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En-gi2  作者: 奇文屋
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第四話

 港から走り去って、賑わう夜の街を駆け抜ける。

人波に逆らい、流れに沿って駆ける。

「少し、休もう。これだけ人がいれば追っ手も」

 トモは前だけを見つめている。

ロナは息を切らせ、足取りも少し重たくなってきている。

「ダメだ。まだ振り切れていない」

 これだけの人がいるのに、襲ってくるなんて。

 トモが剣を抜いて、振り下ろす。

金属音が響き、起動された武器が輝く。

それを見た周囲は一気に引いて、悲鳴が響く。

振り下ろされた槍を受け止める一条の光。

 トモの攻撃を防いだ背の高い金髪の男。

黒いスーツからでも分かるほどガッシリした体格。

トモも華奢な方ではないが、比べると華奢に見える。

「おい。先に行け」

 トモはすでに戦闘を始める。

周囲の混乱に乗じて、襲われたら・・・・・・。

「ゴメン」

 トモを置いて、人垣に向かって走る。

私の前の人垣はさっと割れた。そこを一気に駆け抜ける。


「さて」

 目の前にいる相手と睨みあう。

さっさと片付けて、ここから離れるか。

厄介事に巻き込まれるのもゴメンだし。


 コイツが現れたのを幸いとして、あの二人から離れたが、

「どうした?」

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」

 くそ・・・・・・。

「人垣が邪魔で動き辛いか?」

 息一つ乱れてねぇ。

肩で息をして、その感覚をゆっくりしていって呼吸を整える。

両手に『夜月波月』を握りなおして、構え直す。

相手は持っている長柄の斧を地に向けたまま。

俺を待ってるのか? その余裕もムカつくが、そうさせる余裕を与える力の差を与えている自分に腹が立つ。

 ・・・・・・熱くなるな。

また一つ息を入れる。

「来ないのなら、行くぞ」

「!」

 間には五歩の距離があったが長柄の分だけ間合いが長い。

一気に攻められ、防御に回る。

受け止める一撃が重い。続けて受けると腕が痺れてくるし、避けようにも、枝を振り回す様に軽々と降り回している。

「どうした?」

 それに余裕の表情。

 斧の動作が緩慢になってきた。

 ここを逃したら俺に勝ち目は無いか!

無造作に動く斧。その軌道を俺が反撃に移るのに最適な動作に変わるまでは避け続ける。

 やってきた一瞬の隙。

目一杯の瞬発力を使って間合いに突っ込んで、右手を突き出す。

 届いた。そう思った瞬間、

目の前を駆け抜ける光。熱が上から下へと一気に伝わる。

「今のは良い反応だった」

 本能がブレーキをかけて止まった先。

足元に振り下ろされた斧。それを見て、足が、体が震えてきた。

その場に崩れ落ちる様に座り込む。

「実戦・・・・・・いや、殺し合いは始めてか」


 まだ、生きてる。

それが嬉しく、悲しく、悔しい。

騒ぎを起こした張本人としての好奇の視線。

 斧を振りかぶる男。

 手も足も出なかった悔しさ。命を賭ける事を知った恐怖。

何も対する事の出来ない不甲斐なさに叫びたい感情を抑える。

 動く事もせず、じっと膝をついたまま・・・・・・雨の様に降る視線を浴びて。

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