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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
128/421

◆◆◆◆ 6-33 燎氏の変(19) ◆◆◆◆

 極龍殿の正門で、ランブとカズサが難敵と相対している頃。

 裏門においては――


【 刺客の頭目 】

「うぬ、こやつ……!」


【 ミズキ 】

「早々にお引き取りいただけると助かるのですが……そうもいかないようですね」


 正門の突破を断念し、裏へと回った黒衣の刺客の一団が、女官長ミズキと対峙していた。

 彼女の周囲には、たおれた刺客たちが転がっている。

 しかしそれでも逃げ腰にはならず、


【 刺客たち 】

「死ね……っ!」


 正面から、ふたりの刺客が同時に迫る――


【 ミズキ 】

「――――っ」


 ミズキが両手を敵に向けるや否や、


【 刺客たち 】

「――がっ!?」


 悲鳴とともに、もんどりうって地に転がる刺客ふたり。

 その身には傷ひとつないにもかかわらず、一撃で仕留められていた。


【 ミズキ 】

(この刺客たち、ただのごろつきではない……むしろ、訓練された暗殺者集団か?)


【 刺客の頭目 】

「貴様っ……よもやその技、〈空刀そらがたな〉かっ?」


【 ミズキ 】

「おや、よくご存じですね。答える義務はありませんが……まあ、お察しの通り、といっておきましょう」


 空刀――

 己の体内で練った気を見えざる刀と化し、離れた敵を撃つ……とされる秘技である。

 もとより、誰もが使いこなせるような武術ではない。


【 他の刺客 】

「まさか!? 空刀を使いこなせるのは、〈天下七剣てんかしちけん〉級の剣士だけのはずっ……!」


【 刺客の頭目 】

「……っ、聞いたことがある。かつて、うら若い娘の身にして、天下七剣に数えられた遣い手がいると」


【 他の刺客 】

「〈紅雪華こうせっか〉!? しかし、処断されたはずではっ……」


【 ミズキ 】

「…………」


 優雅な笑みを浮かべたまま、否定も肯定もしないミズキに、刺客たちは息を呑む。


【 ミズキ 】

「かくいう貴方がたも、どうやら只の狼藉ろうぜき者ではないようですね」


【 刺客の頭目 】

「――っ、知れたことよ! 今こそ、我らが武名を天下にとどろかせ、汚名をすすぐ好機っ……!」


【 ミズキ 】

「ほう、名のある一門とみました。名乗ってはいただけないのかしら?」


【 刺客の頭目 】

「ふん、貴様の今際いまわきわに教えてくれる!」

 *今際の際……死ぬ寸前、臨終の意。


【 ミズキ 】

「おやおや……では、最後まで教えてはいただけないようですね。残念なことです」


【 刺客の頭目 】

「ぬうっ……貴様っ!」


【 他の刺客 】

「頭目っ……!」


【 刺客の頭目 】

「相手が紅雪華となれば、生半可な手は通じぬ――〈死陣しじん〉を使う!」


【 他の刺客 】

「――はっ!」


 頭目の命令一下、刺客たちが整然と動き始める。


【 ミズキ 】

(! これは――)

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