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光ってみました。

篤郎は登山していた。

もう一度、山に登りたかったからだ。登山客に迷惑が無いように、険しい道を作って走り抜けていた。頂上は目指さずに山頂に出で、カメラで撮影をしたのちに下山した。


身延山のバスの本数は少ない。キャンプ場から駅に行くバスは10時丁度に来るが、それ以降は12時になる。駅に13時15分到着する。因みに登山口のバス停には12時45分着になる。

篤郎のサバイバル登山は凄い。

キャンプ地から山頂まで30分。カメラで撮影者に30分。下山で一時間。ようは、バスに余裕で間に合うのだ。

しかも、昼食を余裕で取ることが出来た。

逆にバスを待つと選択した生徒会達は昼食を食べ損なってしまっていた。

バスが来るまで勉強をしていたし、空腹を耐えてバスに乗って下るのだ。


食後に日本茶を入れて飲む。普段は出来ない事が出来るのもキャンプをした者の特権だ。特権を堪能していると、山からお婆さんが現れた。山菜採りからの帰りだろう。籠を背負っているから間違いないだろう、停留所に座った。

篤郎は新しいコップにお茶を入れてお婆さんの所に行った。


「お婆さん、こんにちは。」


「はい、こんにちは。」


お婆さんは篤郎の顔を見て、一瞬怪訝そうになるが、直ぐに戻して、


「なにか、用かな?・・・」


「もし良かったらお茶を入れたので、どうかなと思いまして。」


「あー、これは済まないね。どれ貰おうかね。」

「どうぞ。」


お婆さんにお茶を渡して、側に座る。


「山菜採りですか?」


「・・・・いや、採れなかったよ。」

「そうなんですか?」


「へぇ、お前さんは美味しいお茶を入れれる。」

「ありがとうございます。」


「平和だねー。・・・・・」

「そうですね。」


緩やかな時間も終わりがきた。


「バスが来たねぇ。ありがとよ。」

「お粗末さまです。」


お婆さんからコップを受け取りリックに直す。

ファーン。バスが近付いて来た。停留所に止まりお婆さんを先頭に乗り込んだ。


「あぁー!あっ君だ!」

「ラッキー!」


竹下と文雄が篤郎を歓迎したが、他は嫌な顔をしていた。


「ほほっ、居たね。」


「ん?お婆さん。」


「退きな!ちょっと使うよ。」


お婆さんの様子がおかしいと思った瞬間に、嫌な予感が過った。それに反応出来たのは篤郎だけであった。

お婆さんを掴むとバスの外に飛び出た。


「あれ!待って、貴方!何をするの!」


お婆さんと篤郎の周りに光が集まり、光が放たれると篤郎とお婆さんとベンチと標識が消えてしまったのだ。


「あっ君とお婆さんが消えた?」

「消えたな。」


「なんだ?あの光は!」


運転手の怒った声が響き、バスを降りると、


「な、なんだー!看板が無い?盗まれた?」


バスに戻り自分の携帯を取り出すと、


「済みません。会社と警察に連絡しますのでしばらく辛抱をお願いします。」


と言うと、電話をかけていた。

生徒会達は唖然としていた。


「な、なんだったの。」

「消えた?」

「なんなの。」


「なんなんだ田渕。」

「て、転生?いや、転移かも。」

「転生?転移?そんな小説みたいな事はない!」


「あっ君。」


どう捉えたら良いのか分からないまま、生徒会達は呆然としていたのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


目を覚ました篤郎は、そのまま状況確認をした。


「む、光の中にいる?」


壁も床も無い光の中にいるのだ、それも見たことがある場所に来たと思った。

こんな場所に連れて来れる者は、


「ミネル・・・・・」

「あーたね!何で邪魔をしたのよ!」

「えっ?」

「エレリーナの危機なのよ!なんて事をしてくれたのよ!」

「だ、誰?」

「はん!教えてあげるわ。私は美神アルテウル。この世界で最高の美の神よ。」


なんだろう、残念感が凄く感じる。それに、危機?

「危機とは?」

「はあぁ?」

「いや、危機とは何なのかを」

「はあぁ?聞いてた?美の女神の前に居るのよ。跪きなさいよ!」


「あぁ。」

跪ついてから、


「危機とは何ですか?」

「教えれる訳、無いでしょ!不細工なんかに!たく、また力を貯めてやり直しよ!やってられないわ!本当に!」


「あの、私はどうなるんです?」

「あ、邪魔は要らないわ。」


スッと、篤郎は穴に落ちてしまう。


「ちょ!なんじゃ、あの女はー!」


理由も訳も言わずに落とされてしまう。

光から闇へと。

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