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5話



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@egu05



よろしくお願いします!





僕は結局あの魔物達の追撃を諦め、焔雉(ほむらきぎす)に近くの街まで運んでもらった。彼女はたいそう不機嫌だったのだがそれは彼女がノリノリで戦っていたのに僕が追撃しないと言ったのが原因なのか、はたまた別のことが原因なのか……焔雉は僕らを送り届けたあと拗ねて引っ込んでしまったため真相は闇の中である。










一夜明け、昨日のことがようやく見えてきた。

僕が遭遇したのは焔雉が運んできてくれた1番近い街(名前はイマブキという街らしい)の保安隊、つまり日本で言うところの警察と自衛隊を足して2で割ったような組織であることがわかった。要するに地域の治安維持部隊、米国の州軍といった方が仕組みとしては近いのかもしれない。そんな彼らはここ最近街の北方の森での魔物による被害の増大を受けて部隊を派遣したらしい。それが昨日僕の遭遇した部隊であり、結果は見た通り壊滅したのだった。

魔物の返り血を浴びた僕はこの街に着いた当初街の入口を守る憲兵に捕まってしまって一悶着あったのだが、事情を説明し助け出した少女を引渡し見たことを全て話したことで待遇は一変まるで英雄のような待遇で迎え入れられて今に至るのだった。



「これは先達の送られた連中が働かなくなるのも分かるわー。ニートならなおさらやな」



ふっかふかのベッドに寝転がる僕に独特の訛り声の主がカラカラと笑いながらいう。

先に断っておくが声の主、文香はこの世界には一緒についてきていない。この声はサクヤさんから貰ったパチモンウォッチからである。これはこちらの世界に来た時に役立つ便利機能としてサクヤさんがつけた日本、もとい文香が司書をしている図書館との通信機能らしい。この機能を使い右も左も分からない僕のサポートを文香がするというのだ。意外と思うかもしれないが僕はその点においては特に文句はない。あんな感じの彼女だが、腐っても書物に込められた想いが創り出した妖怪である文車妖妃。多少恋愛系統に知識が偏っているもののそれでも彼女の知識はとんでもないものであり、それはもう歩くウィキペディアと言っても過言ではないだろう。当然自分のもともと興味のあった異世界冒険譚関連の本は読み漁ったことだろうし、実を言うとサポートキャラとしてはラノベも真っ青のチート能力者持ちなのだ。





「いいんだか悪いんだかわかんないけどね。それに僕は救ったとはいえ1人だけだし………」



僕はそんな笑いながら状況を楽しむ文香に溜息をつきながら答える。すると文香は真面目な口調で僕を励ますように答える。



「何言ってるんや。全滅と1人だけでも助かるのは大きな違いだってことはスバルも陰陽師としての歴長いんやから分かっとるやろ?」



「いや、僕は陰陽師じゃないし。まぁそれでも分かってはいるけど………」



「保安隊ゆーたか? その連中も職務を全うしての殉職なら本望やろ。あれで自分ら全滅で魔物はピンピンしてますじゃ無念どこやないで?」



確かに彼女の言う通りであることも僕は分かってる。ただ気持ちがついていかないのも事実でこれが僕が陰陽師として足りない素質であることは重々承知している。まぁ今は陰陽師では無いのでまったく不必要な能力なのであるけれども。

文香と話していると部屋のドアがノックされる。



「失礼します」



入ってきたのは保安隊の服を着た男の人。僕は今日これから詳しいことを彼らに話すことになっていた。




























それから僕は1日保安隊員からの事情聴取を受けた。と言うよりも彼ら情報を話して遺体の搬入を手伝ったあとはお礼(正直お礼というレベルを遥かに超えるお礼)をしたいという彼らと断る僕の押し問答になって時間がかかったのだが………。

僕は何とか彼らのお礼を断りつつ、それでも何かしたいという彼らの気持ちに失礼にならないようにこの世界の情報とそして次の街までの食料一通りと馬1頭でなんとか折り合いを付けた。

どうやら僕のような異世界から来た人間はこの世界では『東人』と呼ばれてるらしい。理由としてはそういう力を持つ人はみんな東の小さな島国から来たと言うかららしい。そして僕のような『東人』は大体、この国の傭兵制度である『探求者』に登録するらしい。ならば僕も先輩たちの例に従い、それに入るまでである。ということは今のところまだ僕はチュートリアルさえ終わってないと言うことになる。



どんな内容の濃いゲームだよ。チュートリアル長すぎてクソゲー認定されそう………。









そして1週間がたった。というのも僕は次の朝にでもさっさと出発したかったのだが、保安隊のお礼とは別に町長や街の人達がお礼をしたいと言い始めたのだ。僕は例のごとく断ろうとしたのだが多勢に無勢、保安隊員数人と街の人数十人では訳が違う。結局断りきれずに1週間vip対応を受け続けたのだ。



いや、これはほんとにニートじゃなくても魔王倒す気にならないわ。待遇良すぎだろ。













ようやくぬるま湯から脱出した僕は支度を整え次の街を目指す。というのもこのイマブキでは『探求者』の登録は出来ないというからだ。登録するには地方を治める領主のいる街ではなくてはならず、イマブキを含めここらの地域をを治めている領主のいる街であるポートミルに行かなければならない。



「それじゃあ、行きますか」



「はい!行きましょう!」



僕の隣にはなぜかこの前助け出した少女の姿が。リュックを背負いさらにトランクは馬車の中。というか、用意してほしいって言ったのは『馬』で『馬車』ではないんだけどなぁー。



「ひとつ聞くけどいい?」



「はい! どうぞ!」



「何やってるの?」



僕が確認のため聞くと彼女はニカッと太陽も顔負けの明るい笑顔で敬礼し(ちなみにこちらの世界の敬礼は日本のものとほとんど同じ形である)、答える。



「私、サラ・レノックスはポートミル保安区イマブキ支部の保安隊員としてクリスラン皇国に来たばかりのスバルさんのサポートを任されました! ですのでこれから先スバルさんの旅は私も同行します!」



「ええやん。旅は道連れ世は情けってゆうやん?」



文香は面白そうに笑いながらそういう。




『探求者』登録を目指して僕とサラ。そもそも下校途中に知り合いが司書をしている図書館によった後魔物に襲われていた少女を助け、その少女が仲間に加わっている。なぜこうなったのか説明しろと言われても僕には出来ない。そして何よりも先に送られた人達と同じように女の子を仲間に率いれ着々とハーレムに近づいてる感があるのが笑えない。

いや僕だって至って普通の男子高校生、そりゃあ野郎より女の子の方がまして美少女の部類に入るサラと一緒に魔王退治の旅に出るのは嬉しいに決まっている。でも流石にこのままズルズルとほかの人たちと同じようになってしまったらミイラ取りがミイラ、文香やサクヤさん何よりも母さんから笑いものになるだろう。少なくとも母さんからの笑いものになるのはゴメンだ。それだけはなんとしても回避したい。























しかし、サラが仲間に加わったことは正直とてもプラスの出来事だ。僕はこの世界に来たばかり、情報担当は文香とはいえ現地の協力者しかもそれなりの職種の人ともあればしめたものである。



「なるほど。スバルさんはぐーたらな『東人』の方々を正すため世直しの旅をしてるわけですね。そしてそのサポートをニッポンからしてるのが文香さん。私知ってます! こういう人のことを『ゴロウコウサマ』って言うんですよね!? で、文香さんは『スケサン』! なら私は『カクサン』になれるわけですね!!」



旅に協力してくれる以上僕はサラになぜ僕がこちらの世界に来たのかなど簡単に説明する。サラ達にとって違う世界から来た僕は珍しいものではないらしくすんなりと受け入れて貰えた。にしても誰だよ、こっちの世界に水戸の御老公様持ち込んだやつ。そんなに世直ししたいならさっさと魔王倒しとけよ! おかげで僕がこの世界に来るはめになったじゃないか、バカヤロウッ!



と、心の中で突っ込みながら僕は目をキラキラさせるサラに苦笑いで答える。



「確かにそうなんだけどちょっと違うというか……」



『まぁ似たようなもんやない?』



「私憧れだったんです! 蔓延る悪を倒し、街の皆さんを助けるみたいなこと!」



「もしかして保安官やってるのって…」



「はい! 小さい頃からの夢だったので!!」



「……………そっか」



「なんですか!? その含みのある言い方!」



『あっはっはっ! 何にしてもやる気があるゆうのはええことや!』



僕の言い方が悪かったのかぷくぅーっと口を膨らます。僕は誤解を生んだことに素直に謝る。そんな僕らのやり取りを楽しそうに文香が笑う。























こんな感じで僕らは道中たわいもない会話で盛り上がっているうちに目的のポートミルの街へたどり着いた。イマブキからは馬車で約半日ほどかかった。休憩を挟みつつだったので日はそこそこに傾き始めていた。ポートミルという名前から日本の感覚でいえば港町なんだろうなぁという印象を持ったが実際は内陸の都市、交通の拠点となっている街であった。当然日本の言葉とこちらの世界の言葉がリンクしてる訳では無いので当然といえば当然なのだがどうやら僕はまだそのへんの感覚がついてきていないらしい。



「着きましたー! 疲れた!!」



うーん、と背伸びするサラ。舗装されてない道を馬車でガタゴト揺られながら来たので身体のあちこちが痛い。そうしたい気持ちになるのも分かる。



「さて、今日の泊まる場所だけどこれだけ大きな街なら泊まる宿の一つや二つあるだろ。ちょっと早いけど早めに見つけないと。あ、そう言えば馬車どこに置こう」



「泊まる宿は心配しなくて大丈夫ですよ! ポートミルの隊員宿舎を使えるように連絡してもらってるはずですから!」



まさかここまでやってくれているとは至れり尽くせりすぎて逆にもうしわけなくなる。とはいえ今の僕に彼女に頼る以外あてはなく彼女や保安隊の人たちの好意に甘えるしかなかった。




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