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7話



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@egu05



よろしくお願いします!



かの夏目漱石は英語教師であった時に『I love you』という英文についてこれを訳す時に



『日本人は「私はあなたを愛してます」なんて直接的な表現は使わない。もっと品のある奥ゆかしい言い方をする。この英文の訳は「月が綺麗ですね」くらいが丁度いい』



と教え子に教えたらしい。

もちろんそんなことを夏目漱石が本当に言ったのかどうかは知らないが少なくとも文才のある夏目漱石が使うからそれがエピソードとなり語り継がれるわけでそこらの人がこんなことを言ったら頭が沸いてるんじゃないかと思われて当然である。






















「なんだこの答え! そしてどこで覚えた、サラ!!!」



当然こんな答えには抗議もんである。



「え? 有名な話じゃないですか? 『東人』の人がこれを言ってきたら『愛してます』の意味だって。そもそもこの言葉は『東人』もといスバルさんたちの国の、えーっと、ニッポン語じゃないんですか?」




「どこの常識だ! クソオタども!! 間違った知識ほかの世界に広めるなよ!!」



「えっ!? 違うんですか!?」



「いや、確かにそれ日本語だし意味も伝わるけどそれ間違ってるから!! ただ単に告白する勇気が出なくて逃げただけだからぁぁ!!」



夏目漱石は日本人の性格や文化を考えて粋に当時知らなかった英語を訳したのだが、この場合は違う。ただ単に告白するに直接的に言うには勇気がです奥手なこちらの世界に送り込まれた『探求者』達が広めたかっこ悪い意訳であった。



『あっはっはっ!! つ、月が綺麗ですね(`・ω・´)キリッやって!!! くっくっくっ!!』



念には念を入れて文香との通信をオンにしていたのだがその答えを聞いた彼女は思いっきり笑い転げている。本当に楽しそうで何よりだ。




「それじゃあ気を取り直して第2問!」



おねーさんは僕を気にすることなくどんどん司会としてこの訳の分からんクイズを進行していく。


















この謎テストの結果はどうだったのか。もちろん、僕は惨敗である。というかほぼツッコミに回っていたため知力よりもむしろ体力の方をかなり浪費した。一方のサラは意外も意外、そこそこ健闘し72点というなかなかの高得点をたたき出していた。いや、こんなテストで得点稼げるのは逆になんでだよと突っ込みたくなるが………。



「さぁ次はいよいよ最終問題。スバルさん、そろそろ頑張らないと落第ですよー?」



「そろそろってもう最終問題じゃないですか! ここからどうやって逆転があるんですかぁぁ!!」



「なんと最終問題は100ポイント差し上げます!!」



「テスト要素は!? クイズ番組かっ!!!」



僕のツッコミをよそに最終問題に突入する。



「問題! 3 以上の自然数 n について、xn + yn = zn となる自然数の組 (x, y, z) は存在しない。これを証明してください!!」



ここで突然の数学の問題である。急に趣旨を変えてきたことに少し焦ったが僕はペンをもち、この問題に取り掛かる。受験生である僕にとっては頭をひねってひねりまくることでお馴染みの数学の証明問題。数学のあまり得意ではない僕にとっては難敵と呼べる問題だ。ペンを取ったはいいがこの問題どうやって取り掛かろうか頭を悩ます。そんな僕と対照的だったのがサラで問題を聞いてすぐにペンをとりスラスラと書き終えてしまう。悩んでも仕方ない僕は受験生として失格だが、答えを文香に聞くことにした。



『くっくっく、なるほどなー。これスバルじゃ解けへんよ』



「それは俺も自分が勉強不足だって分かってる」



『いやいや、そういう意味で言っとるんやなくて。これが出来たらスバルはもう受験勉強なんてせんでええわ』



この問題が解けないことを馬鹿にされたのかと思いきやそうではなかったらしい。



「どういう事だよ」



『その問題はな、フェルマーの最終定理ちゅー問題や。 今から400年くらい前にフェルマーさんって言う数学オタクが考えた問題だからそう言うんやけど、簡潔に言うとその問題つい最近まで答えが分からない問題やったんや』



「答えが分からない?」



『せや、フェルマーさんって言うのはまー性格の悪い人でな? 自分の出す問題を解くのに苦しむ人を見て楽しんでたんや。そんでこの問題を出したはいいけど本人は答えも言わずにポックリ行ってもうて。フェルマーさんの死後色々な人が答えを出そうと思ったんやけど結局答えが分からずじまいって訳だったんよ』



「それじゃあこの問題答えのないクソ問題じゃないか!!」



『だからつい最近までって言ったやん。この問題に答えを出した人がいるんよ。つい最近と言ってもスバルの産まれる前やけどな? 1995年にワイズさんって人が証明したんや』



「じゃあ文香はその答え知ってるのか?」



『知っとるけど大学とかにある大きな黒板いっぱいに書くくらい長い証明やで? そんなちっちゃなボードに収まるわけないやん』



「じゃあどうすりゃいいんだよ」



『だからそれが答えや』



「は?」














「さぁ!答えで揃いました! それでは一斉にオープン!!」



ここで僕の答えとサラの答えは一致する。



【その答えを書くにはこのボードでは狭すぎる】




「お二人とも正解です!! おめでとうございます!第1試験クリアです!!」



僕は呆れてなにも言えなかった。

























無駄に体力を消耗した筆記テストを終えた僕らはまた別の会場へと連れていかれた。



「部屋の感じは道場っぽいけど次は体力テストか?」



「うーんと…分かりませんけど、とにかく頑張りましょう!!」



サラはぐっと気合を入れるポーズをしてやる気をほぼ失いかけている僕を励まそうとする。その気持ちはありがたいんですけどごめんなさい、やる気出ないです。

そんなやり取りをしていると部屋の扉が扉が勢いよく開かれた。入ってきたのは先程のおねーさんではなく、黒光りした肉体を見せつけんばかりのタンクトップ短パン姿の丸坊主のおっさんだった。



「貴様らか! 今回の受験生はぁ!!」



とんでもなくうるさい上にとんでもなく暑苦しい。そして何よりその喋り方と姿に既視感を覚える。



「俺はこれからお前らの体力テストの教官を行うビニーだ!! ジェイミーのように俺は優しくないぞ? 容赦なく不合格にするから覚悟しておけ!!!」



名前もどこか聞いたことある迷彩柄のタンクトップのおっさんは僕達に怒鳴り散らすように言う。

というかさっきのおねーさん、ジェイミーって名前だったのか……。



「なんか大変そうだけど頑張って行きましょうね!スバルさん!!」



「あ、うん。 もう何も突っ込まないけどこれだけは言わせて。 ネタ古くない?」




























こうしてビニー隊ちょ…………ビニー教官による地獄の体力テストが始まった。内容はあえて省略させてもらうことにする。が、勘のいい人ならもう書かなくてもわかって頂けるだろう。恐らく分からないであろう小中学生は大人の人にでも聞いてみよう。そして実際やってみよう。あれは物凄い疲れる。




「はぁ、はぁ」



体力テストという名のエクササイズを無事に終え、玉のような汗をかく僕とサラ。なんだろう、やる前は馬鹿にしていたものだが終わってみるとすごく達成感に溢れた気持ちになる。



『これほんまに聞くなぁ。 最近運動不足やと思ってたからやって良かったわ』



パチモンウォッチから聞こえる荒い息遣いとその発言から文香も恐らく途中から参加していたのだろう。













ビニー教官の言葉に不覚にもウルっと来てしまう。先程までささくれていた僕の心はハレバレとしていた。



「ビニー教官……!」



サラも涙ぐみながら地獄のプログラムをやりきった達成感に満ち溢れていた。

そんな僕らにビニー教官はキラキラとした白い歯を見せながら言う。



「それじゃあ最後の仕上げだ! 行くぞ、せーの!」



「「「『ビクトリー!!」」」』



道場に僕達4人の声が綺麗にハモった。
















なんだこれ………。



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