現状把握っぽい何か
「腰でも抜けたのか?ふふっ、しょうがねぇなぁ。」
目の前でなさけなく腰を抜かしてしまったのを案の定笑われてしまった。
完全に足腰立たずになっていて地面にとけたようになったまま起き上がれないので
水野に触手でつかんで(包んで?)もらって岩の上に置いて貰う。
もがくたびに土が口の中に入ってきて大変なことになっていたので助かった。
「すまん……。」
水野にお礼を言い、メニューを開いてかろうじて動く右手を動かしさっきの作業の続きを始める。
今度はちょうど手前にあったのでメールを見てみる事にした。
すると2件の着信を知らせる赤文字が球体から飛び出て目の前を踊る。
……誰からのだ?
始まってあまりたっていないはずなのに。
目に優しくない赤文字を爪で突いてメールの受け皿を開き一つ目をタップ。
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件名 運営より緊急連絡
本文
通信システムの不具合により、通信をした場合に
致命的なバグが発生しています!
バグにより発生する電磁波によって、
身体に悪影響が出る恐れが有ります!
そして、このゲームを起動したまま気を失っている方を見かけた場合、
ゲームの電源を決して切らないでください!
想定できないレベルの影響が発生する可能性があります!
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はぁ?
冗談じゃないッ!
この内容からして身体に悪影響ってことはもうすでに何かしら起きているってかんがえたほうがいいじゃないか!!
対応がここまで早いのだから、この状況は売る前に既に運営側は分かっていたのか?普通ならベータテストあたりで気が付くはずなのに……。
まぁ、ゲームの中だって可能性が高まったのは収穫なのか、な?
まぁ、親は遠く離れたド田舎にいるから他の情報はあんまり意味がない……かな。
疑問が次々と湧いてくるがそれはそれで置いておいて次のメールを開き、読む。
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件名 GMより
グラトニカのオンラインステージへとようこそ!
ここでの永続的生活を便利にするために倉庫を追加します!
このメールを開いて3分後、システムの強制ダウンロードを開始し、メニューに倉庫を追加するよ♪
ハブ ア ナイス サバイバル ♪
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こちらは更に分からない。
ゲームマスターってわざわざ言うってことはこのメールの送り主は運営から離れている……ってことかな?
メールを閉じて少し待つと、言葉通りにダウンロード画面が開いてしばらくしたら倉庫がダウンロードされた、が。
ゲームで確認画面もなく強制ダウンロードなんて聞いたことないし嫌な予感しかないんだけど……。
恐る恐るメニューの倉庫を叩くと、残り容量100000000000と明らかに色々とおかしい数字が出ている。
……一兆って何だよ一兆て……。
付属したチュートリアルによると倉庫は自分の手で光板に何かしらを投げ込むと収納してくれるらしい。
いざというときに使えないと困るし……。
ひとまず試しにそこらへんの石をいくつか光板へ投げ込んでみると、シュコン!と軽やかな音を立てて吸い込まれて光板の表示がかわる。
残り倉庫容量999999999999
どうやら同じ種類のものはひとまとめにされて格納されるようで小石は1つしか数字を進めなかった。倉庫の中身を開いて石を選んでみると、説明が出てきたのでそれへ目を移す。
名前 タダの小石 非食料 2個
何処にでもある小石。
投げやすい。
こんな説明を読むなんて暇人だね!
この説明文の作者はイラッとさせるのが好きなんだろうか……。
イラっとして握りしめた爪が刺さって右手がめっちゃ痛い。
「水野ーお前はあのメール開いたか?倉庫の奴。」
「ああ。すごく便利だなこれ、容量デカ過ぎるし。
あと、さっきから右手が赤色に染まり始めてるけどだいじょぶか?それ。」
痛いだけで体力が減ってないので頭を縦に振っとくと、そっか、とだけ言って水野は光板に手を突っ込んでチョコを出していた。
なんかとげとげしてるL字なんだけどなにその悪意しか感じない形……。
「それ……なんだ?変な形だけど。」
「あーこれか?これはな……。」
チョコのバッタがいたから倒したら落としたそうだ。
そんなところだと思ったよ!よく食えるなバッタの足なんてッ!
幸運な事に、倒した後のドロップアイテムを食っても経験値などは入って来るらしい。
生きるために死体をあさるなんていう拷問の様な事には成らなさそうだ。
あと、友人が意味もなく蟲食うような奴だったとかいういらない新事実が判明したわけでなかったことも幸運だった。
さて、朗報が得られた所で、お待ちかねのステータスを開こう。
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名前 うさうさ
種族 ガーネット カーバンクル
宝石獣類
レベル1
ステータス
体力 100%
満腹度 80%
力 9★
防御 80
素早さ 90
精神 20
魔防 90
サイズ 10★
運 120
スキル
ガーネットソード
ジュエルシールド
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適当に決めた名前はどうでもいいとして、不穏な気配の漂ってるこの黒星はなんだ……。
「……水野、ステータスの画面の黒い星って何だと思う?」
「星が出たのか兎塚、喜べよ……。
その能力値は上限だ。」
力が初めに振った奴より弱いし、
此処の世界は確か後半になると3桁当たり前だった気がして全く喜べないんだけど……。
「お前は何に星付いたんだ?
さっきの言い草から言ってお前も有るんだろ?」
「……防御が3でカンストしてたよ。」
あいつはもっと酷かったようだ。
あの姿だと素早さも低いだろうし防御が一桁なのは生き残るのは絶望的かも知れない。
その分体力が多いといいんだけれどパーセント表記なせいでそれもわからないというなんとも絶望的な……。
「お互いのを把握しておくか?どうせ一緒に行くのだし。」
具現化させたお互いの光板を交換し、ステータスを見せ合う。
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名前 テンタクル
種族 ハテナ
???
レベル2
体力 99%
満腹度 90%
閲覧不能
スキル
テンタクルウィップ
鋭い嗅覚
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種族のハテナは突っ込まないとして、
どうやら他人のステータスは見れないらしく不安はぬぐいきれないけれど、ここにくるまでに一度は戦闘をこなしてることを考えるとある程度は大丈夫みたいだ。
「ん。レベルとスキルくらいしかお互いに見て役に立ちそうにないな……。」
「まさか閲覧が出来なくなってるとはね……本来ならみれるらしいんだけど。」
交換しなおして自分の端末に何かしらの変化がでていないか確認していると、地図には地形のほかにプレイヤーのいる場所をしめす点が二つに増えているくらいだった。
普通フレンド登録くらいでないかな……。
まぁ、一人から四人推奨のゲームだったからなのだろうけど……。
そんな風に不親切さに呆れていると、あいつから肩を叩かれた。
「団体さんが来なさったみたいだ。兎塚、構えろ。」
言われた通りに見渡すと周りの草むらが何箇所も不自然に揺れている。
何かしらがこちらへ向かってきているようで明らかにこっちの姿を捕捉されている。
どうやら操作に夢中に成りすぎていたみたいだ。
地図を見ていたのに何もなかったってことは敵なのだろうけど……。
見事なまでに囲まれてるな、これは……。
満腹度についての補足
満腹度は上限が150%まであり、
120以上は吐き気がして食べる気が起きず、
150以上になると死亡する。
つまりは腹部が限界を超え、内蔵が破損する事による酷たらしい死である。
下限は0%までであり、
10からは栄養失調による飢餓感に襲われ、正気を失うような苦しみを味わう。
0以下は動く事もままならなくなり、
意識が朦朧とし死に至る。
満腹度の目盛はキャラ事に大きさが異なり、
燃費のよく巨大な体を持てば1週間飲まず食わずで1目盛であるし、
燃費の悪く小さい場合は一日で140~150目盛使う。
目盛や、食事の満腹度回復は隠し数値が使われる。
例、
普通の村人(現代人平均)
100%=17000である。
※1日に2200キロカロリー使い、
飲まず食わずで8,5日生きた場合で考える。
小説内ではざる勘定なので裏設定的なかんじで考えてくださればいいと思います。