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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
135/421

◆◆◆◆ 6-40 燎氏の変(26) ◆◆◆◆

【 ミズキ 】

「――はあああっ!」


 ブォンッ!


 迫り来る妖魔の手目がけて、気合一閃、ミズキが太刀を振るう。

 すると、触手は彼女に近づくこともならず、たちまち粉みじんとなった。

 〈空刀そらがたな〉は徒手空拳の技だが、いわばその応用である。


【 セイジュ 】

「おお――さすがの手並み!」


【 ハナオ 】

「――むぅんっ!」


 直立不動の状態から放ったハナオの拳が、迫りくる数知れない手を続けざまに粉砕する。


【 セイジュ 】

ロウ姉妹きょうだいもやるものだ! あっ、私は荒事は苦手なので……任せたよ!」


【 ミズキ 】

「はっ? ならば、なぜノコノコとこんなところに……! バカなのですかっ!」


 次々と迫ってくる魔手を切り伏せながら、ミズキが毒づく。


【 ハナオ 】

「はぁっ? 盟主をバカ呼ばわりするなんて……どこまで身の程知らずな……後で八つ裂きにして犬に食わせてあげる……!」


 これまた押し寄せる魔物の手を打ち払いつつ、ハナオが罵る。


【 ミズキ 】

「バカをバカと言って、なにが悪いんですかっ!」


【 ハナオ 】

「またバカって言った!? 盟主! 先にこの小娘から片付けてもいいですかっ? いいですよね!?」


【 セイジュ 】

「君たちさぁ、そういうのは後にしてくれないかな!?」


 などと言い合いつつも、妖魔の猛攻をしのいでいたところへ、


【 奇妙な存在 】

「んん……そうだ……ちゃんと、“皮”は、むかないと……」


 ブシャアアアアッ!!


【 ミズキ 】

「――なっ!?」


 突然、怪物の身体から部屋中に大量の粘液が飛び散り、ミズキたちにまとわりつく。


【 ミズキ 】

「うぐっ……これはっ……剣がっ!?」


 肌は無傷だというのに、剣が腐食しはじめた。

 さらには、じわじわとではあるが衣服も溶けてきている。

 ただの粘液ではなく、かの妖魔の“余計なものだけを溶かす”という意思がこもった呪物的な体液である。


【 ハナオ 】

「ちいっ……洒落た……真似をっ!」


【 セイジュ 】

「やはり妖魔はなんでもありらしいっ……このままだと、食われるのを待つだけか……!」


【 ハナオ 】

「させません――盟主だけでも、逃げていただきます……!」


【 セイジュ 】

「ありがたいけど、そうもいかないさ。こいつを片付けるまではね……!」


【 ミズキ 】

「しかしっ……どうやって!?」


 この有り様では、迂闊に近づくことすら、ままならない。


【 セイジュ 】

「うん、仕込みはしてあるよ――っと!」


 と、セイジュが手にした鉄扇を振る。


【 ミズキ 】

「っ! これは――」

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