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成人式編

最近、舌が悪くなった気がする。

ついこの間、カツオのたたきを生姜醤油で食べたんだが、生姜の味を全くと言っていいほど感じなかったんだ。

蕎麦に入れるわさびの量も増えたし、ホットドッグのマスタードや麻婆豆腐のラー油、オムライスのブラックペッパーも然り。

あれ?辛い物に傾倒してる?

まあ、他にも薄味の料理が美味しくなく感じたりするから調味料をぶち込んで濃い味にしようとしてしまうんだよな。

「二郎通いのせいじゃない?」

「やっぱり?」

ニンニクアブラカラメのコールがマズかったか。

脂っこい濃い味だからなぁ。

でもそれこそが醍醐味とも言えるし。


時間は午前二時。

望遠鏡を担いだわけでもなく、ただぶらぶらと夜の街を歩いていた。

成人式とかいうどこの誰かが決めたか分からん行事のために、他県に働きに行った者がとんぼ返りし、ただ酒を飲んで騒ぐ日。

どうにもオールする気にはなれなくて、二次会が終わるとともに、明日用事あるから、という無理矢理な言い訳をして駅に向かった。

向かったものの、既に終電を過ぎている事は言うまでもない。

自販機で水を買い、結露して露の浮いたベンチに腰掛ける。

冷たい。

スーツのネクタイを緩めて、傍に放り投げ、俺は背もたれに身を任せた。

ぼうっと空を見上げても星の一つも見えない。

冷たい氷のような空気を吸い込み、アルコールに染った二酸化炭素を吐き出す。

「まったく。相変わらず協調性に欠けるなあ」

姿勢をそのままに首だけこてん、と倒してみると、見慣れた、しかし、見慣れない奴がいた。

「五年振り」

「五年振り、だね」

見慣れないそいつは、見慣れた笑顔ではにかんだのだった。


結局、歩いて家まで帰る事にした。

完全に葉が落ちて、すっかり枝のみとなったイチョウを横目に見ながら、俺とそいつは街灯を頼りにぼんやりと歩き始めた。

「最近どう?」

「楽しくもなければつまらなくもない。ぼちぼちだな」

「そっか……」

「そっちは?」

「ぼちぼち、かな」

国道に沿いながら、踏切を横切る。

暖冬の影響か、雪はまだ降っていない。

それでも真冬の寒さは、目や耳の感覚を麻痺させる。

だから、手の平の暖かさに気が付くまで少し時間がかかった。

一回り小さい手が俺の手を掴んで、そのままポケットの中にねじ込んだ。

「バランスが悪いな」

「すみませんね、ちっちゃくて」

肩を斜めに傾げ、とても歩きづらいが、どうにもその手を抜く気にはならなかった。

かじかんだ手がゆっくりと暖められ、なんだかむず痒くなってくる。

「なんか買う?」

「うん。あまり食べられなかったし」

「そういえばこの前のカツオのたたきを食べたんだが、ーーーーーー」

そんな冬の日の事。



飲みの帰り、冬の日の夜に家に向かって歩きながら書きました。


寒さを感じながら書いたので、雰囲気はある程度滲み出ているかと思いますが、どうでしょう?


この成人式編の次の話には後日談的な休日編があります。


彼らの関係や考え方など、変わったところ、変わってないところを感じ取っていただければ幸いです。


考えるな、感じるんだ。


それでは休日編で。

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