ、陛下の影から、人が……!?」


【 ろくの仙 】

「…………っ!」


【 ???? 】

「…………」


 甲冑姿の長身の人影が、ヨスガの傍らに立っていた。


【 ヨスガ 】

「――――」


【 ホノカナ 】

「もしかしてっ、陛下の護衛……!? こんな切り札を隠してたんですねっ、さすがですっ!」


【 ヨスガ 】

「いや……知らん。初めて見た」


【 ホノカナ 】

「ええっ!? じゃ、じゃあ、誰なんですっ!?」


【 ヨスガ 】

「それは我の台詞よ。そなた――何者だ?」


【 ???? 】

「…………」


【 ヨスガ 】

「! そうか、そなた……我影也しのびのもの、だな?」


【 我影也 】

「…………」


 小さく頷いて、ヨスガを守るように立ちはだかる。


【 ホノカナ 】

「我影也って……あっ、あの、密かに情報を送ってくれるっていう……?」


【 ヨスガ 】

「うむ……このような姿だとは、我も知らなかったがな」


【 我影也 】

「…………」


【 ろくの仙 】

「ぬうっ……!」


 思わぬ邪魔者に、身構えるろくの仙。


【 ろくの仙 】

「――――っ!」


 方術で加速した踏み込みで、一気に間合いを詰める――


【 我影也 】

「…………」


 ドカッ! バキッ! メキイッ!


【 ろくの仙 】

「なんだっ……こけおどしかっ!」


 無抵抗で打撃を受け続けている。


【 ホノカナ 】

「あ、ああっ……!」


【 ろくの仙 】

「これで――仕留めてくれるっ!」


【 我影也 】

「…………!」


【 ヨスガ 】

「待て――殺すな!」


【 ろくの仙 】

「なにを――っ!?」


【 我影也 】

「──御意ぎょい――」


 ミシッ……!!


【 ろくの仙 】

「ぐっ……はっ……!?」


 一瞬の早業であった。

 我影也は方士の背後に回り、その首に腕を絡め、絞めていた。


【 ろくの仙 】

「…………!」


 口から泡を吹きながら、あえなく失神するろくの仙。


【 我影也 】

「…………」


【 ホノカナ 】

「す――す、すごいっ……!」


【 ヨスガ 】

「うむ――見事である! そなたは――」


【 我影也 】

「……ぅ、うっ……ううっ……!」


 ふいに呻き声をこぼしつつ、ひざまずく我影也。


【 ホノカナ 】

「……えっ?」


 ……シュウウウウ……


【 我影也 】

「…………!!」


 突然、我影也の全身から白い煙が立ちのぼりはじめた……

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