目覚め、悪夢、拒絶。
「は・・・ぁ・・・は・・・ぁ。」
自宅へ帰り、ミルクに報告してから体感1週間。
まだ、兎塚は起きていなかった。
何かにうなされるように時々呻き、
痛々しい感じを抱かせてくる。
死にものぐるいで取得した食料与奪のスキルにより、空腹は回避できているけど・・・。
いつまで経っても衰弱が取れない。
あの槍をミルクに解析してもらった所、
あれは数値上は満腹度と体力を1に保つ、
が、実際の数値はマイナスで極限近くだった訳だ。
兎塚の種族であるカーバンクルだと、毎秒90%が失われるらしく、
むしろ俺が来るまで心がもっただけ奇跡らしい。
マイナスをなんとか10まで回復出来たのは水晶塔のおかげだ。
あれと槍の動作不良がなかったらあの国どころか、ウチも危なかった程なんだし。
水晶塔様々だ。
「いゃ・・・・・・イヤァァァアッ!」
兎塚が何度目か分からない悲鳴を上げて静かになる。
芯まで寝ているようで声がかけられない、
だから俺はただ見守って満腹回復をするだけしか出来ない。
俺は・・・・・・無力だ。
一週間後~~~~~~~~~~~~
雷牙国と水魔国が正式に地図上から滅亡した。
雷牙にも竜が出てこちらの報復も含め、
全滅しかけた所に追い討ちをかけられたらしい。
この二国の土地は他の王国も取ろうとせず、
放置されっぱなしだ。
位置的にウチが次に襲われる可能性が高いものの、こちらの龍は兎塚の光板に入ったきり出てこないので、警戒すべきは、雷牙の龍だろう。
閑話休題、
兎塚の意識が断続的だけれど戻る様になった。
起きたとしても、幻覚が見えているのか頭を抱え、うわ言をいうばかりで、また眠りに入ってしまう。
「ごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッごめんなさいッ」
懇願するように紡がれるうわ言はまたぼんやりと起きるまで続く。
起きている時のうわ言を聞いていくと、昔 のトラウマまでも思い返されて居るようだ。
この頃は少しは治ってきたというのに・・・・・・。
復讐の矛先も滅びていて、向けることも出来ない。
「そろそろ、仕事の時間か・・・・・・。」
何もしないままでは金が無くなってしまいかねないため、定期的に近郊の仕事を受けなければならない。
「まっててな、すぐ帰るから。」
~~~~~~~~~~~~更に一週間後~~~~~
やっとまともに意識が戻ると、
絶叫しながら自室に駆け込み、閉じこもってしまった。
「いい加減出てきなよ・・・。」
「イヤッ!
絶対出ない!
もう、
私自身も、何もかもが分からない!」
閉じこもったまま、出てこない。
下手に出せば傷つけそうだし、
口調が元に戻って心が不安定になっているみたいだし・・・・・・。
光板にかなりの食料が詰まってるから
満腹度には気にせずに居られるのだけが助けだ。
本当・・・・・・どうすればいいんだ?コレ・・・。




