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変な人


 ルシファーにミカエルの血を飲ませ弱体化させ──十六年後。

 シュトラール国王ノームと王妃のエレナの子、エマは十三歳へと成長していた……。




***




「嫌よ! 絶対に嫌!」


 私は信じられないと憤慨する。

 そんな私にママは困ったような顔をした。


「もう、エマ。我儘言わないで。貴女も十三歳なんだからそろそろ婚約者を……」

「嫌よ! フォルトゥナに候補者リストを見せてもらったけど全然ダメ! 皆、顔だけのアンポンタンよ! それに私にはもう心に決めた人がいるんだもん!」

「コラ! エマ!」


 もう、今のママは話にならない。

 私はすぐに窓枠に足を駆けて、そのまま窓の外へ身を乗り出す。


「──エルピス!」


 そう叫ぶと、すぐさま私の相棒であるドラゴンのエルピスが飛んできてくれるので飛び乗った。

 後ろからママの声が聞こえるけど無視よ無視! 今日は家出してやるんだから!


 私が家出する先はいつも決まっている。

 私のママの故郷テネブリスの中心にある魔王城だ。

 そこには私の大好きな人達がいる。……人と言えるかは、微妙だけど。


 しかしその時だ。

 エルピスの様子がおかしい。


「ぎゃ、ぎゃう……??」

「え、エルピス? どうしたの??」

「…………、」


 エルピスは何も言わないまま、下にあった森の中へ突っ込んでいった。

 ぐるぐる視界が回って。木の茂みに身体が投げ出される。

 幸い、エルピスがどうにか落ちるスピードを下げてくれたので、大事には至らなかった。

 エルピスは──よかった、寝ているだけのようだ。


「急にどうしたんだろうエルピス……」


 私が不思議に思っていると、足音が聞こえた。

 ぞわり、と身体が拒否反応を示す。

 ……警戒しながら、振り向いた。


「──やぁ」


 私の背後にいたのは、深緑色の髪の、ちょっと胡散臭い男の人。

 勘で分かる。この人──信用できない人だ!!


「なによアンタ。こっちに来ないで!!」

「はは、酷いなぁ。僕はしがないの旅人さ」

「…………っ」

「信用ないって? まぁそれでもいいよ。僕は君の顔が見たくてね。君に興味がある。ふふ、お母さんそっくりなんだね」

「! ママを知ってるの?」

「あぁ、とっても、ね」

「とっても? ということは、ママの元恋人??」


 そう尋ねれば、男の人は突然お腹を抱えて笑い出した。

 なにこの人。やっぱり近づかない方がいい。エルピスの頭部を抱いて警戒する。


「ふふ、あはは。まぁ、そんなものだよ。面白いねエマちゃんって。あぁそうだ、お近づきの印に握手でもどう?」

「え、普通に嫌……」

「そう言わずに。ね?」


 あれ? 身体が勝手に……。

 私の手が私の意思関係なく彼へと伸びる。

 ぐぐぐ、と全力で抵抗しているのに、彼の手を握ろうとする。

 そして──。


「ごめんね、エマちゃん」


 悪寒。

 駄目だ、この人に触れちゃ駄目だ!!


「誰か、助けて!!」


 私は叫んだ。

 

「──エマ!!!」

「っ! ……??」


 ハッとなる。気付けば男の人はいなくなっていた。

 まるで最初から今までそこに誰もいなかったように……。

 ぼぅっとしていると、私の肩を誰かが掴んだ。


「おい、エマ!! どうしたんだよ!!」

「……リュカ……」


 私を呼び戻してくれたのは、私の幼馴染であるリュカだった。

 私は乱れた息を整える。


「お前とエルピスがこの森に落ちていくのが見えたんだよ。それで、すぐに追いかけてきたんだけど」

「そ、そう。ありがとう。なんだか急にエルピスが眠くなっちゃったみたいでさ。それで着陸したここに今の今まで変質者がいたの! リュカのおかげで逃げていったみたい」

「変質者?」

「ママの元恋人らしいけど……」

「エレナ様の? 嘘だろ! 生涯ノーム様しか愛した事ないって言ってたじゃないか」

「そうなの。でもねリュカ。女には色々あるのよ。だからこの事は皆に内緒にしようと思う。いい?」

「なんだよソレ」


 リュカは煮え切らないような顔をしたが、私がそう言うならと了承してくれた。

 とりあえず、今は魔王城に行かないと。

三章の設定を二章から十六年後、エマは十三歳に変更。また調整するかも。

ちなみにドラゴンのエルピスはレイとルナの子供です。

気分次第でテネブリスで寝たり、シュトラールで寝たりしてます。

気付いている方もいると思いますが、リュカはアスとサラの一人息子です。

一応補足。

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