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暗躍

亡くなった遺体を墓に弔いながら、ある事実に気が付いた。化け物の正体は領主の息子であった。

五歳になる子供で有ることが分かったのも、ルナのお陰である。

化け物を倒した後、暫くしてスマートフォンが鳴り、出るとルナであった。


「お疲れ様です、マスター。」

「ルナか、何かあったのか?」

「はい、マスターのお身体に変化が有りましたのでご連絡を致しました。」

「そうか。」

「マスター?」

「済まない、何か怒りがな。」

「マスターにお願いがあります。」

「お願い?」

「私の造ったゴーレムをリリスの町に向かわせても宜しいでしょうか。」

「勝手にしろ。」

「分かりました、後程伺います。」


通話はそこまでだった。魔法が使えないので、屋敷の庭に化け物を埋葬する穴を掘っていたのだ。

悔しさと怒りを感じながらもやっていると、


「マスター、休憩しませんか?」


と、穴を掘る篤郎にゴーレムが呼び掛けたのだ。


「なっ?」

「お疲れ様です。マスター、穴から出てきて下さい。」

「お、おお。」


ルナから差し出された手を取って、穴から出ると、


「汚れましたね、マスター。『フル・クリーン』」

「ええっ!」


魔法で汗も汚れも無くなり、綺麗な服と清潔な体になっていた。


「ルナ、魔法を?」

「失礼します、『ハイ・ヒール』」


篤郎は体に熱い温もりを感じていた。大きな物が、体に入って来るのを感じながら、何かが弾けた。


「うおぉお?!」

「お体はどうですか?」

「お、おお。・・・何か調子が良いかも。」

「魔法も確認をお願いします。」


空間からマトックを取り出した。


「使える・・・・」

「他に、お体はどうでしょう?」

「問題は無いな。」

「宜しかったです。用意は出来ていますので、ご休憩をお薦めします。」

「いや、墓がね。」


穴を見ると、入れれる墓穴が掘られていた。


「穴が掘られて?えっ、ルナの魔法?」

「いえ、ゴーレムです。」

「ゴーレム?」

「はい。虫型のゴーレムを造りました。マスターには初お目見えですね。」

「虫?」

「お見せします?」


虫が怖いとも感じないが、無理に見たい訳でも無いから、首を勢い良く横に振った。


「他に、タイガーやファルコン等も造りましたが?」

「見せなくて良いからね。」


後に、聞かなかった間違いが起こる。虫の後にタイガーやファルコンと言われても、動物のゴーレム程度にしか認識しなかっただけなのだ。

それが、戦闘ヘリの名前だと知るのは後なのだから。


「マスター、報告があります。」

「なんだ?」

「化け物の件です。」

「屋敷の誰だ?」

「息子です。」

「な!」

「肉体の変化は、特別な細胞が作用していました。」

「あのバカ女~。」

「マスターのお気持ちに沿いたいと思うのですが。」

「何が出来る?町の人を奴隷にしても、全体の何%の嫌がらせにしかならないのに!」


その時篤郎は、顔も表情も無い頭部が笑ったように思えた。


「リデッシ国を奪いましょう。」


「はっ?」

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