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14話



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@egu05



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文香にとって落ち着くはずの図書館の自分の部屋だが、何故か居心地が悪かった。



「やっぱ無理やったか………」



文香は座りなれた革張りのチェアに深く座り直しため息をつく。スバルたちの言った世界の情報はサクヤからもたらされたピアーウォッチと散らかった机の上でひたすら存在感を放つ水晶からリアルタイムの情報が見れる。

文香には普段あまりこういうことにやる気を見せないスバルが何故逃げずにあそこまで熱くなったのかという理由は理解していた。

だからといって親友が傷つくのを黙って見ていることも出来ず必死に止めたのだが結果は敗北、命を散らすはめになってしまった。



「まぁしゃあない、『夢喰』は天災や。しかも今回は思ってたのより深く侵食されてたしあれじゃ助けることも出来へんかったやろ。あの森の主には可愛そうやけど」



そう独り言を漏らしふぅ、と大きく息を吐く。世の中切り替えが大事なのは長年生きてきての経験だ。



「さて、サクヤさんの話によると絶命したら自動的に日本に送還されるっちゅー話やけどどこに戻るんやろ? まさか富士山のてっぺんってことはあらへんやろうな?」



ありえるな、と文香は苦笑いをしながらスバルを迎えにいく準備をするため席を立とうとするが、あることに気づき動作を止める。



「うん? そう言えば………死んだらゲームオーバーみたいな表示が出るって言ってたはずやけどないな……」



文香は一応確認のため水晶の上に掌をかざすとスゥーっと撫でるような動作をする。するとまるでそこに初めから液晶画面があったかのように文字や数値が浮かび上がる。それを見た彼女は驚き、思わず身を乗り出す。



「なんや! スバル生きとんのか!!」



先程浮かび上がった文字はスバルのステータスをしめしていた。元々これは神様がゲーム感覚で始めたものである。これを考えたのは誰だかは知らないがスサノオ様がハマるのも文香には分かるような気がした。

ただ、今はそれどこではない。赤く点滅しながら表示されているスバルの名前は彼が瀕死ではあるが生きていることを示す。



「あの『夢喰』の攻撃をどうやって………、ちょいまちこれなんや!!」



文香は開いたステータス画面のページを何気なく横にスライドし、またも驚く。表示された文字は文字化けしており何が書いてあるのか全くわからない。



「今向こうはどうなってるんや!?」



スバルの死ぬ瞬間を見るのを嫌って通信を切っていた水晶を急いで付ける。そして文香はそこに写り出された映像に絶句する。



「うそ……やろ………? ……………くっ!!!!」



文香は血相を変えてスバルが部屋に置いていった高校のバックをひったくるように掴むと部屋を勢いよく飛び出して行った。

















































「はぁ、はぁ、はぁ……………」



記憶は一切なかった。

ただ今、私の目の前には私の命の恩人を殺した化け物が息絶えて横たわるだけだ。



「私が………………倒したの?」



信じられないが状況から考えてそれしかない。この場に立つのは私一人だけ。気づくと森は薄暗くなっておりもうすぐ日も落ちるだろう。

そんなとても不気味な空間。



ガサッ!



「だれ!?」



薄暗い茂みの方から何か影が動いたような音がした。

私はそちらの方を振り返り剣を構え、警戒する。目を細め、その姿を確認した私は思わず声を上げた。



「スバルさん!? 無事だったんですか!?」



暴走した森神様にやられて死んでしまったと思っていたスバルさんが生きていた。私はその身を案じて彼に駆け寄る。たが、彼から帰ってきたのは大丈夫だ、の言葉でもサラは平気か?という気遣いでもなかった。



「え?」



スバルさんのもつ折れた刀は駆け寄ろうとした私に真っ直ぐに向けられていた。困惑する私に向けられた彼の顔は怒るでもなく笑うでもなくまっすぐ真剣な目であった。



「なんのつもりですか? 冗談はやめてください」



「冗談じゃないさ。サラのことはもしかするとって思ってたけど悪い予感は当たるものだね」



「どういうこと………ですか?」



「『夢喰』は人の憎しみや妬み、恐怖なんかを餌に心の中で成長する悪霊だ。そこに横たわる森の主も恐らくそんな感情に付け込まれたんだろうな……」



独り言のように呟く彼の手元をよく見ると彼の手には私のバッグがあった。どこかで落としてしまったのを拾ってくれていたようだ。しかし、スバルさんはそれを私に返すわけでもなく勝手に私のバッグの中に手を突っ込み何か取り出してこちらへ放り投げる。それは小さな手鏡であった。



「ちょっと!! スバルさん! 乙女のバッグを勝手に漁ってものを取らないで………………え?」




手鏡には恐ろしい顔をした悪魔が写りこんでいた。



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