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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
116/421

◆◆◆◆ 6-21 燎氏の変(7) ◆◆◆◆

【 ヨスガ 】

「――――っ」


 極龍殿に移動したヨスガは、ふと顔を上げて、耳を澄ませた。


【 ミズキ 】

「どうなさいました?」


【 ヨスガ 】

「いや……あやつはどうしただろう、と思ってな」


【 セイレン 】

「おお、愛しの妹君ですか? なに、心配せずとも、ほどなく参ることでしょう!」


【 ヨスガ 】

「だれが愛しの妹だ……あやつのことだから、ぐずぐずしているあいだに宿舎から出られなくなって、きゅうしているのではないかと思ってな」


【 セイレン 】

「うわ~、容易に想像できますねぇ~」


【 ミズキ 】

「まあ、その可能性は否定できませんが……」


 と、嘆息しつつも。


【 ミズキ 】

「しかし、そうなったらそうなったで、きっとなんとかして駆けつけてくることでしょう」


【 ヨスガ 】

「ほう、ずいぶんと信頼しているようではないか、女官長どの」


【 ミズキ 】

「そうですね、彼女自身はやや……いえ、普通に……否、相当にあぶなっかしいのですが」


【 ミズキ 】

「彼女を取り巻くえにしのようなものには、信を置いています」


【 ヨスガ 】

「ふん、縁――か。ずいぶんと響きのいい言葉だが」


 ミズキの言に、ヨスガは眉をひそめた。


【 ヨスガ 】

「……それが、作為的なものでなければよいがな」


【 ミズキ 】

「…………」


 そこへ、ランブが駆けつけてきて一礼する。


【 ランブ 】

「――陛下、兵の配置を終えました」


【 ヨスガ 】

「うむ――――」


 立ち上がり、手にした琵琶の弦を撫でるヨスガ。


【 ヨスガ 】

「間もなく、ここは戦場となる。者ども、我を守り抜き――」


【 ヨスガ 】

「――そして、いかなる手を用いても、生き延びよ! ここは死地だが、死に場所ではない!」


【 ランブ 】

「はっ……!」


 巨体を屈めて応じるランブ。


【 ミズキ 】

「御意――」


 優雅に装束の裾を持ち上げるミズキ。


【 セイレン 】

「わははは! お任せあれ! この天衣無縫の仙術師にして! 古今無双の大軍師たるセイレンあるかぎり、我らに敗北などあろうはずもございませんともっ!」


 あかざの杖を手に、呵呵大笑かかたいしょうするセイレン。


【 ヨスガ 】

「ふん、今はその大言壮語も快なりと言っておこう――まずは、先遣隊と合流するまで持ちこたるのだ!」


 かくして、極龍殿の攻防戦がここに幕を開ける――




 ドシャッ……!


【 黒ずくめの男 】

「があッ……!」


【 シキ 】

「ひっ!?」


【 ホノカナ 】

「……えっ!?」


 鮮血を飛び散らせながら倒れ伏したのは、シキでもホノカナでもなく、黒衣の刺客だった。


【 ホノカナ 】

(誰かが……助けてくれたっ?)


 と、思ったのも束の間。


【 ホノカナ 】

「なっ……」


 ホノカナは、思わず目を見開いた――

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