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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
146/421

◆◆◆◆ 6-51 燎氏の変(37) ◆◆◆◆

【 セイレン 】

「く、来るなら……ごふっ! もうちょっと、早く来てほしかったです、ねっ……!」


【 エキセン 】

「クク……すまん……ちと、迷った」


【 セイレン 】

「そ、そんな感じ……!? 私、もう、死にそうなんですけどっ……!」


【 エキセン 】

「もう少し……踏ん張れ。ゼンキョクが来るまで、耐えれば……助かる。……たぶん」


【 セイレン 】

「た、たぶん……!? それまで……もたなかった、ら……!?」


【 エキセン 】

「…………」


【 セイレン 】

「…………!?」


【 エキセン 】

「――あなたのことは、忘れない。どうか、安らかに眠ってほしい」


【 セイレン 】

「急に丁寧になるのやめてくれますぅっ!? ……ごふっ!」


 もはや、ツッコミも命懸けのありさまであった。


【 エキセン 】

「フフ……まだまだ……元気そうでなにより――」


 弾弓で、続けざまに火薬の詰まった弾を放っていく。


 ――ドォンッ! ドゴォッ!!


【 異形の刺客 】

「――っ!」


 次々と破壊されていく、絡繰りの刺客たち。


【 セイレン 】

「おぉっ……大した、威力……!」


【 エキセン 】

「クク……だが、あいつは……まずい……な」


 かの、蟲のごとき傀儡は――


【 蟲のような異形 】

「ギイイ……イイイィィ……!」


【 セイレン 】

「これ、はっ……再生、しているっ……!?」


 先ほどかなりの損傷を負っていたはずであるが、今や、あらかた回復してしまっている。


【 エキセン 】

「もっと強い火薬を、使わねば……それでいて、やり過ぎれば、こちらも生き埋め……厄介、だなっ……クフフ……!」


【 セイレン 】

「な、なんで、楽しそうなんですかっ……ぐふぅっ!」




【 ヨスガ 】

「この、小刻みな揺れ……エキセンの爆破だな」


 なおも琵琶を演奏し続けながら、ヨスガが耳をそばだてる。


【 侍衛長 】

「はっ、先遣隊が間に合ったかと……!」


【 ヨスガ 】

「む……ならば、この足音は――」


 ドンドン! と扉を叩く音が響く。


【 ホノカナ 】

「陛下っ! リン・ホノカナ、参上いたしました!!」


【 ヨスガ 】

「……きたか。入れてやれ」


【 侍衛長 】

「は――」




【 ホノカナ 】

「遅くなって申し訳ありません、陛下っ!」


【 ヨスガ 】

「ふむ……」


 ヨスガは、埃まみれで平伏するホノカナに目をやると、


【 ヨスガ 】

「――遅いっ! 遅すぎるわ!!」


【 ホノカナ 】

「も、申し訳ありません~~っ!」


 一喝され、ひたすら頭を下げるホノカナ。


【 侍衛長 】

「そうですよ、ホノカナ殿! 陛下は先ほどからずっと、あやつはまだか、あやつはどうした、と心配しておいででした!」


【 ヨスガ 】

「はぁ!? 適当なことを申すでないわ!」


【 ホノカナ 】

「そ、そうだったんですね! でも、そんなことだろうと思ってました!」


【 ヨスガ 】

「はぁあぁ!? そなたも調子に乗るでないわ!! 後でしこたま折檻せっかんしてくれるゆえ、忘れるでないぞ!!」


 楽器を演奏しているばかりに、口で罵倒することしかできないヨスガであった。

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