領主謁見!
周りは鉄骨だってのに
不自然に石で作られた螺旋階段を登り、
上の元展望台、領主の部屋へと突撃隣の〇御飯をしようかな と意識をそらしつつ、ひたすら白の階段を上がっていく。
この、現地民曰くアビルの塔とやら、は
オレンジのビルの上に通天閣を根本から切り離してのっけたみたいな形と色をしていて、
よっぽど地元民が手入れをきっちりしたのか、
白の鉄塔とオレンジの塗装のコンクリのビルの姿は前にネットで見た姿そのままだ。
・・・黒い砂粒はノーカンで。
曇り空と砂漠しか見えないのだけど、
外を見ながら登っていくと、明らかに付け足した感が漂っている装備が落ちていた。
「・・・電波塔なのにバリスタ?」
もごもごしながら水野の袖を引き、巨大な 弓とごちゃっとした機械の融合体を指さす。
確か、バリスタは矢のかわりに槍を発射できる位にでかい機械弓っていう認識で良かったはず・・・。
「兎塚・・・。
それはバリスタで合ってると思うが・・・
此処は一度も電波出てねぇぞ、古今一度も。」
「そだっけ?」
記憶に無いんだけど・・・。
「俺のクラスメイトの田中が語ってたから正しいぞ?」
・・・そーなのかー。
驚きの真実を知らされた後、落ちないようにしながらバリスタへと近づく。
それは、無理に使われ続けたのか、
弦が切れ、装填用のてこの部分はヒビが入っている。
台座の部分だけは他の場所にも有ったのに、なんで上の物はなぜここだけしか無い?
領主への質問が増えた事を頭のメモに書き付け、
また、登り始める。
・・・・・・そろそろ砂嵐が来そうだ。
~~~~~~~~~領主の部屋~~~~~~~~~
「ふう。
やっとついたぁ。」
この世界にスタミナとか持久力なんていうステータスが無くて本当に助かった・・・。
平野を一気に縦断なんてしても、
腹は減るけど、運動に支障が出るほど疲れはしないんだから。
「うさうさ~~。食料~。」
「はいはい、
食料なら、ホレ。ジェリーワームの詰め合わせ。」
殆ど主食になってるにも関わらず、
こいつらは、消費しきれないどころか桁が減らない訳で・・・。
なんで、ルビナスも三食で食べてるのに減らないんだろうね・・・・・・。
もはや怪談の域に達したとも思えるこの虫を、
加工しては食べを水野と繰り返し、満腹にしておく。
砂嵐がフラグだったら怖いし。
階段の途中で衰弱して動けなくなっていた領主の部下に水と未加工のジェリーワーム(大)を渡して、領主に謁見させてもらう手筈になったし、
あのノロマ猿が力尽き無ければ体感1時間位までに出来るだろう。
あんな状態の街の領主が食料と水の供給元に出会ったんだ。
反応は限られる筈だ。
旨みの無くなったこの街にまだ残っているって事はよっぽどここが好きか、ここ以外に居場所がないかのどちらかだろうし。
「テンタクル様方!
『領主様が立ち上がる事も出来ないので来て欲しい。』と仰られましたので、どうぞコチラへ・・・。」
王城に良くある背景のカーテンの隙間からあの例の 猿の干物が走り出て来て、枯れた不快な声を響かせる。
ジェリーワームにはのど飴的な効果がある様で、
拾った時より少しは声が良くなっている。
・・・はじめは三千年物の仙人の爺さん並のしわがれ声だったし。
言葉に甘え、カーテンを跳ね上げて歩いていく。
掃除員も飢えてしまったのか、廊下は埃と砂が降り積もり、レッドカーペットは色あせて、
もう滅びる一歩手前であったんだな、としみじみ思う。
金メッキの燭台だけが照らす廊下を水野の服の袖に捕まり、歩く。
縦五m、横二m程の金縁のドアが見え、
それを水野が豪快に蹴り開ける。
「何事だ!?」
「ちょ、水野!
足って、おま!」
曰く、手を使いたくないから足を使ったそうだ。
・・・・・・言ったら手を離したのだが・・・。
さて、そこで警戒している干からびた結果出来たのか元なのか分からない死体・・・・・・
死体教皇の誤解を解くことから始めよか。




