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不揃いな勇者たち  作者: としよし
第9章(後半) 北の大地
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第十四話 北大陸、上陸

【第十四話 北大陸、上陸】


 北大陸最大の都、ディングリップより少し東の、とある村。


 北大陸ともなればモンスターの跋扈する地である。人口が集中するディングリップの都以外の集落では、人々はわずかな守護鉱石の上、わずかな緑を囲い、その場にへばりつくようにして生きている。

 そしてまれに訪れる者がいれば、なぜこんな場所に村があるのかと疑問に思うだろう。


 村は元々、あるものを守るために作られた。しかし自然の厳しさに、そしてモンスターの脅威にさらされ、大儀を掲げた村からは次第に人々が減っていった。

 今では元々その村で生まれ育った者はほとんどおらず、都で顔を上げて生きていけないような流れ者たちが行き着く場所と成り果てた。村人たちは自分たちが、何を守るべきであったのか、とうの昔に忘れてしまったのだ。

 

 そしてそこに、一軒の酒場があった。

 昼間だというのにすでに賑わい、早くも酒の匂いを漂わせている。しかしその場に、善悪の区別は存在しない。その場に居るのは、一見すれば仕事をさぼり、陽の高いうちから飲んだくれているどうしようもない人間たちだ。 しかし彼らは痩せた土地にしがみつき、時にはその憂さを晴らす必要がある。極端に楽しみの少ない彼らにとって、それは惰性ではなく、生きていくために必要不可欠な事柄だった。


 キィ、と酒場の両開きの扉が軋む。次の瞬間、店に居た者たちの視線はその一点へ集まった。

 そこには朽ちかけた酒場には似つかわしくない、美しい少女が立っていた。 


 流れる金の髪を風に流し、透き通るように瑞々しい肌、咲き初めの花のような唇。その面差しには、わずかに幼さが残る。金色の睫の縁取る瞳は青く、遠くのほうを見つめている。職人によって作られる人形ドールのような、少女特有の潔癖な美しさがあった。

 当然誰の顔見知りでもなく、突然の来訪者に、酒場の村人たちは驚いた。扉の近くの席にいた村人は立ち上がって少女に声をかける。


「おっ、見ない顔だね。どうやってここまで来たんだい? おじょうさん、べっぴんさんだね」

「食事をしに来たの」


 小さな唇から、その顔立ちから想像される通りの声が転がり落ちる。鈴の音のような声は、その場にいる者たちの耳をくすぐった。

 しばし呆然としていた男たちは、少女が一歩踏み出すと、目が覚めたように我に返った。そして食事をしに来たのだという少女に、罪悪感さえ抱いた。昼間から村唯一の飲食店がこんな有様では、さぞ落胆したことだろう。


「こんなむさ苦しいところへようこそ。生憎今テーブルはいっぱいだが、おじょうさんみたいなかわいこちゃんならどこも相席大歓迎さ! さあさあ、野郎ども! 席を譲りな」

「その必要はないわ」


 決してはねのける様な声音ではなく、少女はにっこりと微笑んだ。


「食事をするのはわたしではなく、この仔だもの」


 少女は肩にかかった髪を払った。ちらりと見えた細い肩には、なにやら丸くうずくまる生き物が鎮座している。猫か何かかと思い、声をかけた男が手を伸ばした、その時。


 男の腕が、消えた。


 何が起こったのかわからず、腕をなくした男は呆然とその場に立っていた。伸ばしたはずの腕。今は肘からその先が、無い。

 肉の合間から白いものが覗き、ボタボタと鮮血が床に落ちる。ようやく痛みを理解した男は、悲鳴を上げようと口を大きく開けた。


 しかし予想された悲鳴は、上がらなかった。今度は男が、身体ごとすべて消えてしまったのだ。

 そして男の立っていた場所には、まるで成り代わったかのように謎の生物がいた。その口はゆっくりと動き、咀嚼しているのだと知れる。


 単に男は、喰われたのだ。


 酒場に水を打ったかのような沈黙が流れる。少女は満足そうに微笑を浮かべたまま、その生物が口を動かしている様子を見つめた。

 

 噛み砕く、音。飲み下す、動き。

 それを見つめる少女の表情は相変わらず美しく、そして楽しげでさえあった。


 誰かが弾かれたように悲鳴を上げると、村人たちは一斉に動いた。

 一つしかない扉は少女と謎の生き物の背後だ。村人たちは悲鳴を上げながら出口を求めた。いくつかある窓から逃げ出そうと、人が殺到する。

 我先に逃げ出そうと押し合いへし合いになっている男たちに、ゆっくりと少女が近づく。それと共に、謎の生物も歩みを進める。

 逃げ惑う人間たちを、その生き物は丸飲みにした。口から零れてしまった分は噛み千切られ、足や腕がボトリと床に転げる。鮮血が飛沫になって、窓を赤く染める。


「……ひっ!」


 テーブルの影に隠れていた男は、思わず声をあげ、顔を青ざめさせた。耳ざとく少女が聞きつけ、そして謎の生物も振り返る。

 男と、少女と、生物との、目が合った。


「い、嫌だ。来ないでくれ!」


 男は尻で後退しながら、床を這う。恐怖が視界と思考を奪う。呼吸が荒く、声が上ずる。


「な、なんなんだよ! いったいおれたちが何をしたって」


 次の瞬間、男の声は謎の生物の口内で掻き消えた。残った首から下は、二口目で丸呑みされた。

 満足そうに目を細め、ゆっくりと咀嚼を続ける生物の鼻を、少女は優しく撫でた。そしてまるで我が子を慈しむかのように、甘く優しい声音で訊ねた。


「ねえ。お腹、膨れた?」











 かすかな波に揺れる船上。マストにもたれかかり、腕を組んでルーウィンは顔をしかめた。


「なに? 街の港まで送って行ってくれるんじゃないの?」


 あからさまに不満げな表情を浮かべるルーウィンに、クロマはなだめるように言った。


「悪いなお姉ちゃん。ディングリップは特定の入港証を持ってる船しか入れなくってな」

「まあ、そんなこったろうと思った。色々と窮屈そうな噂しか聞かない国だからな。それにあんたら、入港証がどうとかいう前に、ひょっとすると目を付けられているんじゃないか?」


 ラクトスは愉快そうに目を細めた。


「最初あんたは、ゼリアの島民は海賊と戦っていると言っていたよな。ところが、実際に戦っていた相手は漆黒竜団だ。あの時、どうして嘘を吐いた?」

「そりゃ、その辺の海賊と漆黒竜団とじゃ規模が違うからな。漆黒竜団の名を聞いて、あんたらがびびっちまわないように」


「つい、言っちまったんじゃねえの? あんたたちこそが海賊だったんじゃないのか。普段は善良な島民の皮を被って国の調査を逃れ翻弄し、漁業で生計を立てているかと思いきや、本業は海賊ってわけだ」

「えっ! そうなの?」


 フリッツは驚きの声を上げた。

 ラクトスの鋭い視線が、クロマを射る。クロマとコラルは互いに顔を見合わせる。その様子を窺うために、フリッツは顔を忙しそうに左右に向けた。 しかし誰の顔を見ても、そこに正解は書いてない。

 少しの沈黙の後、ラクトスが息を吐いた。


「……なんてな」


 するとクロマとコラルは再び顔を見合わせ、大きな声で笑い始めた。


「ははは! 兄ちゃん、なかなか面白い話だった! でもな、今肝心なのはおれたちが海賊かどうかじゃない。おれたちが義を通す人間かどうかだ、そうだろう?」

「確かにな。海賊だったとしても、おれたちを北大陸まで送り届けてくれりゃ、それで十分だ」

「はは、違いねえ!」


 クロマはひとしきり笑うと、ラクトスの背中をバンバンと強く叩いた。ラクトスは痛かったのか、顔をしかめる。

 困惑したままの面持ちで、ティアラが訊ねた。


「……ええっと。結局本当のところはどうなのでしょうか?」

「どっちでもいい、ってことじゃないの?」


 ルーウィンがあっけらかんと言った。どっちでもいい、とはきっとルーウィンの心境でもあるのだろう。


「さあ皆さん、ようやく着きましたよ」


 コラルに促され、四人は下船する準備に取り掛かった。

 北大陸の断崖絶壁が目前に迫り、船はゆっくりと岩で出来た入り江へ近づいていった。クロマが辺りの様子を窺い、図体に似合わぬ軽やかな身のこなしで入り江へ飛び降りると、手際よく船を近くの岩にロープで固定した。


「いよいよだな」

「うん」


 ラクトスの呟きに、フリッツは口元を引き結んだ。フリッツは船に戻ってきたクロマとコラルに向かい、頭を下げた。


「ここまで送っていただいて、ありがとうございました」

「いやなに、礼には及ばない。これくらいのことはさせてもらわないとな」


 濡れた足の飛沫を飛ばしながら、クロマは言った。


「一度村に戻った時に聞いたんだが、タイタン=ニック号は結局救助の船が来るまであのまま、船員は皆南大陸に引き返したそうだ。それ以来は巨大ハッポンの出現を警戒し、元々数えるほどしかない北への船の出港予定は大幅に遅れている。なんだかんだあったが、これで良かったと思ってくれれば幸いだ」

「なによそれ? 随分と言い訳じみてるじゃない」

「はい、父のただのいい訳です」


 ルーウィンが口を挟み、コラルが苦笑しながら答えた。色々大変な目にあったが、北大陸へ辿り着くという目的だけを考えたのなら、回りまわって、結局はこれが最短のルートだったのだ。

 船の昇降場に集まった四人は、いよいよ下船するだけとなった。きらきらと瞳を輝かせたティアラが、フリッツの顔を見る。


「では、お先に行きますよ。せーの!」


 そう言って、ティアラは勢いよく船から飛び降りた。後ろから見ていたフリッツは、彼女が岩場の水溜りに嵌ってしまわないかと気が気ではなかったが、着地したティアラは満面の笑みを浮かべている。

 その様子を見て、やっとここまで来たのだという実感がフリッツの中にも湧いてきた。ティアラの上機嫌に乗せられて、フリッツも思わず船から飛び降りた。

 そして着地すると同時に、大声で言った。


「北大陸、上陸!」


 フリッツとティアラは足場が不安定であることも忘れて、手を取り合って無事に上陸したことを喜んだ。 

 しかし気分が高揚しているフリッツとティアラを尻目に、ルーウィンとラクトスはなんということもなく下船してきた。


「……なんかイマイチね」

「だな。どうも北大陸に辿り着いたって感じがしねえ」


 二人の冷め切った反応も無理は無い。北大陸に辿り着いたとはいえ、肝心の大陸が広がっているのはこの断崖絶壁の遥か上なのだ。今目の前に広がる光景といえば、ただただ続く崖と海しかない。

 それぞれの反応の違いを船上から見ていたクロマとコラルは声を立てて笑った。


「ここから崖伝いに上がっていけば、北大陸らしさ溢れる荒涼とした大地が広がるぞ。そうすりゃディングリップなんて目と鼻の先だ」

「気をつけて進んでくださいね。逃げるという判断も、選択肢の一つです。お忘れのないように」


 四人は船上のクロマとコラルに向き直った。


「本当に、ここまでありがとうございました」

「ああ、達者でな。武運を祈る」


 四人は、クロマとコラルと別れた。そして背後にそそり立つ絶壁を振り返り、誰からともなく進み始めた。







 聳え立つ崖を上り、そこで初めて北大陸の景色を拝めるようだった。よくよく目を凝らして見れば、崖にはわずかに道のような筋が通っている。かなり急勾配で細い道のようだが、進むより他ない。


「道、細いね。それに息が切れそうだ」

「丁度いいわ。ここんとこ船に乗ってばっかりで、身体がなまってきてたのよ。肩慣らしにもってこいじゃない」


 四人は荷物を背負い、一列になって道を進み始めた。

 こうして通り道があるからには、クロマたち以外の者もこの場所からこっそりと北大陸に上陸している者がいるのかもしれない。人の行き来があるということは、モンスターによる脅威があまり大きくは無い証拠だ。安心してはいられないが、必要以上にびくつくこともないだろう。

 一方には岩肌むき出しの壁、もう一方にはただのくう。少し足元がふらつけば、たちまち転がり落ちてしまう。一行は目の前の道を黙々と歩み続けた。


「ここらで休憩しよう。だいぶ上がってきたな」


 ラクトスがそう言い、フリッツは安堵のため息をついた。ティアラも同様にほっとした表情を浮かべ、さっそく荷物を地面へと下した。

 今までの足を踏み外してしまいそうな道とは違い、かなり開けた場所だった。土と岩ばかりだったが、這い蹲るようにして潅木が茂り、そこに一本木が生えている。


 緑溢れる南大陸とは違い、ここ北大陸は荒涼な大地が広がっていると聞く。ここまでの道のりだけでも、そのことは感じられた。やはり緑はほっとするものなのだと、フリッツは思った。数日間ひたすら海を眺めていたため、久しぶりの緑はフリッツの目に染みた。

 皆が荷物を解いて腰を下ろす中、フリッツは吸い寄せられるように木へと近づいた。


「……めだって。そっちは……」


 フリッツは、首をかしげる。何か、声のようなものが聞こえた気がしたのだ。フリッツは後ろを振り返る。


「ねえ、今何か言った?」

「誰もあんたに何にも言ってないわよ。気のせいじゃない?」


 ルーウィンが声を大にして答え、フリッツは腑に落ちない表情ながらも再び木へと視線を戻した。


「こっちへおいで。ほら、いい子だから」


 フリッツはおや、と思う。今度は確かに声がした。不思議に思ってまた振り返るが、誰もいない。やはり目の前には葉の茂った木が一本あるだけだ。

 がさ、と物音がする。風も無いのに葉がひらひらと舞い落ちてきた。もしかしてという想いが胸をよぎる。

 そろりと上の方に視線をやると、顔に葉っぱが落ちてきた。続いて―――。


「きゃっ!」

「うわああ!」


 木の枝がばきばきと折れ、結構な質量が降ってきた。フリッツは見事に落下物の下敷きになる。とっさに受身を取ったのだが、腹の上に直撃される。 フリッツは何かの下で低く呻いた。


「うぅ……」

「痛ぁい……」


 フリッツとは別に声がする。目を開けると、一面に金色の波が広がり、かすかに甘い香りが漂う。驚くべきことに、白くか細い腕が自分の胸倉をしっかりと掴んでいるのが見えた。何事かと思い、フリッツは目の前の光景が信じられずに居た。


 降ってきたのは、なんと少女だった。

 落下の衝撃に驚いたのだろう、しばらくぼうっとした瞳をしたまま動かない。

 しかし状況を理解すると、顔を真っ青にしてフリッツを揺り動かした。


「大丈夫? ごめんなさい、わたしうっかりしていて!」

「とりあえず、ゆ、揺さぶらない、で」

「あっ」


 瞬間手を離した少女だったが、支えが無くなったフリッツの頭部は虚しく地面に落ちた。頭をぶつけたフリッツを見、少女はさらに慌てる。


「フリッツ、どうしたの!」


 騒ぎを聞きつけてルーウィンたちがやって来た。三人はこんな場所に人が居ることに驚いたが、近くでフリッツが伸びているのを見てさらに目を丸くした。しかし少女のあまりにも必死な様子に、三人は事情を聞くのを後回しにした。

 目を回しているフリッツにティアラが術を施し、その間にルーウィンは少女のすりむいた膝に消毒をつけてやった。ラクトスは難しそうな顔で、少女を睨むようにして見ていた。









「本当にごめんなさい!」


 頭の前で両手を合わせ哀願する少女に、目を覚ましたフリッツは苦笑した。


「もう大丈夫だよ」

「まさか人がいるとは思わなくて。本当に、ごめんなさい」


 少女は力なく項垂れた。フリッツの頭に包帯を巻く手を休めず、ティアラは少女に尋ねた。


「どうしてあんなところに登っていたのですか?」

「さっき、ちらっと姿が見えたような気がしたんだけど、気のせいだったみたい。友達を……ペットを探していたの。ミケっていって、白と黒と茶色のかわいい仔で」


 少女の瞳は不安に揺れていた。こんな人気の無い場所でペットとはぐれ、心細い思いをしていたのだろう。その上見ず知らずの人間の上に落下し、卒倒させてしまったのだから取り乱すのも無理は無い。


「こんな人気のないところに、あんたみたいなのがいるのは不自然じゃないか」


 相変わらず無愛想な言い草だったが、ラクトスの指摘はもっともだった。 少女は淡いピンク色のふわりとした服を身につけており、とても荒野を来た冒険者には見えない。武器も特に持っておらず、防具も一つも身に着けてはいなかった。まるで貴族の少女が、ふらりと外に散歩にでも出掛けたような出で立ちだ。


「ミケの散歩に来ていたの。最近、外に出られなくて窮屈な思いをしていたから」


 その理由でラクトスが納得したようには思えなかったが、彼女には嘘をついているという様子はなかった。金の睫から覗く青い瞳は、今も不安げに揺れている。

 フリッツは心配に思い、少女の顔を覗きこんだ。


「この辺に住んでるの? だったらディングリップの方角を教えて欲しいんだけど」

「ええと、多分この道を北に向かって進めば着くはず」


 そう言うと、少女は意を決したようにフリッツを見た。


「お願いがあるんです。この山道、けっこう強いモンスターが出るの。ミケもいなくなった今、一人じゃ心細くて。ミケを探しながら、ご一緒させていただくことは出来ませんか?」

「それはもちろん。こんなところに、きみみたいな女の子一人じゃ危ないよ。ねえ、ティアラ」


 フリッツは、ティアラに目線をやった。彼女ならすぐに賛同してくれるだろうと思ったのだ。


「……え、ええ。わたくしたちは北大陸に来たばかりなので、土地勘のある方がご一緒してくださると、心強いです」

 

 フリッツは首をかしげた。ティアラにしては歯切れの悪い物言いが、ややひっかかった。

 しかしその答えを聞くと、少女はぱっと顔を輝かせた。


「本当に? ありがとう!」


 喜びのあまりか、少女はフリッツの両手を取ると立ち上がって飛び跳ねた。柔らかそうな金の髪が宙に舞い、服のフリルがふわりと揺れる。

 こんなに喜んでくれるなんて良かったと思い、フリッツの頬はわずかに緩んだ。

 しかし、わき腹に突然の激痛が走る。


「あたしたちまだ許可してないし。それに、なに鼻の下伸ばしてんのよ」

「伸ばしてないよ」


 ルーウィンに謂われなく小突かれ、フリッツは思わず眉をひそめた。

 そんな二人のやり取りにはお構いなく、少女は振り返って無邪気に微笑む。


「わたし、シアって言うの。よろしくね」


 金髪の美しい少女は、満面の笑みでそう言った。






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少女とギルド潰し
   ルーウィンとダンテの昔話、番外編です。第5章と一緒にお読みいただくと、本編が少し面白くなるかもしれません。
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