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【第一部完結】薄明のエンプレス~大宙帝国興亡記~  作者: おおがみ陣矢
第一部 「落華流帝」編
105/421

◆◆◆◆ 6-10 弁明 ◆◆◆◆

【 緋閃剣 】

「どうなのかしらっ? あなた……あの方と、そういう仲なのではっ?」


 卓に身を乗り出し、ヨスガとの仲を問い詰めてくる緋閃剣。


【 ホノカナ 】

「~~っ、ち、違います! そんなこと、絶対に! ありえませんから!」


 慌てて首を振ってみせる小万勇ホノカナ。


【 緋閃剣 】

「どうかしら……ずいぶんと目をかけられて、ずっとお側にはべっているという話だけれど?」


 ホノカナを見定めるような、じっとりとした目を向けてくる。


【 ホノカナ 】

「ま、まぁ、一緒にいる時間が長いのは、確かですけど……」


【 緋閃剣 】

「――――っ」


【 ホノカナ 】

「でも、そういうのじゃ全然っ! 全っ然っ、金輪際、ないですからっ!」


 緋閃剣の刺すような視線に、両手を振って否定してみせる。


【 緋閃剣 】

「そこまで必死になるあたりが、むしろ怪しいわね……!」


【 ホノカナ 】

「ええ……!?」


 いったいどうしろと……という気持ちになってしまう。


【 緋閃剣 】

「……コホン、勘違いしないでちょうだい」


 やや冷静になったかのごとく、席に腰を下ろし、


【 緋閃剣 】

「別にあの方が、誰となにをしようが、わたしが口出しすることではないのよ。ねぇ、そうでしょう?」


 と、同意を求めてくる。


【 ホノカナ 】

「は、はぁ……ですよねっ!」


【 緋閃剣 】

「いかに至尊(天子)の地位にあるとはいえ、あの方もひとりの人間ですもの。その交友関係や嗜好にあれこれ意見するなど、不遜にして傲慢というものでしょう?」


【 ホノカナ 】

「そ、そうですねっ!」


【 緋閃剣 】

「――しかしっ!」


【 ホノカナ 】

「――――っ」


【 緋閃剣 】

「上に立つ者が、ろくでもないやからを寵愛し、えこひいきするのは、国が傾く兆し! そうは思わなくてっ?」


【 ホノカナ 】

「は、はぁ、それはまぁ……」


 緋閃剣の勢いに押されつつ、頷いてみせる。


【 緋閃剣 】

「ゆえに! わたしはこの目で、見定めたくなったのよ。あの方が選んだという者が、どれほどの器なのか、とね……!」


【 ホノカナ 】

「そ、そうなんですか……」


【 救神双手 】

「本来は私ひとりで来るつもりでしたが、強引についてきたのですよ。無関係な霹靂匠まで巻き込んでね」


【 霹靂匠 】

「ククク……とばっちりにもほどがある……」


【 緋閃剣 】

「ちょっと!? 余計なことは言わなくていいのよ!」


 身内の暴露に動揺しつつも、


【 緋閃剣 】

「とにかく! わたしがこうして直接見たところでは、あなたは――」


【 ホノカナ 】

「……わ、わたしは?」


【 緋閃剣 】

「――無害! 毒にも薬にもならない、ただの凡骨ぼんこつそのものねっ!」


【 ホノカナ 】

「はぁ……」


 前にも似たようなことを言われたのを思い出す。

 自分でもそう思ってはいるけれども、わざわざ他人に言われると、当然ながらいい気分はしない。


【 緋閃剣 】

「あぁ、どうか気を悪くしないでちょうだい。そもそも、この世のほとんどの者は凡骨なのだから。それは罪でもなんでもないの。凡骨でありながら大それた野心を抱くのが罪なのよ!」


【 緋閃剣 】

「ごく少数の選ばれし者だけが、天より才を授かり、世を治める使命を与えられる……そう、このわたし――〈セン・カズサ〉のごとく!」


【 ホノカナ 】

「あっ」


【 救神双手 】

「あっ」


【 霹靂匠 】

「あ」


【 カズサ 】

「……あっ?」


【 ミズキ 】

セン姉妹きょうだい……名乗ってしまっていますよ」


【 ホノカナ 】

「あっ……い、いえ,大丈夫ですよ、聞き逃しましたから! 緋閃剣さんっ!」


【 カズサ 】

「クッ……気を遣われると余計に傷つくわっ……!」

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