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紫陽花宝石店の日常事件簿。  作者: シーナマナカ
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プロローグ


急募!!

紫陽花宝石店 スタッフ1名大大大募集!!

・時給 ¥1200

・18歳以上(高校生不可)

・接客好きな方

・ひたすら笑顔で話が聞ける方

・石に少しでも興味がある方

・元気で健康な方

・知識なくても学ぶ姿勢があればOK

・投げ出さない人

以上当てはまる方 店内スタッフまで


担当 御苑


「宝石店、かぁ。」

大学からの帰り道、たまには違う通りを歩てみようと路地に入ったら目に飛び込んできた看板にふと足を止めた。

それは1年半続けた洋食店のバイトを辞めたばかりの玉森楓(たまもりかえで)にとってとても魅力的な看板だった。


「これも出会いだし、聞くだけ聞いてみるっていうのも・・・」


看板の前に立ち、じっと看板を見つめる。

そこそこ時給も良い。

宝石の知識なんか全くないが、キラキラ光る石達に興味がないわけでもない。

生まれてこのかた大きな病気はしていないし、1年半のバイト生活の中で笑顔と接客には少しばかり自信もある。

クリアした条件を一つずつ頭の中で線を引いていく。

最後の投げ出さない人、は少しばかり疑問が残るがその他に関しては大丈夫なはずだ。

何事も一期一会だ。今日この道を選び、この店を見つけたこともひとつの出会いである。

そう心に決めて、看板から視線を店の扉に移した。


「バイト、気になりました?」


「うわっ!」


いつの間にか目の前にすらりと細身の男性が柔和な笑顔を向けてこちらを見ていた。

しかしながら、いきなり現れた姿に驚いて大きな声を出してしまった。


「ああ、突然お声がけてしまいまして申し訳ございません。じっと看板を見つめてらしたので、アルバイト希望の方かと思いまして。」


言葉通り申し訳なさそうに眉を下げながらもたおやかに話すまだ名も知らぬ彼に向けて姿勢を正した。


「こちらこそすみません。丁度バイトを探していて、看板を見つけたもので。もしよければ、あの、どんな内容なのかとかお伺いしてもよろしいですか?」


急に希望を出してもいいのか?内容もよく知らないのに?という疑問がぽんぽんと頭に浮かび、慌てたような返しになってしまったが店員であろう男性は微笑えんだまま店の扉に手を掛けた。


「勿論です!ぜひ中へどうぞ。」


よし、と小さく意気込んでその店の中へ足を進める。




それが、僕の新しい生活の第一歩となるのだった。

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