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3話

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@egu05



よろしくお願いします!



名峰富士。日本を代表する存在であり外国人の日本のイメージであるフジヤマ、ゲイシャ、サムライの一つである。古来より人々の信仰の対象となっていたこの山を納める神様こそサクヤさん、つまり木花開耶姫である。なので改めて彼女が以下にすごいかということだけは言っておきたい。このままではクレイジーな少女という不名誉なレッテルが貼られたままだ。







現在僕らは彼女の家とでも言っていい標高3776m富士山頂へと来ていた。

僕らはあのまま図書館の隣に立つ浅間神社の本殿からサクヤさんが勝手に命名した『浅間ねっとわーく』(全国に散らばる浅間神社を行き来出来るワープ装置みたいなものだと思ってもらっていい)を使い一気に富士山頂にある浅間神社まで飛んできたのだ。もちろんそんなことやったら一般の人にバレバレなのでそのへんはしっかりと対策として人払いの結界を張ってある。



「さむっ!」



富士山頂の気温は夏でも20℃に届かない日も多々ある。さらに強く吹き荒ぶ風は体感温度をグッと下げる。それは高校の制服できた僕に取っては身の縮むような寒さである。



「そういえばうち富士山のてっぺん初めて来たわ。いやーさすが日本一眺めええなー」



「でしょでしょ?」



ちなみに文香とサクヤさんの2人はどちらも人ではないので寒さだったり何だったりは自由に調整できる。全くもってずるい。



「そんなことよりなんで富士山のてっぺんなんです?」



「文ちゃん、それはだねー」



「いいから異世界送り込むなら早くしてくれませんかね!! 死にそうなんですけど!!」



のんびりとした2人に僕は大声で訴える。何なら先程から急激に気圧が変わったことによる影響か頭もガンガンするし吐き気もする。このままでは異世界に行く前に高山病でそれどこではない。



「わかったわかった。異世界への門はもう開いてあるよ、ほら」



サクヤさんは僕をなだめてから火口を指さす。すると普段は砂や石ばかりの火口部分にぽっかりと大きな穴が開いている。



「え? 僕あれに飛び込むんですか?」



「うん、そうだよ」



戸惑う僕に至って普段通りに答えるサクヤさん。一方では人の気も知らない文香が呑気な感想を述べる。



「はぁー、富士山の火口ってこんなになってるんやなー」



「いや、違うから! 普段は塞がってるから! サクヤさん、これなんですか?」



「だから異世界への門だって。今まで通り普通に異世界への門を開こうにも何故か向こうから巨大な力が働いてて普通じゃ開けない状態になってるんだよ。だから、私の力が最も強くなる富士山頂まで来たわけ。ここならそんな異世界の力なんて私にとっては関係ないしね!」



「なんや。飛び込んでマグマにドボンやないんやな。それなら良かったやん」



「よくねぇよ! どのみちあんなデカい穴に飛び込めなんて怖すぎるわ!! それよりもサクヤさん、向こうからの巨大な力って聞いてないんですけど?」



「うん。それも状況をややこしくしててねー。だからそれなりの強さが必要な人材が必要だったの」



昨今コンプライアンスだなんだと騒がれているのにこの仕打ちである。いや、正確にはインフォームドコンセントなのだがどのみちこれが普通の会社だったら相当叩かれていることだろう。詐欺もいいとこである。

説明を求める僕に対してサクヤさんはどんどんと話を進めてしまう。



「それじゃあこれ渡しとくよ」



「まだ異世界の状況の件も………、なんですかこれ?」



渡されてたのはリンゴのマークの会社が発売してそうな腕時計型のデバイス。



「それは高天原の技術力の結晶!ピアーウォッチだよ!」



名前もパクリっぽい。しかもこのマーク、リンゴじゃなくてナシなのか………。



「簡単に言うと異世界に行くための便利ツールなんだよ! 向こう行って1番困る翻訳とかその他向こうに行って役立つツールが10個入ってる優れものなの! それじゃあ準備万端だよね?」



「いやまだ聞きたいこといっぱいありますし、何なら1回家に帰っていろいろ準備を………」



「それじゃあ行ってらっしゃーい!」



早口で抗議する僕をそういってサクヤさんは僕を火口へと蹴落とした。やっぱあの人最高にクレイジーだわ。




























ここまでのあらすじ



いつも通りのある日のこと

文香は突然立ち上がり言った

世界救いに行こう

何を馬鹿なことを言ってるんだ

なんて僕は言ってあきれた




中略




めんどくさがる僕は億劫で

興味があるようなふりさえしなかった

だけどサクヤさんの話は進んでいく

ああそうか、諦めるって

こういうことなんだね

どうしたい 言ってごらん

心の声がする

普通に暮らしたい

真実は残酷だ

言えなかった言えるわけ無かった

二度と戻れない

あの夏の日涼しい図書館

今でも思い出せるよ

拗ねた顔も喜んだ顔も

逆らえませんでしたずるいよね

知らされなかった

僕の知らないみんなだけの秘密

世界を超えて笑顔のサクヤさんが

僕を蹴落とす無邪気な声で



「行ってらっしゃーい!!!」



















どうだろう。名曲に乗せて僕の理不尽さが伝われば幸いである。そして理不尽な僕の現状はまだ続く。なんの説明もなく放り込まれた日本と異なる世界。長い暗闇を落ちることどれくらいたっただろう。明かりが見えたと思ったら目の前に広がるは闇夜を怪しく照らす深紅と紺碧の月。そして重力に従い落下する身体。



「どこに門開いてんだぁぁぁぁぁぁ!!!!」





魂の叫びも虚しく僕の身体はどんどん高度を下げていく。下を見れば闇夜の中にところどころ人の生活を感じさせる淡い光。しかし、僕の落ちようとしている地点は真っ暗闇だ。果たして下は海なのか森なのかあるいは砂漠なのか………どのみちスカイダイビングの装備なんてしてきているはずもない僕はただでは済まない。



「くそ! 騙された!!」



ただ僕にはこの状況を打開できる策がある。何たって腐っても『陰陽師』だ。



「御旗に集いし忠実なる三獣士。顕現せよ、悪鬼を打ち滅ぼさんがため!! その永遠に燃え盛る冥炎を我がものに!! 灯せ、『焔雉(ほむらきぎす)』」



自由落下でどんどん地面が近づく中、手早く印を結び呪文を唱える。すると、僕が落ちている真っ最中の空間に大きな六芒星が現れたかと思えば虹色の炎に身を包んだ美しい尾羽をもつ大鳳が現れた。



「うべっ! た、助かったー! 久しぶりだから失敗するかと思った」



式神を出すことに成功した僕はほっと胸をなでおろす。



「ご主人、ほんと久しぶりじゃん。つーか、今うち忙しかったんだけど」



「ごめんってば。でもほら、僕死にそうだったし」



「そうやって必要な時だけ呼ぶとかマジありえなくない? サイテーだわー」



ちょっと昔のギャルような口調で僕に文句を垂れる焔雉。だが、文句は言いつつ僕のお願い通り街の方へ飛んでくれる。ちなみに式神とは意思疎通は出来ても大半は人間の言葉を喋るどころかこんな『個性豊かな』性格も持たない。これは僕オリジナルのものである。これも僕が『朝霧』の家の陰陽師として異端と言われることの一つである。まぁそれについても焔雉を含めたほか2体のこともおいおい話すとして、今は状況の整理である。



サクヤさんと文香の謀略により異世界に放り込まれた僕は空から落下した。そして命からがら助かった僕の次にやることはひとまず誰かに接触することだろう。魔王と戦うにしてもグータラニート勇者たちを更生させるにもまずこの世界の情報を得て拠点を作ることが先決である。その為にもそういうことに詳しそうな人をまず探すのが大切だろう。幸いにもこのお祭りの夜店で売ってそうなまがい物アップ〇ウォッチのおかげで言葉に困るということは無いらしい。懸念点としてはお金がないことだが、その時は式神でも使って大道芸っぽいことをやればある程度どうにかなるだろう。

焔雉達には怒られそうだけど………

僕がそんなことをあれこれ考えていると焔雉がなにかに気づいたのか僕に聞いてくる。



「ご主人、なんか下で戦ってるかもなんだけど」



「戦ってる? なにが、何と?」



「そんなのうちが知らんし。でも多分人間となにか。人間の血の匂いがする」



焔雉の状況報告にうーんと唸る。正直なことを言うと面倒ごとには絡まれたくない。だが、ここで助けに行かないのも後でサクヤや、文香になんかいわれかねない。そもそも僕は面倒だからといって見捨てられるほどの度胸はない。となると答えは一つである。



「面倒だけどそこに行ってくれる? 日本に戻ったらどこでも付いてくからさ」



「それマジか! それはテンアゲ!! マジ卍!!」



ごめん、僕にその言語わからないけど嬉しいってことなんだよね?

僕は焔雉の言語に困惑しつつも来る戦闘に備え、覚悟を決めるのであった。




















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