入学式⑤
結局あのふたりとしか話せなかった……
友達づくり、失敗したかもしれない……
はぁ……しかももう入学式始まるじゃないか
「そういやぁ担任の先生は?」
クラスメイトの誰かが思い出したかのように呟く。
そういやぁ廊下に整列させたりとかそういうの、
先生がやるんだっけ……
ってことは先生遅刻?ダメな大人だなぁ……
「じゃあ私がよんでこようか?」
ここは私が行ってしんぜよう。
そして株を少しでも上げ直さなければ!!
なんて思っていると───
「あのぅ…担任はここにいるよ……」
「「「「えっ?!」」」」
いきなり黒板の前から声が聞こえ、
そちらをみると───
そこには少し泣きそうになっている、
腰まで伸ばしたアルビノに、
高伸長な黒いスーツ姿の男性がいた
え!いたのっ!しかもすぐそこじゃんっ!
「い、いつのまにいたんですか?」
ドアが開く音とかしなかったのに……
「うま⭕棒を配り出したあたりには
もういたんですが……」
((((嘘だろっ!き、気付かなかった!))))
そんな前にいたなんて……
先生、影薄すぎる……
みんなが驚きのあまり、ざわめきだす。
すると───
「ひどいっ!!ひどいよっ!!」
───突如佳代ちゃんが叫び出した。
え!あんた実はそんないいこちゃんキャラ
備わってたの?!
ごめんっ!ドMとか言ってごめんっ!
私が悪かった!
「え、江村さん……っ!」
あ、先生感動してボロボロ泣いてるっ!
そりゃあそうか、
存在を認識すらされてなかったんだし───
「ひどいよ先生っ!
そんなみんなから無視されるなんて
羨ましすぎますっ!」
「ええ?!」
アハハハハ~さすがだよ!
もうさすがだとしか言いようがないよ!!
感動ぶち壊しじゃん!
返せっ!私に感動を返せっ!
あと佳代ちゃんじゃなくて
ド江村さんって呼んだ方が
いいんじゃないだろうかこれは!
「佳代ちゃ~ん、
ちょっとこっちにこようねぇ~」
このままではまだ喋りそうだったため、
羽交い締めにし、
強制的に後ろの方に連行させた。
その時の佳代ちゃんの表情は、
それはそれは嬉しそうでした────
あ…私のライフが…
結局先生は泣きながら3組を廊下に
整列させた後、2組の後ろに並び、
入学式が行われる体育館へと向かった。
……先生、お疲れさまです。
あと2話くらいで入学式は終わります。
長かった…