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そして現在。 牛のせいでピンチ。

「地図、お前読めたっけ?」


 振り返って肩に触手を乗せて言った友人の言葉を要約すると、地図とか読めないし地図よんで案内しろ、だ。

 お互いに相手の地理の点数程度なら知っている。

自分は読めて、あいつは全く読めない、

それは分かっているんだし2人だからこそ分かるやり取りだ。


「……行くなら、木のない山がいい?それとも森がいい?どちらだ?」


「山」


行き先は近くにある漢山(おとこやま)とかいう山。


「技って何使って出るんだっけ?此処は」


ステータスを見たが、リンゴを食べたことによって経験値が少し増えていただけで変わりは無かった。

 ……あの虫って弱いだけ有って経験値ほぼ無いのな。



「たしか、数分ごとに更新される回数制限で、全体的には ほぼ無限だったはずだぞ。

……あの雑誌に書いてあった」


「そうか、ならさっき温存する意味、無かったな……」



 MPとかがあったら後々回復に困るし、その点においてだけは良かった。


「そろそろ、目的地が見えるはずだ」


 あの雲がドラゴンみたいだとか、たわいもない話をしながら原っぱを歩いていると次第に景色が変わり始め、岩が多くなる。そのころになると日も傾き、夜にそろそろ備えないいけない時刻になっていた。


「夜は何か有るかもだし、洞窟でも探すか?」

「おう、テントなんてしゃれたものはないもんな」


 友人も同じ事を考えていたようだ。




 そして、洞窟を探して入り、夜を明かした。そして、巡り巡って今に至る訳だ。


 洞窟の中には先住民の砂糖まみれの猪が中にいたけれど、スキルで不意打ちを食らわせたら一撃で沈んだので何も言うべき事は無いだろう。

……しいて言うなら肉はすき焼き風で程よく美味かった。


「さて、山の探索でもするか?」


崖や森が深い場所が多く、山を越えるしかあの廃墟、

シブヤにたどり着くことは出来なさそうだ。

見える所は崖だけだったので滑り落ちて降りてもいいのだけど。

下に何かいたら命がスルーパスされてしまう。

丸呑みなんぞごめん被る。



「この山には人の手の入った場所が1つあるんだけれど、そこを通らないと超えられそうにない。

漢骨集落(だんこつしゅうらく)とか言う名前なんだけど。行くか?無理して回ってもいいんだけど。」


「行く、体力を無駄に使いたくない。」


 疲れは少しだけだが存在するらしく、草原の縦断のあとだるくなったので、山の場合はもっと酷いだろうし、その判断も間違ってないかもしれない。



「んじゃ、しゅっぱーつ!」


 洞窟から出て寝具となっていた猪の皮をしまう。表示された内容によると、シュガーボアとかいう名前だったようだ。



 厳しい山道を兎が跳ねていき、かつらが後ろをのそのそと這って行く他のRPGだったなら速攻で勇者に切りかかられて死んでそうな絵面だ。


「ちょっと止まるぞ、何か音がする」


 集落が近く成ってきているし、用心はしたいものだ。

なのでちょうどあった茂みに隠れて音のある方を覗きこむ。


「私食べても美味しくないですよォォオッ!」



 音が響いて来ていた広場では、

 牛の角の生えた少女が吊るされて鍋にぶち込まれかけている。

 そして、周りにいるのは10体ほどの人骨だ。

……骨って何か食うのか?


「そこの人ォッ!見てないで助けてよッ! 」


 あいつが叫んだせいで見つかってしまった。

 具材が生きたまま煮込まれる鍋パーティーなんぞ見たくないし、見捨てるつもりもないから奇襲してかっさらうつもりだったのに。


「ガゴォ?」


 お陰で殆どの骨に見つかる。

 野営地のようで相手の数が少ないのだけが救いだ。


「水野、ここで終わるかもな俺ら。……鍋はやだなぁ。」

「俺もゴエモン式な死亡法は体感したくない」


 骸骨どもは見える骨がすべて人間には見えないくらいに骨太すぎて元は化け物レベルの筋骨隆々だったのが分かる。

 そんなやつら(6m超えで大剣まで持ってる)と、こちら(ぬいぐるみ位で手ぶら)が戦って勝てるなんて奇跡でもないと無理だ。


かといってこの様子を見たところ、

さばきもせずただ鍋にぶち込んで煮てから食うらしい奴らの食事には絶対成りたくない。


「テンタクルウイップッ!」


この戦い、どうすりゃ勝てるかな?


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