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13話

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@egu05



よろしくお願いします!




「えっ!? それじゃあスバルくんは今森神様と戦ってるの!?」



「はい」



森を抜けたところで待っていたアンリにサラは合流し、もう森に残っている『探求者』はいないこと、そして殿軍をスバルが務めていることを伝える。そしてサラとアンリ2人で街を戻り援軍を連れてくる約束をした事も伝えた。



「そうだね。たしかにああなったら私たちの手に負えるクエストじゃない。 街に戻ってこのことを商会に伝えないと!」



アンリはスバルの伝言を了承し、魔法道具の一つである『エスケイプロケット』の準備をする。この魔法道具は使うと近くの『探求者』の拠点がある街に戻ることが出来るというアイテムであり『探求者』ならひとつは持っておきたい道具である。しかし、なにぶんとんでもなく高価なので相当のお金が無いと購入出来ないものである。アンリも持つことは叶わなかったのだが先程、森神に殺された『探求者』の中にこのアイテムをもっているものを見つけ拝借したのだった。死んだ同業者のアイテムを使うことは珍しことでもないし、批判もされない。生きるためにみんな必死だからだ。



「準備できた! サラ、早く…………サラ?」



魔法道具の準備が終わり振り向いたアンリが見たのはアンリがここに来るまでに拝借した道具の中から使えそうなものを選びまるでこれからどこかのクエストに望むかのように装備を整えるサラの姿だった。



「何やってるの!?」



「アンリさんは街へお願いします。 私はまだやることがあるので!」



彼女のやることなど想像がつく。

アンリとしてはそれをやらせる訳には行かなかった。それはあまりに無謀である。『探求者』の初心者(ルーキー)であるサラなんてとんでもない、ある程度の年数をやってるアンリですら今回の案件は撤退するしかないものであった。そんなクエストにわざわざ無駄死にさせに戻らせるなんてたくさんの初心者の面倒を見てきたアンリには到底許せることではないし何より自分たちを逃がすために残ったスバルに申し訳が立たない。

あれこれ説得を試みようとするアンリに対し、準備を終えたサラはニコッと笑う。



「お気遣いありがとうございます。それでも私は行きます。きっとスバルさん、街までの帰り道わからないですから」



「サラ………それは…………」



アンリはそこまでいいかけ自分の考えを悔いた。いや、アンリは決して悪くない。恐らく誰に聞いても同じ考えに至るだろう。ただ目の前の少女だけは違った。仲間が無事なことを心の底から信じているのだ。だからその笑顔に恐怖や不安のような負の感情は一切感じられない。

呆気に取られるアンリに対し、サラはポケットから花がかたどられた金色のバッチを取り出す。



「心配しないでください、人助けは私たちの仕事ですから!」



とびきりの笑顔でそう言って敬礼して見せたサラは元来た道をかけ戻って行った。









「我ら全員で小さな正義を守る、か………」



背中が小さくなって行くサラを見ながらポツリとアンリが呟く。サラの取り出したバッチには見覚えがある。と言うよりこの国に住む限り誰でも1度は目にしたことがあるダンテリオンの花をモチーフにしたバッチだ。意味は団結の力と信頼の力、正義を執行するものを象徴する証である。









































おそらく森神様とスバルさんが戦ってるのはあっちの方だ。

私の足はまっすぐそちらへ向かう。

姿こそ見えないが地響きするような咆哮と雷鳴が絶え間なく聞こえていることからアンリさんと別れてからも彼がまだ最悪の事態になっていないことが分かった。

しかし、唯一彼の生存を知らせてくれるその音は私がだいぶ近づいたと思われるところでぱったりとやんだ。



「はぁ、はぁ、スバルさん……」



私の頭には悪い予感がよぎる。



「大丈夫……。うん、スバルさんならきっと大丈夫!」



私は頭の中の不安を振り払うように首を振り、音のしていた方へ急ぐ。



私は息を切らせながら急いだ。

そしてようやくたどり着く。

絶望の光景が広がる場所へと。




































「そんな………」



木々がなぎ倒され開けた場所に立っていたのはひとつの影。

それはサラが期待していた心強い影ではなかった。



グゥゥゥゥゥゥゥゥ……………。



とても禍々しい見た目からそれが森神様だったものと気づくのに時間がかかった。

その化け物の周りには美しい色彩の羽を散らし地面に打ち捨てられるように転がる大鳳、凛々しい白銀の毛をどす黒い赤色に染めた岩にもたれ掛る牙を折られた大犬、まるで木に埋め込まれたかのように叩きつけられた片腕を失った大猿、そして化け物に向かうようにして倒れている折れた剣を握ったままピクリとも動かない少年。





「また、守れなかったの?…………」



サラの頭の中にはあの光景が広がる。

それは所属していた隊が壊滅した、目の前に倒れる勇敢な少年と出会うきっかけになったあの日の記憶。そして、自分の住んでいた村が魔物に襲われた時の記憶。














また守れなかった。

魔物に襲われた村を守った殉職したお父さんのような立派な保安隊員になるんだって決めてたのに。

また守れなかった。

街を守るために私を逃がし、必死に魔物達を食い止めようと戦った先輩達に街を出るとき約束したのに。

また守れなかった。

どうして?

私が弱いから?

弱くて力もないから何も守れないの?

力のない自分が煩わしい、憎い、悲しい、そして…………恥ずかしい。

力が、

あの私の恩人を殺した化け物を倒す力が欲しい!

弱い私を殺せるような力が欲しい!!

誰にも負けないような絶対的な力が欲しい!!!






















…………ソノネガイカナエテヤロウ。


























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