表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鴉喰の華 ~日本に転生したのに、異世界に転移させられた!~  作者: ヒノモト
三章 バイシュ国の乱
31/522

悪鬼羅刹

馬で駆け抜けて、平民が王都から城内に入る暴挙に出たと、城では騒ぎになった。


本来なら通常の手段に従ってもらえると安心していた、ベルエントの宛は外れたのだ。リーベットは、そうなるよねと思っていたが。

まさか、城門まで停められず駆け抜けるなんて、がベルエントの本音だろう。

悪鬼と化した篤郎は素手で兵士達を殴る様は恐ろしく、槍で停めようが剣だろうが魔法だろうが、篤郎の歩みを停められないのだ。


「ゼウント卿、アツロウと思われる者が乱入しました!」


の報告は、ゼウントには当然となっていたが、ハイド8世、ライナー宰相、フォフナー息子、フォフナー軍部卿も驚いていたが、


「陛下、お逃げ下さい!アツロウと云う者は停まりませぬ!」


の報告にフォフナー軍部卿は慌てていた。


「ゼウント卿、大丈夫なのか?アツロウ殿は停まるのか?」


「分かりませぬ。でも、我が一命をとしても皆様をお守り致します。」


「ゼウントよ、」


ドオォォォォオン。

謁見の間の豪華な扉を突き破って兵士達が吹き飛んで来た。

ハイド8世もライナー宰相もフォフナー親子もゼウントの息子達も、煙の先に居た篤郎を見て恐怖を与えられた。


「よぅ、ゼウント。レクッチを逃がしに王都に来てたか。」

「違います、アツロウ様!」


ゼウントは震える足で前に出た。


「なんだ、悪の親玉は王様だったのか。」

「違います!私の話をお聞き下さい!」


ゼウントは、篤郎の氣で立つのもやっとなのだが、気を持って話を続けた。


「デニー一家を殺った黒幕はリヒッテット侯爵です!侯爵は領地に逃げ帰りました。レクッチは冒険者を集めてるようです。」

「それで?」

「はい。レクッチは王都からは逃げ出せません。此方の手筈が整い次第に捕らえる予定です!」


「あ、予定?なんで城にこさした。」

「レクッチは証人です!殺してはなりません!」


「じゃ、捕まえろよ。」

「それでは!」

「レクッチから王様もぐるだと吐かせて殺して滅ぼすは。」


ハイド8世は背中に刃を当てられた思いになって、汗が異常に出ていた。


「お止めませんが、それは勘弁をお願いできないでしょうか。」


ゼウントは涙を流し、土下座して訴えていた。


「今回件は、元は私が招いた事。私奴の不徳です。私の命でどうか。」


篤郎は一瞬にして、ゼウントの前に来た。


「じゃぁ、道案内だ。」


165cmの篤郎が179cmもあるゼウントの首根っこを捕まえて引き摺って歩いていた。

謁見の間の五人は安堵の息をしたが、息子達は慌てて父の後ろを追った。


「らららら、ライナー、こここここ、怖かった。」

「命が助かったのか。」

「ゼウント卿の言ったのは誠でしたな。」

「父上、腰が。。。」


少しの間の後に、軍を引き連れてフォフナー親子が後を追うのだ。町に被害が出ないように。



篤郎は待ての命令を無視して、城から町に出ていた。


「方向は?」

「ななな、南西の方角で」

「城を中心?」


ゼウントは必死に首を縦に振った。殺されない為に、そして篤郎から信頼を取り戻す為に、掴まれながらも篤郎の知りたい事を考えていた。

それでも、篤郎の動きは異常で、南西の方角へと一直線に屋根を富んでいるのだ。生きた心地はもう無かったのだから。

因みにゼウントが高所恐怖症になったのはこの時だ。

経った数分の事であったが、落ちる感覚に粗相もしてしまった。地面に着くと離された。


「レクッチの店はここか?」

「がっ、ばい、げぼっ、げほっげほっ。」


冒険者達は目の前に現れた者を確認できないていたが、


「レクッチを出しな。篤郎が殺しに来たぞ。」


静かな声は響き渡ると、冒険者達は篤郎に斬りかかった。篤郎はそれまで素手だったが、ベルトを外すと剣にして、襲う冒険者達を切り殺していた。


「死にたい奴は向かって来い。」


篤郎が言うと、また襲って来たが全員の首が飛んでいた。ゼウントはその光景を見つつ、頭にエーベルトの言葉を思い出す。『アツロウは間抜けのカードになりやした。』エーベルトの困った顔はとても愉快だったが、今は違って、


「間抜けのカードじゃ無いぞ、エーベルト。」


と、呟いて腰を抜かしていた。

篤郎は正面玄関から建物に消えて行った。ゼウントが見れたのはそこまでであった。

篤郎の殺戮は続いていた。入って直ぐの男女の冒険者を一刀にすると、二階から足音が聞こえたので、二階へと向かった。襲って来た数人のお手伝いを切りながら、奥へと急いだ。

途中で、偉そうな冒険者達も居たが、何かを云う前に殺していた。豪華な扉を開けると、6人の冒険者とレクッチと女子供と大きい男が三人居た。


「レクッチ~、デニーさん達の仇を取りに来たぞ。」

「ひぃいぃぃぃぃい!」


レクッチは女子供を抱きしめながら、


「ドガー、報酬は倍、いや、三倍は出す!」

「へっ、そんなに怖いのですかね?やれ。」


篤郎から死角の左右の天井から二人が奇襲した。冒険者『ジャガー』の室内での必勝の技だ。

動かない篤郎に迫るが、篤郎に近付く前に斬られていた。


「なっ!」

「くそっ!レブー!」

一人が飛び掛かったが、頭を斬られた。血が吹き出したと同時に篤郎が動いた。あっという間にレクッチ親子を残して切り殺したのだ。


「レクッチ~。逃げれると思った?」

「や、やめ、やめ。」


手足を斬ると


「デニーさんとレウル、パレー、ロイシュの仇。」


「「きゃやあああぁぁぁぁ!」」


「アツロウ様!」


ゼウントはフォフナー軍部卿に助けられながら、篤郎の跡を追ったのだが、部屋の悲惨な状況を見ていた。


「ア、アツロウ、様。」


「レクッチの手足で今は助けておく。取り調べをするなら早く手当てをしろ。」


「何も女子供の前で殺さなくても。」

「デニー一家にそう言えるのか?」


一番の篤郎の覇気を纏った氣を受けた者は、腰を抜かし脱糞をした。それは外も同じだった。

血の池の中を篤郎が歩いて外に出た。その足で城に向かっていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ