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冒険なんですよね?

目が覚めると草の上だった。床も壁も屋根も無くなっている。目が覚めたのが最後だったのか、他のメンバーは地面で正座をしていた。分かっているのは、何かを失敗したのだろうか。

私以外で失敗する者は、デュースかミソオだろう。意外ならハルやラップだろう。ラッツは失敗だけはしない。ただし、ギャンブルは除くけどね。ま、あたしでは無いから良いけどね!

エミーは、のそっそりと起き上がって大きな欠伸をして見せた。


「アツロウさん、エミーが起きましたよ。」

「お疲れ、痺れているから気を付けろよ。」

「みたいですね。」

「「「「いだだだ!」」」」


正座から解放された五人は、とにかく地面を這い回っている。


「だから、正座は少しの時間でも辛いと言ったのに。」

「あだだだ。こんなに辛いとは知りませんよ!あだだだ。」

「いだだだ!エルフにこんな辛い事を!」


「ハルは、もう少しやる?」

「嫌です!あだだだ。」


和気藹々としながら、話をしている。エミーは不思議で仕方なかった。

何故落ち着いて話をしているのかが。


6人は必死に視線を反らしていた。エミーの顔を見ない様にしながら会話をしている。ちょっとした遊びなのだが、熾烈を極めていた。エミーの顔なのだが、白い肌は所々にしかない。様は落書きをしてしまったのだ。額にミミズや怒りマークが多数あり、目はパンダの様になり頬にはナルトや星等が描かれている。鼻も黒くなり、髭も多様に書かれている。喉や下顎、男爵髭にピエール髭。既に原型が分からない程になっているのだ。見たら笑うので、誰が最初に笑うかゲームをしていたのだ。

エミーの顔を見ない。


「おはよう!」


エミーは元気良く挨拶するが、誰も目線を合わせない様にして、


「「「「「おはよう、エミー。」」」」」

「うん?なんだかヨソヨソしい感じがするんだけど。」

「そうかな。」

「そんな筈はないよ。」

「そうだよ、エミー。」


睨み付ける様にして、みんなを見ていた。


「誰も、あたしの顔を見てくれないよね?」


エミー以外で誰も答を言う者は居ない。


「ねえ!こっちを見てよ!」


余計に反対を向かれてしまった。


「飯の準備でもしようかな。」


篤郎は上手く離れた。


「私も手伝います。」


ハルも篤郎に着いて行った。


「私も行こうかなー。」

「デュースじゃ無理なんで、あっしが行きやすよ。旦那ー、手伝います!」


ラッツは逃げた。


「そんなー。」


落ち込むデュースを他所に、ミソオとラップは火をお越し直している。エミーに背を向けて。


「デュース?」


エミーはデュースの肩を掴んだ。


「ひぃ!」

「おかしくない?」

「な、なんで?」

「あたしの顔を見ないなんておかしいよね。」

「さ、さぁ。たまには、あるんじゃないかなーって?」


怒りが溜まってしまったのか、デュースを向かせたが、


「ねぇ、デュース?」

「何かな?」

「なんで、目を閉じているのかな?」

「そ、そんな日もあるじゃない?」

「ははははははは、無いよね。」

「あ、あるかもー。」


プチっ。

エミーの堪忍袋の緒も切れた。


「目を見ろー!」

「はい!」


デュースは目が開いたが、目線は上の方を見ていた。いや、顔がエミーを拒否したのだ。


「見てよ!」

「うん。はい!」


エミーの目の前にはデュースの髪を見ていた。


「む。」

「良い天気だよねー。」

「天気の前に、顔を見せろー!」

「見せる!」


目を瞑ったままでエミーの顔辺りを向いた。


「目を見せろー!」


デュースの弱点である、脇を攻撃しだした。


「ぎゃあー!あはははははははは!」

「どうだー!」

「やめ、ギャハハハハハハハハハ!」

「どうだ!」


エミーのどや顔にデュースの笑いは止まらなかった。


「うぇ、ギャハ!ゴボッゴホッゴボッゴホッ。アハハハハハハハ!」

「えっ、ちっと。デュース、どうしたの?」

「顔、ギャハハハハハハハハハ!か、ゴボッゴホッゴボッゴホッ!」


不適な言葉を聞いて、自分の鞄から手鏡を取り出した。


「な、なんなの!」


エミーの声にみんなが笑い出した。


「成功ですね、旦那。」

「お前達が酷いだけだぞ。」

「ウププププププププッ.」

「笑いを堪えると体に悪いぞ、ハル。」

「「ギャハハハハハハハハハ!」」


朝から賑やかであった。

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