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一方その頃、魔王城では。

 ──その頃。魔王城。


「ぬぁに~!!? エレナ様が森へ!?」

「は、はい~~~っっ!」


 アムドゥキアスの顔が真っ青になる。

 城中の目玉お化けが壁から引っこ抜かれてアムドゥキアスの前で縮こまっていた。


「あ、ああぁぁ……この事を魔王様に知られたら……!! すぐに森へ向かう兵を集めろ!! ドリアードにも協力を要請する!!」

「は、ははぁ!!」


 目玉お化け達が魔王城の壁に戻り、壁を伝って城全体にアムドゥキアスの言葉を伝えていく。

 アムドゥキアスは生きている心地がしなかった。


「なんてことだ……帰って早々……魔王様はまだ国の端の方で視察を行っているからいいものを!」

「私がどうかしたか、アムドゥキアス」

「…………」


 アムドゥキアスが恐る恐る振り向くと、そこには魔王がいた。

 一度顔の向きを戻して、瞼を擦る。

 もう一度振り向く。

 魔王がいる。


「…………なんで早く帰ってきちゃったんです?」

「エレナの顔が見たくてな」

「こ、んの!!」


 親BAKAが!

 そう怒鳴りたくなったが、勿論心の中で抑えている。

 深呼吸をして、魔王に全て打ち明けようとアムドゥキアスが口を開こうとした時──どこかで鳴き声が響く。


「これは……幼いドラゴンの声?」

「……? エレナ?」


 魔王がそう呟いた。

 すると目玉お化けが慌てて壁から顔を出す。


「アムドゥキアス様! 魔王様! え、え、エレナ様が!!」

「エレナ様が!?」

「ど、どどっどどどドラゴンに乗って中庭にお帰りになられました!!!!」

「はぁ?」


 ──もう訳が分からん。

 見ると魔王は既にいない。魔法で中庭へ移動したのだろう。

 行くなら自分も連れて行ってくれればいいのに、という愚痴は心の中で呟いてアムドゥキアスは窓から飛び降り、中庭に向かった。


「パパ~!! やっほ~!」


 中庭に行くと、ドラゴンに乗って満面の笑みを浮かべる魔族の姫エレナがいた。

 アムドゥキアスは額を押さえる。


「あぁ、エレナ様!! 貴女というじゃじゃ馬娘は!!」

「どう!? びっくりした!? ドラゴンのお友達が出来たの! あ、レイ。降ろして」


 ドラゴンが身体を地面に密着させ、小さいエレナは滑り台のようにその身体を降りた。

 そして魔王の所へ駆ける。


「ねぇパパ、この子レイっていうの! 身寄りがないんだって! ここで暮らしてもいいでしょ!? ね?」

「あぁ。それはかまわんが……エレナ、今までどこにいたのだ?」

「図書館の隣にある扉から森に遊びに行ったの! そしたら大蜘蛛に食べられそうになって、ドリアードさんとお友達になって……もう最高!! 冒険って本当に素敵ね!!」


 キラキラ顔を輝かせるエレナとは対照的にアムドゥキアスの生気が消えていく。


「そうか。まぁ、無事でよかった」


 魔王はそう言って、エレナの頭を撫でた。

 

【アムドゥキアス。城の者をすぐに集め、何故エレナが森に入れたか、聞き出せ】

「……はい」


 テレパシーで魔王にそう言われたアムドゥキアスはがっくりと肩を落とす。

 そうして、エレナが疲れて早めに眠ってしまった後に、エレナ森突入事件の関係者に魔王の雷が落ちたのだとかなんだとか。

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