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青春してます。

魔法は使えない世界はどうなるか?

人が発明を繰り返して文明が進み、戦争から新しい国が形を作った。


日本は稀に無い位な平和を作った国だ。

だから良い訳でも無いが、車に注意すれば安心して重装備でのランニングも可能だ。

ランニングは市の外周を回るまでに伸びたし、帰宅後の鍛練も百の振りと型と丸太当たりは理想に近付いた。


4月半ば頃から7時頃から面倒が舞い込んで来た。汗をシャワーで流して、リビングに戻って驚いてしまった。


「ふ、文雄!」


「おはよう。朝ご飯恵んでー。」


何時もの文雄ではなかったのは、声と態度で判った。一応は数少ない友達(?)なので、


「ん、どうした?」


「やっぱし、分かる。」


やけに嬉しそうで、何かしたな。

ふむ、昔の新兵に多いヤツに似ているな、


「大人になったな。それで家に帰ってないな。」


朝ご飯の準備を始める。人数が増えたので、文雄には簡易で好きな物で良いかな。

二階に誰かいる?


「お!分かる、分かっちゃう?」


「で、二階に誰が来ている?」


殺意とも怒気とも取れる雰囲気が、私を包む。


「ま、まて!雪絵!雪絵だから!」


雰囲気を元に戻して、ウインナーの数を増やす。

弁当は先にして、鞄にしまっておこう。彼等には昼まで面倒を見る事もないだろう。

味噌汁は少し多目に作る。


「何をさせている?」


「ほっ。いや、服を借りようと、ね。」


「シャツしか貸せないぞ?」


「だってね。」


文雄は照れていた。

私は水で手を洗って、手拭きをしてからスマホを取り出す。


「取り敢えず、夏絵さんに着替えを頼んで報告と、妙子さんにも報告だな。」


「えっ!」


文雄はソファーから、転げるように台所に向かって来る。


「ふむ、竹下を呼ばないとな。信太郎さんと幸枝さんも来るとラインきたぞ。」


「ふうー!」


台所の前に倒れこんでしまう文雄。そして、起き上がると、二階に向かって行った。


「雪絵!あっ君が裏切った!お前の親父が来るぞ!」


「えっ!えーー!」


騒がしい朝だ。此れは遅刻しそうだな。学校に電話をする。


「あ、おはようございます。私は二年C組の藤並篤郎と申します。はい。おはようございます。担任の小前先生は居ますでしょうか?はい。あっ、そうですか。少し込み入った事で登校がかなり遅れそうです。ええ。すみません。はい。では、出勤されましたらお伝え下さい。失礼します。」


二階では焦っているようだ。

火を止めて、玄関に向かう。

二階から竹下と文雄が降りて来た。


「竹下と文雄、改めておめでとう。」


「あんた、張らしたの?」


「ちげーよ!それより、あっ君!そこを退いて!」


スマホを取り出して、


「竹下の所は家族全員で来るそうだ。もう家を出たそうだ。」


「嘘!お父さん達が来ちゃう!」


竹下は震えてしまい、階段に座り込んでしまった。文雄はオロオロしていたが、


「お、お前!」


と、怒鳴るが、


「文雄、もう遅い。」


ドアを開ける。


「来たぞ。」


「かーちゃん!」


「文雄ー!」

「文雄!」

「兄貴!」


直ぐに、靴を脱いで文雄に詰め寄る。 


「あんた、泊まるならなんで言わないの!」

「心配したんだからね!」


騒がしが、更に騒がしくなる。ご近所迷惑だ。


「雪絵ー!」


「信太郎さん、此処ですよ。」


玄関を出て手を振っておく。

信太郎さん一家も家に入って来る。

大人数なので、リビングに誘導する。

竹下は恵美子さんに何とか連れられてリビングに入った。

転生して17年、面倒な事が舞い込んで来たのだ。

取り敢えず台所に入り、飲み物の準備をする。竹下家族も田渕家族も訳を聞いてるようだが、当人の言い訳が可笑しい。どちらも適当に話を作っている。

これでは、被害を被るのは私になってしまうな。先に答えを出してあげよう。


「信太郎さん、幸枝さん。」


「なんだね。」

「なに。」


「二人は男女の仲になったのですよ。場所は知りませんが、私の家に朝から来ましたから。」


「「「はっ?」」」


其々の家族は当事者を見る。

信頼関係は、こうゆう時に役に立つ。

嘘はいけない。


「親に嘘を言ったか分かりませんが、心配させても男女の仲になった。それが真実ですよ。」


コップと皿を出して、台所に置く。

信太郎さんはブラック、幸枝さんはミルク有り、恵美子さんは砂糖とミルク。夏絵さんと孝司はミルクティー甘め、妙子さんはダージリンの砂糖有り。明恵にはココアを入れなくてはいけない。

朝から洗い物が大量だ。

テキパキと段取りを行う。

信太郎さんが文雄を殴って、幸枝さんが謝りながら文雄を叩く。恵美子さんが竹下から訳を聞いている。

他の四人はテーブルに避難したようだ。


「夏絵さん達は朝ごはんは?」


「食べてないよ。」


「腹へったー。」

「何かある。」

「私はパンね。」


普通は遠慮があるが、小学校からの知り合いと、大人がいないので遠慮もない。


「はー、はいはい。モーニングで勘弁ですよ。」


パンを切っていく。一人二枚で八枚を作る。


「篤郎さんのパン切りすげー。」

「本当だー。スッて切れるんだね。」


パンはトースターと魚焼きで焼いていく。

標準のバターにして、ウインナーも全部出して焼き直す。フライパンを増やして玉子焼きを開始する。


「あっ君、私は半熟ね。」

「私もー。」

「僕は玉子焼きにしてー。」

「私も玉子焼きー。」


「はいはい。」


玉子焼きの準備を始める。

三個のL玉を割って塩を入れて混ぜる。途中で、作り置きの出汁と自作の醤油と和三方を入れて良くかき混ぜる。夏絵さんと妙子さんの目玉焼きは完成したので、パンを取り出してバターを塗って、皿に盛り付けだ。サラダは出せないから、作り置きのポテトサラダを添えて、ウインナーと目玉焼きをワンプレートにして飲み物を添えて出す。


「孝司と明恵は少し待ってね。」


「「いただきまーす。」」


と、


「「うん。」」


を聞きながら、玉子焼きに取りかかる。

信太郎さんの怒号と文雄の謝る声をBGMにしながら、フワトロに焼きあげて放置。

パンにバターを塗り、プレートを準備してから玉子焼きを切ってのせて完成。


「お待たせ。」


飲み物とプレートを孝司と明恵に出して、次に取り掛かる。

ため息をつきながらも、四人に誉められながら、信太郎さん達にも準備を、文雄と雪絵も出さないといけない。

既に8時を回る。

食事を終えた四人には登校するように家に帰らせた。

信太郎さんの出勤時間も迫っているので、


「落ち着きましたか?そろそろ、信太郎さんも朝食を食べて出勤してください。」


の言葉に、


「しかし!」


「恵美子さんに後を任せてお仕事ですよ?」


「雪絵が!」


「貴方、私が信用ならないと?」


恵美子さんの般若が出てきた。

信太郎さんは朝食を急いで食べると自宅に戻って行った。

遅刻だな。片付けながら私は飽きていた。

自宅があるだろうに。残された四人にも飲み物を出して、パンを並べた。

私は台所の隅で遅めの朝食を頂いた。

どのみち、知り合い同士で仲良く手打ちだろう。

竹下と文雄は何らかのお咎めがあるだろう。

文雄は夜に鉄雄さんから折檻だろう。

両家にとっては良いだろう。

で、私は何でこう何時も二人に酷い目に合うのかが謎である。

今も若い二人には耳も赤くなる程の、井戸端会議が始まっている。

女の性の話は強烈なのは知っている。

何処の世界でも同じ事があるものだとお茶を含んだ。


「篤郎君、コーヒーのお代わりをお願いね。」


恵美子さんと幸枝さんの笑い声がリビングに響き渡る。

帰らないのねと理解して、給仕に徹して嵐が去るのを待つしかなかった。


「分かりました。」


竹下と文雄。

テーブルを挟んで、耳まで赤いが終始顔を下に向いたまま困っているが、私と私の家を巻き込んだのは君達だよね?

本当に、私を困らせる二人である。

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