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17話



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@egu05



よろしくお願いします!





森神との戦いから2週間が経過した。僕の方もようやくベットから起きて体を動かせるまでには回復した。夏休みの間に帰るという僕の目標はもう達成されることは無いだろう。こうなってしまったら致し方がない。あとは文香やサクヤさんとの交渉次第である。



「だからって病み上がりの人間をいきなり真昼間から酒に誘いますか? アンリさん」



そんな病み上がりの僕は現在ポートミルの街のルマンド商会、その併設された食堂にいた。机には所狭しと並べられた料理、海賊の映画に出てきそうな大きな鉄製のジョッキになみなみ入った酒。そして僕とサラにそれらを勧めるアンリさん。



「いやぁ契機祝いだよ! ほらほらー」



どうやら既にアルコールが回っているようで顔がほんのりと赤い。



「ちょっと! 僕未成年でお酒飲めないんですけど!!」



「あれ? スバルさんってまだ未成年だったんですか? 私と変わらないくらいだと思ってました」



「俺もそう思ってたんだけど、サラ今いくつなの?」



「私は17ですよ!」



「なんだ、やっぱり同い年じゃないか」



「ならもう成人してるじゃん! ほらほらー」



「だからって病み上がりの人間は飲みません!」



どうやらこちらでは17というのは既に成人しているらしい。とはいえほんとに病み上がりの僕に酒を勧めるのはどうかと思う。僕は押し問答はあったものの何とかアンリさんの誘いを丁重にお断りし料理だけ有難く頂くことにした。




















街外れの森での1件はルマンド商会の人達、保安隊、そして領主でさえ予想していなかった事態かつ下手したらポートミルの街で甚大な被害が出ていたかもしれない案件だったらしい。僕も『夢喰』の恐ろしさについては知っているのでこんな表現もあながち間違いではないとはっきり言える。

そんなポートミルの存亡の危機を無事に解決した僕らは街に戻れば当然のようにヒーロー扱いとなった。僕自信それの実感はあまりないのだが僕がベッドに磔になっている間、サラが代わりに領主から表彰されたりポートミルの街の新聞会社に取材されたりととても忙しかったらしい。



「でも、サラのおかげで保安隊への入隊の問い合わせがすごい増えたらしいわよ?」



ほろ酔いのアンリさんがあらかた片付いた机の上に新聞を広げる。そこには一面にデカデカとサラの写真が乗せられている。見出しはこうだ。



『イマブキの敏腕保安官、ポートミル滅亡の危機を救う!!』



「すっかりヒーローになったねー」



僕は記事を読みつつそう呟く。さらっと読んだ感じ内容は9割サラを褒める内容、僕のことはほんの少しだけ書かれている程度だった。



「なんというか照れます。それに森神様と戦ったのは私だけじゃなくてスバルさんもなのに」



「まぁ保安隊や領主としては『東人』より地元の人が活躍したってのをアピールしたいんじゃないの? 素直な祝福というかどちらかと言うと領民やお上への宣伝って意味合いが見え隠れしてるけど」



アンリさんは肩を竦めてそう言うと広げた新聞を片付けた。



「ところでサラ、あの噂は本当なの?」



「え? あぁ、うーんと……あはは、はい……」



アンリさんの質問になんとも煮え切らない返答をするサラ。



「噂って?」



僕は2人に尋ねてみた。



「実はサラ、今回の功績で帝都配属の保安隊になるって話が来てるって噂が立ってるのよ。そうなったら大出世よ? 帝都配属の保安隊ってひと握りのエリートしかなれないんだから!」



「あはは、実際にそういうお話は来てます。領主様からも直々に推薦して頂いて」



興奮気味のアンリさんと気恥しそうなサラ。ともかく今回の件でサラの活躍が認められて良かったという事だ。短い間ではあったがここまで彼女には色々お世話になったがどうやらここでお別れらしい。悲しさはあるがここは素直に祝福し送り出すべきだろう。



「そっか。まぁ何はともあれ良かったね。今まで色々とありがとう」



僕はそう素直に感謝を伝えるサラは頭を掻きながら苦笑いする。



「えっと……なんかもう噂が尾ひれついて勝手に進んじゃってるんですけどその話、今日ここに来る前に辞退して来ちゃいまして……」



「え!? なんで!!」



アンリさんの驚きの声は食堂にいた他の『探求者』たちを振り向かせるには十分だった。



「何かその話に問題でもあったの!?」



「いえ、問題というか悪いのは私自身で」



心配そうに尋ねるアンリさんにサラはそこまで言うと一呼吸置いて先程の照れくさそうな遠慮がちな顔から表情が意思の強いものへと変わる。



「帝都配属に選ばれたのは本当ですがそれは保安隊の中でも新人隊員の教官や広報としてというお話だったんです。ポートミル保安隊の隊長のイルノートさんが片手を失った私でも保安隊を続けられるようにと配慮してくださったんです。でも、私自身まだやり残したことが沢山あるのでもっと現場で働きたいですし」



そこで再び一区切り入れたサラはくるっと俺の方を向くとまるで夏の輝く太陽のような笑顔で言葉を続ける。














「そして何よりスバルさんのサポートという重大任務の途中ですから!」












これは熱中症になったのかもしれない。身体は火照るし頭もクラクラする。

どうも僕はチョロい部類らしい。

文香にバレたら馬鹿にされること間違いなしだな……………普通にバレてそうだけど。























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